第一章 非日常へ

リンクさんに道案内されながら歩くこと数分。

「じゃーん!ここが俺たちのアジトです!」

リンクさんは廃ビルの前で立ち止まってそういった。
…これがあの秘密結社のアジトなのか?
人が出入りしていて管理されているようなビルには見えない。

「ここであってるんですか?」

「もちろん!といっても俺たちが使ってるのは地下なんですけどね」

リンクさんは廃ビルの扉を開け中に入っていった。
廃ビルの中には地下へと続く細長い階段があった。
外が暗くなり始めているのもあって、相当怖い。
階段を下っていくと、扉があった。
廃ビルの入り口の扉と比べたらかなり綺麗で人の手も入っていそうだ。

「この扉の向こうがアジトになってます」

リンクさんが開けた扉の向こうには、地上の廃ビルからは想像もつかない生活感あふれる部屋が広がっていた。

「すっごーい!秘密基地みたい!」

ピチューは興奮気味に部屋を見渡している。

「椅子座ってていいですよ~今お茶出しますね」

リンクさんは部屋の奥の方に行った。
僕とピチューは部屋の真ん中にあるテーブルの周りにある椅子に座る。テーブルの上には数学の問題集や教科書が置かれていた。

「すいません!テーブル片づけますね。実はさっきまで他の奴らと勉強会してたもんで…」

ついこの前まで都市伝説的存在だと思ってた秘密結社の存在が一気に身近に感じられた。




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