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お礼画面

お礼画面②です。鬼滅の刃・水柱とのお話です。宜しければ見ていってください!
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「鮭大根が食べたい。」

まったりとした休日。ぽかぽかと気持ちのいい縁側に座り、それぞれ背中合わせで本を読んでいた、義勇さんが唐突に呟いた。

「・・いきなりですね。」

普段私が、「なにを食べたいですか。」と聞けば、「俺に気を遣う必要はない。食べたいものを食べろ。」なんていうのに、今日は違うらしい。
何にせよ、義勇さんが自身からこれを食べたいというのは珍しかった。

鮭大根が義勇さんの好物だと知ったのは、半年ぐらい前に外食をしたときだった。好物を作って喜ぶ顔がみたいとこではあるけど、作ったことは未だにない。
私は、義勇さんと一緒のお屋敷に住むまで、鮭大根は作ったことも、食べたことすらなかった。
それなのに、初回で作った物を、鮭大根が好物な義勇さんに食べてもらうなんて、怖くてできない。

「・・それじゃあ、今日はどこかに食べにいきますか。」

よいしょと立ち上がると、見上げた義勇さんと目が合った。

「・・作ってはくれないのか。」

「・・・・・。」

あからさまにしょんぼりした顔をされ、心が痛む。そんなことを言われたって。

「・・恥ずかしながら、私、鮭大根を作ったことも食べたこともないんです。」

「・・!」

口を半開きにして驚いている義勇さんはピシャーンっていう効果音がぴったりなリアクションをしていた。
そうして、すぐに手を口に添え、何かを考え始めた。

「善は急げだ。」

と唐突に呟き、連れて行かれた先はいつもの定食屋さんだった。
てっきり鮭大根を頼め、と言われるのではと思っていたのだが、
そんなことは一切言われず、義勇さんはもちろん鮭大根が含まれているいつもの定食、私もいつも頼んでいる定食を頼んだ。

なぜここに連れてきたのだろう、と疑問に思い、義勇さんのそわそわした様子を見つめているうちに、

「お待たせしました。」

という声とともに、食事が運ばれてきた。

「「いただきます。」」

と声がはもり、まずはきんぴらごぼうからと、箸をつけようとした瞬間、義勇さんに名前を呼ばれる。

顔をあげれば、鮭大根をもった箸を私の前にもってきている状態であった。

「!?」

「俺のを少しやる。」

まさか、義勇さんに所謂あーんをしてもらう日が来るだなんて夢にも思ってなかった。
それ、関節キスになりませんか、ていうかここお店ですよ、恥ずかしくはないんですか。なんていう感情が一気にこみ上げ、一気に顔が熱くなったのを感じた。

「・・いや、あのっ、その・・」

小鉢を渡してくださいなんて、せっかくくれているのにそんなことは言えず、思わず声がくぐもった。

「?」

義勇さんはそんなのわからないようで、なぜ食べないんだと今にも言いたそうな顔をしている。
私は周りを見渡し、深呼吸を一つつき、覚悟を決めて、目をぎゅっと瞑った。

「いただきます。」

口に鮭大根を入れれば、和風の優しい味がふんわりときたと思えば、鮭と大根の素材の美味しさが口の中いっぱいに広がった。

「!とっても美味しいです。」

私が笑えば、義勇さんは少し目を細めて

「よかった。」

と言い、義勇さん自身も鮭大根を口に入れ、ほわほわした雰囲気を醸し出していた。
何も気にせずその箸を口にいれた義勇さんをみて、一瞬顔が熱くなるのを感じたものの、義勇さんの箸で鮭大根をもらったことはもう忘れようと言い聞かせ、義勇さんとの食事を楽しんだ。

しかし、その後も義勇さんは、お構いなしに私に鮭大根をもった箸を差し出してくれ、根負けした私は顔を真っ赤にしながら鮭大根を食べた。

そうして、誰か知っている人にみられたらどうしようと思いながら、何度目かの鮭大根をもらった際に、「キャー!!!」という声と「あらあら。」という声が耳に入り、振り向けば、密璃ちゃんとしのぶちゃんが居て。後日、からかわれたのは、言うまでもない。

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