次の日、夜ご飯を食べていた矢先、鬼が出た、南南東の山に、不死川、名前至急迎えと言われ、任務に向かっていた。

どういうわけだか、実弥と名前は一緒の任務が多かった。
不思議に思いつつも、師範以外の人には人見知りして話せなくなる私には、ありがたい限りだった。

師範は息も上げず、ものすごいスピードで走っていく。


師範が柱になり、今までより一層忙しくなった頃を見計らって、無断で最終選別にいき、鬼殺隊に入った私に、本格的に稽古をつけてくれてからが本当に大変だったことを思い出す。

基礎体力をつけるための一貫で、

「俺を捕まえたら、今日は終わりだァ。」

そう言われた時は、それだけ？！と拍子抜けしたが、8時間以上走り続けても追いつけず、意識を手放し、目を覚ました時には、屋敷の天井なんてことはざらにあった。

目を覚ますと、額に冷たいタオルが乗っていて、
いつも師範が私の隣に胡座をかいて座っていた。

私の顔見るなり、安心した表情でため息1つついて、険しい顔で頭をガシガシかいていた。

走って倒れて次の日にはまた走ってというスパルタ稽古を繰り返して、6日ほどで、ギリギリ師範の背中に触れたあの日。


大きな目を驚いたように大きく開けて、

「･･･よくやったなァ」

その一言が嬉しくて堪らなくて今でも耳に残っている。


師範の稽古は、厳しかった。倒れることが、稽古終了の合図で、途中で休むことは許されなかった。


その厳しい稽古のおかげもあって、山道でも、師範の後をついて走るのは、慣れたものである。


「間に合うといいですね。」


「俺がたたっ斬ってやらァ」