2人でご飯を食べ、それぞれお風呂に入る。
休みの日は時間の流れが早い。

くァとあくびをして、縁側に座っている眠そうな実弥の袖を夢が掴む。

「･･･あ？」

「･･･今日寂しいから一緒に寝ませんか」

「だめにきまってんだろォ･･･」

しゅんとした名無しに、胸が少し痛みながらも、実弥は即答で断る。

「てめぇ･･･16歳なんだろォ？もう子どもじゃねェよなあ？」

嫁入り前の女が、家族以外の男と寝るなんて、何も無くたってダメだろォが･･･。

「･･･師範は、私と一緒に寝るのいやですか･･･？」

こてんと首を傾げる名無しに、つい許しそうしそうになるが、名無しが今後のことを考え、そこはぐっと抑える。

「あァ、嫌だ」

目を逸らして答えるのは、名無しに雰囲気を読まれたくないから。


チラりと名無しを見ると、目が潤んでおり、今にも泣きそうな顔をしていて、胸がズキ･･･と痛む。

「〜〜〜〜〜〜っ･･･」

音もなく涙が流れて、頬がベチャベチャになった名無しを、おぶって、布団まで連れていき、丁寧に布団をかけていく。

「チッ･･･」

「うっ･･･師範のばかぁ･･･えぇえん･･･」

「てめェ･･･ここまで運んでもらっといていい度胸だなァ･･･」

「･･････実弥は、家族だから、一緒に寝ていいんです･･･。嫌だなんて、言わないでよ･･･」

家族だから、その言葉に少し微笑みながら、名無しの横に寝っ転がり、
昔眠れないといって俺のとこに来た弟たちにしたのと同じように、背中をとんとんする。

すると、名無しはすぐにうとうとし始め、あっという間に寝てしまった。


「･･･しゃね、み･･･」

そう言って、安心したように眠る名無しの顔を見ると、どうにもこうにも、ほっとおけない。

俺もなかなか重症だなァ･･･

そう思いながら、名無しの寝顔を眺めているうちに実弥も眠りについた。


「ん･･･」

寒さに目を覚ませば、昼間とは対象的に静かに寝息をたてる師範の姿があった。

一緒に寝ちゃったんだなあ、と思い、ふふと笑って、師範にも布団をかけ、胸に収まる。

実弥の中にいる時が、生きてる中で1番安心する場所であることを知った。

この場所にずっとずっといれればいいのに･･･

そう思いながら、名無しは眠りについた。