私が 師範にあったのはもう随分前になる。
もともと雰囲気が見えるせいで、煙たがられていた私は、いつも庇ってくれた兄が鬼に殺されて、いなくなってしまったことにより、鬼のでる森に捨てられた。

そんな時に、稀血を利用して、鬼をかっている師範に出会った。


実弥さんは、酷く驚いた顔をして、

「･･･大丈夫かァ、ガキィ」

って声をかけてくれたのがきっかけだった。


「･･････」

それに対して私は、何も答えることはできなかった。
なにせあの時は人と話したのが、心配されたのが久しぶりすぎて、声の出し方も答え方も忘れてしまっていた。

その代わりに、グゥゥゥゥという大きいお腹の音がなって、

「腹減ってんのか」

そう言って、おにぎりをくれた。

私が食べないでいると、隣に座って毒なんて入ってねぇぞなんて言って、食べかけを私に渡してきた。

半分無意識に口に運んでいた。

久しぶりにご飯を食べたからなのか、人の優しさに触れたからなのか、私の目からは音もなく涙が出てきた。

そんな私を懐かしむ目で師範は見つめた。

そんな幼い私が、師範に懐くのは当たり前で。

「ついてきてんじゃねぇ！！！｣

「村に帰れ！！！！」

と言われても、村は私にとって嫌な場所。

師範にくっついて歩いた。

あの時確かに師範は怒っていた。でも、迷惑とかそういう雰囲気は感じられなくて、なぜか感じるのは焦燥と心配の雰囲気。


「やっ･･･」

ドタンと派手に転べば、くるっと振り返ってすぐ手当をしに来てくれた。

もちろん舌打ちつきだけど。

途中で疲れたのか、師範は私を説得するのをあきらめ、師範は鬼を倒して、たまに手伝って怒られて、食べて、寝てを繰り返した。