俺がそいつに会ったのは、もう何年前だったか。
初めて見たお前は、傷だらけだった。


「ん･･･」

目を開ければ眩しい陽の光が目に刺さる。

腕にかかる重さに気づき、横を見ればスヤスヤと眠っているの名無しの姿がそこにはあった。

「チッ･･･」

こいつまた人の布団入りやがったなァ･･･

人の腕に巻きついて、スヤスヤと気持ちよさそうに寝る名無しのおでこにデコピンをかます。

「んなあ･･･！」

「おい」

目が半開きの名無しはボーっとして、俺を見つめる


「･･･ん〜･･･おはよお」


むにゃむにゃと目を擦る名無しは正直可愛いがここで引くわけにはいかない。

「てめェ、俺の布団に入ってくんなって何回言ったらわかんだ、あァ？！」

怒鳴ると名無しはクスクスと笑った。

「また怒ってないのに怒ってるフリしてるんですね、ふふふ、雰囲気でわかるのに」

そう。名無しは生まれつき人の雰囲気が読めるのだ。

だから、俺が怒っても、怒鳴っても、この調子。

「てめぇ･･･俺の雰囲気を読むなっていつも言ってんだろォ･･･」

それに対しての名無しの返答はいつも決まっていて。

「読んでるんじゃないです、見えちゃうんです！」