✼喜八郎


「きゃぁぁっ！」

ﾄﾞｻｯ

足を踏み付けた地面は地盤が緩み崩れ、私はその穴に落ちてしまった。


「おやまあ」

上から聞き覚えのある声と共に落ちた穴に自ら落ちて…いや、降りてくる紫の服を来た男の子。

「き、喜八郎……」


「……ねぇ、僕に何か言わないといけないことがあるよね？」

「……え？」

いつもと同じように無表情な顔で私に詰め寄り逃げ場を塞がれて顔を近付けられる。

「さっき……五年生の久々知先輩と出掛けた」

「あ、あれは……学園長のお使いで金楽寺のお正さんに手紙を渡しに……」

「だったら、別に久々知先輩だけでいいよね」

「あ、喜八郎……？きゃっ！」

喜八郎が穴から脱出した直後に土をかけられた。

「僕に内緒事したお仕置きしないと……一生穴に閉じ込めてあげる」

「い、いやっ！やめて！お願いだから許して！」

穴掘り小僧にはヤキモチを妬かせてはいけない。



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