僕の姉
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『……すごい』
タクシーから降りて、真ん前にあるタワーマンション…通称タワマンというやつ
二重になってる自動ドアの二番目にある自動ドアが開かない。
『……あ、そうか。部屋の番号と暗証番号がいるんだっけ?』
確か、こういう高級住宅にはセキュリティが万全で不審者が中に入れないように部屋番号と暗証番号を打って開けるか、部屋にいる人に中から開けてもらうかの2つしかないって、お母さんが言ってた。
お母さんはこういうマンションに住むのを憧れていた。
『……』
僕は紙に書いてる四桁の番号を打ち込んで呼び出したが応答がない。
『……いないのかな?』
もう夜の20時……仕事なのだろうか?
僕は仕方なくお姉ちゃんが帰ってくるまで、隅っこに移動して帰りを待つことにした。
だけど、結局その日はお姉ちゃんが帰って来なかった。
『……どうして?ここじゃないのかな?』
でも、タクシーの運転手には住所にある場所の前で停めてもらうように言ってあったから間違ってるはずがないのだが………
何十時間ものあいだ、ずっと待ってたが、ここのマンションに住む人達が何人か出入りはしてたけど、お姉ちゃんの姿はない。
幸いにも飲み物はここに来る前に買ってあったし、腹の足しにはならないけど、お土産用に買ったお菓子もあったので、僕はそれで二日間持ちこたえることができた。
そして、三日目の夜
『………お姉ちゃん』
僕は寂しさと悲しさから泣きそうになって顔を伏せたそのとき、僕の前にヒールの低いパンプスを履いたスラッとした足が真ん前にあった。
『……っ!!』
顔を見上げれば、そこにはサラッとした髪と懐かしく感じる漆黒に包まれた冷たい目がそこにあった。
お姉ちゃんだ!
『………なにをしているの』
『……っ、うっ、お姉ちゃん!!』
『……!』
僕は、お姉ちゃんの顔を見た途端に涙がぶわっと溢れて、お姉ちゃんに抱きついて泣いた。
『……………』
お姉ちゃんは何も言わず、泣いてる僕を抱き上げ、僕の荷物も広いエントランスから中に入り、お姉ちゃんの家の中に入ったあとも僕が泣き止むまでそのままでいてくれた。
『ヒック……ヒッ………』
『………』
お姉ちゃんは無言のまま僕を抱っこしたまま、空いてる方の手で食器棚からコップを取り出し冷蔵庫で何か取っている。
それから、物凄い広いリビングにあるソファーの上に座った。
『…………』
『……落ち着いたか?』
僕は少し体を離して目を擦った。
『…うん』
『なんで、あんなところに?それに、なんで私がこのマンションに住んでること知ってるの?あの親達には居場所伝えてなかったはずだけど』
『お姉ちゃんが引っ越し準備してるとき、僕がお姉ちゃんの洗濯物を持って部屋に入ったときに机の上にあった紙に書かれた住所見つけて……それ、返し損ねちゃって』
『……なるほど。それで、この時間に来て何か用か?』
お姉ちゃんの言葉はちょっとトゲのある言い方だった。
『……三日前……僕、水族館に学校のみんなと遠足で行ってて……』
『……』
『それで、帰って来たら家の中にある家具も全て無くなってて……』
『……!』
『お母さんもいなくてもぬけの殻状態で……そんなときに大家さんが来て、引っ越したって………』
『………』
『…僕、僕……捨てられちゃった……』
僕はまた涙が溢れてボロボロ泣いた。
『……そうか』
『僕、どうしたらいいのか分からなくて…』
『………とにかく、ほら…ジュース飲みなよ』
お姉ちゃんは僕にジュースを渡したので、それをゴクッと飲んだ。
『………今日はもう遅い。お風呂入ってろ』
『…う、うん』
お姉ちゃんはお風呂を沸かし、僕はお風呂に入った。