‧✧̣̥̇‧黎明篇‧✧̣̥̇‧
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よく晴れた青空の下、魚人島を出航した麦わらの一味は次の島を目指し進んでいた
穏やかな海と風
久しぶりの和やか時間に皆がくつろぐ中、大きな叫び声が聞こえてきた
「なによこれ?!」
「なんだよナミ、みかんの木に虫でも付いたのか?」
「そうじゃなくて!ウソップこれ直せる?!」
「どれどれー?」
そう言って差し出されたのはいつもナミが手首につけているログポース
ここ…と彼女が指差したのは1つの指針
その指針は決まった方角を指すことなく、まさに壊れたかのようにぐるぐると回り続けていた
「なんじゃこりゃー?!」
「しっ!声が大きい!」
「わ、悪い…!て、お前もさっき叫んでただろうが!」
「そうだけど!ルフィにバレたらまずいでしょ?!」
「た、確かに…!!」
近くにルフィの姿が無いことを確認すると、2人揃って安堵のため息を漏らす
「一体いつからこうなったんだ?」
「分からない…そろそろ進路を決める頃合いだと思って見てみたらこんな事に…」
「ナミ…俺の記憶違いじゃなけりゃ、ログポースは針の揺れ具合で着く島の危険度が分かるんだよな?」
「そうよ、揺れが激しければ激しい程危険度は高いわ」
「という事はつまり…?」
「超危険か超安全のどっちかね」
「適当かよ!!!」
「声が大きい!!!」
あまりの大雑把な返答にツッコミを入れるも、声が大きすぎるという理由でそれ以上のしっぺ返しをくらう
強烈な一撃で出来上がったタンコブを摩りながら今度はかなり声量に気をつけて小声で話す
「極端すぎやしねえか?!」
「しょうがないじゃない!私だってこんな変な指針、見たことも聞いたこともないんだから!」
「わ、分かった!きっと移動する島なんだよ!」
「空島じゃあるまいし…それに、同じ所だけ移動するなんて都合のいい島ある訳ないでしょ?」
「うっ…確かに…」
「指針が振り切れるくらい危険なのか、磁力が安定しない島か…単にログポースの故障とかだったらいいんだけど…」
「いや良くねえだろ、て言っても見た感じ故障には見えねえけどなー」
穴が開くほどじっくりと見てみるが、ぶつけた様な跡も無ければ部品が欠けている様子も見当たらない
「困ったわ…」
「とりあえず、このイカレちまった針は無視して他の所に行こうぜ」
「そうね、その方が良さそう…いいウソップ?この事は絶対ぜーったいルフィには内緒よ!」
「当たり前だ!ルフィにバレたら安全な航海どころじゃねえ…また面倒ごとに巻き込まれるのはごめんだぜ!」
「呼んだかー?」
「「出たーー!!!」」
あまりのタイミングの良さに2人揃って悲鳴を上げる
まるで狙ったかの如くルフィがやって来てしまったのだ
好奇心旺盛なルフィの事だ…確実にその島に行くと言い出すに決まっている
2人の脳は光の速さでその最悪の未来を叩き出し、ログポースを背中の後ろへと隠した
「呼んでないわよ〜!」
「そ、そうだぞルフィ!気のせいだ気のせい!」
「そっかー、気のせいかー…ておい!今なんか隠しただろ!肉か?!」
「肉な訳ねえだろ!」
「なんだ違ぇのかよー、じゃあ何隠したんだ?」
「ルフィには関係ないものよ!あははは!」
「やっぱ食いもんだろ?!くーわーせーろー!」
「あっ…!!」
勢いよく伸ばされた腕はあっという間に背後まで届き、ログポースを奪い去ってしまう
「ん?なんだ食いもんじゃねえのか」
「そうよ!ほら、早く返して!」
「へいへー…」
「あれ?そのログポース…」
ルフィの後ろからひょっこりと顔を出したのはユリア
普段はこちら側…つまり巻き込まれる側の彼女が来たことに2人は何度目かのため息を吐く
良かった、上手いこと合わせてくれれば危機は回避できる…と
しかしそんな期待は、その期待を寄せていたユリア自身に裏切られた
「ルフィってばそれ壊したの〜?」
「なんでだよ!」
「だってほら…変だよ?」
「ん?あ、本当だ!変な針だなー!!」
「終わった…」
「終わったな…」
2人はあからさまに肩を落とし、決まってしまった未来に嘆く
その様子に気が付くと何かしてしまったんだと気が付き慌てふためく
「あ、あの…ごめんね?もしかして余計な事言っちゃった…?」
「大丈夫よ…ルフィの手に渡った時からこうなると思ってたから…」
楽しそうにメインマストの方へ走って行くルフィ
その高らかな声がサニー号に響き渡る
「おーいお前ら!次の行き先が決まったぞー!!」