‧✧̣̥̇‧追憶篇‧✧̣̥̇‧
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お城の地下室に残されていた少し古びた数冊のアルバム
今、手元にあるこれはそのうちの1冊…
国を出る時にトアムお兄様が持たせてくれた大切な物
航海の最中、ようやく時間を見つけて私…リズロット・ユリアはそれを眺めていた
「ユリアなに見てるの?」
「トアムお兄様がくれたアルバムだよ」
「どれどれ〜?」
「私も見てもいいかしら?」
「あはは、面白い物じゃないかもしれないけどそれでもいいなら〜」
「うふふ、ありがとう」
両隣からナミとロビンが覗き込んでくる
ページをめくる度に楽しそうな声を上げて色々聞いてくる2人に、懐かしさなのか誰かとアルバムを見る楽しさからなのか、ついつい聞かれてもいない事まで話してしまっていた
次のページへと進むと、ナミが何かに気付いたらしく大きな声を上げた
「ねぇ、もしかしてここに写ってる男の子ってゾロ?!」
「ん?あ、そうそうゾロだよ!」
「ふふふ、随分と可愛いわね」
「2人とも面影あるわね〜!!」
「そうかな〜?」
小さい頃のゾロが写っていたことでより一層、話が盛り上がる
そんな賑やかな私達を見てかだんだんと他の皆も集まってきた
「なに騒いでんだ3人共?」
「なんか楽しそうだな!」
「ウソップ、チョッパー!見てよこれ、小ちゃいゾロとユリア!」
「うっはっはっ!目つきの悪さは昔からかよ!」
「ゾロのやつ、いかにもクソ生意気そうな顔してやがるな」
「ワハハ、ガキの頃なんてそんなもんだろ!」
タバコを吸いながらいつものように悪態をつくサンジと、フランキーの豪快な笑い声につられながら私は当の本人がトレーニング中で居ないことを少し幸運に思った
こうやって話の種にされているのを見る限り、彼がこの場に居合わせなかったことは良かったのかもしれない
寧ろここに居たのなら、アルバムを見せてしまった私が何かしらの小言を言われていたに違いない
「そういえばお二人は幼馴染だ、といつだったかおっしゃっていましたが…一体いつ頃から?昔のお写真のようですが…」
「えっと、確か16年前…だったかな?」
「「16年?!」」
かなり驚いた様子で揃って声を上げる
「とは言っても、10年位は会えてなかった訳だし…更に言うなら一緒にいた時だって私は国から行ったり来たりしてたから、幼馴染って言っていいのかちょっと微妙なんだけどね…ははは…」
「幼い頃に親しくしていた友達という意味なんだから、年数は気にしなくていいんじゃないかしら?」
「ロビンさんの言う通りですよ、時間が全てではありません…現にほら、このお写真のお二人の楽しそうな姿と今のお二人の関係が物語っているではありませんか!」
「しかも10年の時を経て、この広い海で再会でしょ?そういう風にできてんのよあんた達は〜」
良かったじゃないの!なんて言いながらナミが肘でつっついてくるが、私はその彼らの言葉がどうにも気恥ずかしくて体温が少し上がったかのような感覚になった
「もうっ…やめてよ最近そうやって〜!」
「あははっ、ごめんごめん!」
「なぁ、このもう1人のヤツは男と女どっちなんだ?!」
ルフィが指さしたのは、黒くて短い髪の綺麗な子供…そう、私とゾロのもう1人の幼馴染であるくいなだった
「女の子だよ」
「この子もユリアちゃんの幼馴染かい?」
「うん、もう1人の幼馴染で先輩で…そして、私の初めての友達」
今はもう会うことのできないその姿をそっと指でなぞる
懐かしさと寂しさから黙ってその写真を見つめる私に、チョッパーはふとなにかを疑問に思ったらしく問いかけてきた
「ゾロじゃないのか?」
「そう…この子との出会いの方が先だし、彼女のお陰でゾロとも出会えた…もしかしたら1番好きだったかもしれないな〜、ふふっ…だって私ね、最初はゾロのことあんまり好きじゃなかったんだよ?」
「そうなのか?!信じられないぞ…!」
「本当だよ〜、あのままだったら最悪の出会いのうちの1つになってたかも」
「一体どうやったらユリアちゃんと最悪の出会いになるってんだよあのバカ剣士」
「ねぇユリア、私その話気になる!」
「えぇ〜、それこそ面白い話じゃないと思うよ?」
「あら、女の子ってそういう話がだーい好きなのよ?ねぇロビン?」
「うふふっ、そうよユリア、2人がどんな風に出会って仲良くなったのか気になるわ」
2人がそう言うと、皆は何も言わずに芝生へ腰を下ろした
聞く準備は万端という事らしく、私が話し始めるのを待ってくれている
期待するほど面白くはないのに…と思いながらも、私にとって1番大切な宝物だった時間に彼らが興味を持ってくれたことが凄く嬉しくて…
気が付けば私は口を開いていた
「怒られたら嫌だから、ちょっとだけだよ?」
そんな前置きをしておく
誰かに話したことのない過去を今から伝える面映ゆさと、彼と私だけの秘密をこのまま大切にしておきたい気持ち
その思いを隠すように、そんなズルい言い訳をして私は記憶を辿った