第三章【秋季大会・地区大会編】
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
2回戦の勝利から束の間の休息を得た泥門デビルバッツだったが、クリスマスボウルを目指す彼らにとって、文字通りの「安息」という日は存在しない。次なる戦場がすぐそこまで迫っていた。
部室の空気は、勝利の余韻は既に存在せず、緊張感に満ちていた。部室内にはヒル魔と悟 が神妙な面持ちで各々のノートパソコンの画面を見つめている。悟はテーブルにノートを広げ、3回戦に向けた分析を提示する。
「3回戦の相手は独播スコーピオンズ……、今年の戦績が10勝1敗……。強いところに当たってないとはいえ不気味ですね」
悟は、次なる戦場に向け、盤石の対策を講じようと独播の試合映像を凝視し続けている。しかし、ヒル魔はパソコンの画面から視線も外さず、淡々と言い放つ。
「悟、独播の対策はもういい。3回戦は温存も兼ねてテメーはベンチ、代わりに助っ人の石丸を使う」
ヒル魔が下した指示に、悟は食い下がる。
「……そんな。勝率が1番高いカードを使うのがヒル魔さんのやり方じゃあ……」
ヒル魔はキーボードから手を離し、悟と向き合った。二人の視線がぶつかり合う。
ヒル魔は、独播を侮ることはないが、それ以上に泥門が「今打つべき一手」が何なのかを計算しているようだった。
「聞け、話は終わってねぇ。独播は俺が直々にぶっ潰す。……今独播よか問題なのは、巨深だ」
「巨深ポセイドン」。昨年までは冴えなかったチームだが、アメリカ留学経験のある筧駿をはじめとした長身の一年生たちが加入し、優勝候補の一角「柱谷ディアーズ」を初戦敗退に導いたダークホースだ。
「巨深ですか……? 巨深の次の相手は賊学ですよね?」
「十中八九、巨深が勝つ。泥門の4回戦の相手は巨深だ。……だが今のテメーじゃ太刀打ちできねぇ。独播対策させる時間が惜しいンだよ」
悟は拳を握りしめた。彼女の頭脳が、その意味を理解し始める。
「……あの長身ライン勢が軒並み一年生で、過去のデータが存在しないからですね。『悪魔の予言 』が機能しない」
「わかってんじゃねぇか。何しろ連中公式戦に出てねぇんだ。情報が少ねぇ。過去の巨深のデータじゃ不足も不足だ」
「……網乃戦同様、試合中に集めれば……」
悟が絞り出した言葉に対し、ヒル魔の視線が鋭く刺さった。
「過信は捨てろ。それ『だけ』じゃ足りねぇ。網乃はスポーツ医学に心中した基礎練習量が足りてねぇ三流選手だから通用しただけだ」
悟は先ほどの発言を恥じた。
網乃戦での成功体験が、心のどこかで「自分なら何とかできる」という慢心を生んでいた。
(やれることは全部やろうって、セナと話したばかりなのに…私は…)
悟が羞恥に顔を伏せ、自らの驕りを自覚した瞬間――ドサリ、と彼女の目の前に、重厚なファイルの束と、USBメモリが置かれた。
「巨深柱谷戦の試合データだ。残りヤードとダウン数別のプレイ選択率。選手ひとりひとりの状況別の編集映像データ。糞マネに数字全部洗わせてる。」
悟は息を呑んだ。
「これを、まもりさん一人で一日で……!?」
まもりの献身とその有能っぷりに、そしてヒル魔のあまりに過酷な要求に愕然とし、目を見開く悟に、ヒル魔は不敵な笑みを浮かべた。
「ケケケ、人様に感心してる暇なんてねぇぞ! テメーのやるべきことがわかったか? 次の試合が始まる週末までに死ぬ気で頭に叩き込め!『悪魔の予言 』の精度を極限まで高めやがれ!!」
ヒル魔の言葉には、悟を参謀として信頼し、次なる強敵である巨深を食らう準備をさせようという、彼なりの期待が込められていた。
悟は顔を上げ、強く言い切った。
「…はい!……必ず」
悟はヒル魔の期待に応えるべく、資料を抱えて部室の明かりを灯し続ける。彼女の悪魔の右腕としてのプライドを賭けた戦いが始まった。
部室の空気は、勝利の余韻は既に存在せず、緊張感に満ちていた。部室内にはヒル魔と悟 が神妙な面持ちで各々のノートパソコンの画面を見つめている。悟はテーブルにノートを広げ、3回戦に向けた分析を提示する。
「3回戦の相手は独播スコーピオンズ……、今年の戦績が10勝1敗……。強いところに当たってないとはいえ不気味ですね」
悟は、次なる戦場に向け、盤石の対策を講じようと独播の試合映像を凝視し続けている。しかし、ヒル魔はパソコンの画面から視線も外さず、淡々と言い放つ。
「悟、独播の対策はもういい。3回戦は温存も兼ねてテメーはベンチ、代わりに助っ人の石丸を使う」
ヒル魔が下した指示に、悟は食い下がる。
「……そんな。勝率が1番高いカードを使うのがヒル魔さんのやり方じゃあ……」
ヒル魔はキーボードから手を離し、悟と向き合った。二人の視線がぶつかり合う。
ヒル魔は、独播を侮ることはないが、それ以上に泥門が「今打つべき一手」が何なのかを計算しているようだった。
「聞け、話は終わってねぇ。独播は俺が直々にぶっ潰す。……今独播よか問題なのは、巨深だ」
「巨深ポセイドン」。昨年までは冴えなかったチームだが、アメリカ留学経験のある筧駿をはじめとした長身の一年生たちが加入し、優勝候補の一角「柱谷ディアーズ」を初戦敗退に導いたダークホースだ。
「巨深ですか……? 巨深の次の相手は賊学ですよね?」
「十中八九、巨深が勝つ。泥門の4回戦の相手は巨深だ。……だが今のテメーじゃ太刀打ちできねぇ。独播対策させる時間が惜しいンだよ」
悟は拳を握りしめた。彼女の頭脳が、その意味を理解し始める。
「……あの長身ライン勢が軒並み一年生で、過去のデータが存在しないからですね。『
「わかってんじゃねぇか。何しろ連中公式戦に出てねぇんだ。情報が少ねぇ。過去の巨深のデータじゃ不足も不足だ」
「……網乃戦同様、試合中に集めれば……」
悟が絞り出した言葉に対し、ヒル魔の視線が鋭く刺さった。
「過信は捨てろ。それ『だけ』じゃ足りねぇ。網乃はスポーツ医学に心中した基礎練習量が足りてねぇ三流選手だから通用しただけだ」
悟は先ほどの発言を恥じた。
網乃戦での成功体験が、心のどこかで「自分なら何とかできる」という慢心を生んでいた。
(やれることは全部やろうって、セナと話したばかりなのに…私は…)
悟が羞恥に顔を伏せ、自らの驕りを自覚した瞬間――ドサリ、と彼女の目の前に、重厚なファイルの束と、USBメモリが置かれた。
「巨深柱谷戦の試合データだ。残りヤードとダウン数別のプレイ選択率。選手ひとりひとりの状況別の編集映像データ。糞マネに数字全部洗わせてる。」
悟は息を呑んだ。
「これを、まもりさん一人で一日で……!?」
まもりの献身とその有能っぷりに、そしてヒル魔のあまりに過酷な要求に愕然とし、目を見開く悟に、ヒル魔は不敵な笑みを浮かべた。
「ケケケ、人様に感心してる暇なんてねぇぞ! テメーのやるべきことがわかったか? 次の試合が始まる週末までに死ぬ気で頭に叩き込め!『
ヒル魔の言葉には、悟を参謀として信頼し、次なる強敵である巨深を食らう準備をさせようという、彼なりの期待が込められていた。
悟は顔を上げ、強く言い切った。
「…はい!……必ず」
悟はヒル魔の期待に応えるべく、資料を抱えて部室の明かりを灯し続ける。彼女の悪魔の右腕としてのプライドを賭けた戦いが始まった。