第三章【秋季大会・地区大会編】
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網乃サイボーグス戦勝利より翌日。
部室に向かう道中で、セナが少し不安げに悟へ話しかける。
「ねえ悟。部活が終わったら……ムサシさんのところに行こうと思うんだ。一緒に来てくれない?」
悟はセナの横顔を見つめ、静かに頷いた。
「『泥門が強くなったら戻ることを考える』って、それがムサシさんとの約束なんだもんね?」
「うん。……でも、こんな話しながら部室に入っていったら、ヒル魔さんに……」
「……『余計な事して引っ掻き回すな』って、怒られるかもね…」
悟が苦笑した瞬間だった。
ガッ、と地面にある見覚えのない扉が勢いよく開き、砂埃と共に上半身だけを突き出したヒル魔が、アサルトライフルを二人に突きつけた。
「誰を連れ戻すって!?」
「ひっ、い、いやいやいや別に何も!!」
セナが悲鳴を上げて飛び退く。悟は呆れ顔でため息をついた。
「どこから現れてるんですか、ヒル魔さん……」
「ケケッ、網乃戦で勝ったから増築したんだよ!地下武器倉庫!」
「増築」というワードに悟が反応したのと同時に、予想通り、地面の奥からゆっくりと一人の男が姿を現した。武蔵厳――通称ムサシだ。
「ムサシさん!」
声をかけられたムサシが、悟をじっと見つめた。
「……なんだ、悟っていったか。春に会ったときとは別人だな。目つきが違う」
「!!じゃあ約束通り……」
悟が期待を込めて一歩踏み出すと、ムサシは静かに首を横に振った。
「浮かれんのも程々にしな。1回戦を勝ったくらいで『強いチーム』気取りか?」
その言葉に、セナと悟は黙り込む。様子を伺っているヒル魔も、珍しく口出しをせずに沈黙を貫いている。
「キッチリ締めてけよ。……お前たち個人の成長は認める」
「……ケケケ、だそうだ」
ヒル魔が皮肉げに笑う。
ムサシは悟に向き直り、静かに言った。
「悟、ちょっと個人的に話がある。付いてきてくれるか」
部室から少し離れた、人気のない倉庫裏。
ムサシが立ち止まり、背後の気配に振り返る。
「……そこで聞いてんだろう、ヒル魔」
影から姿を現したヒル魔を見て、「やっぱりな」とムサシは一つ大きくため息をついた。
「俺が口出しすることじゃないが……。お前たち二人、何がとは言わないが、私情で部を乱すような事はやめておけよ」
「っ、なんで……気付いて……」
悟が動揺すると、ムサシは厳しい表情のまま言葉を継ぐ。
「別にお前たち二人が現を抜かすとは欠片も思わないが……。栗田やセナたちの夢を壊すような原因に、万が一でもならねぇようにな」
「……ケケケ、余計なお世話だ、糞 ジジイ」
ヒル魔は悪態をつきながらも、ムサシの忠告を否定はしなかった。
ムサシは去り際、悟のそばを通る時、ポンと彼女の肩に手を置いた。
「……?」
ムサシはそのまま、悟の耳元へ口を寄せる。
「いろいろ言ったが、別に関係性自体に反対するつもりはねぇ。……あの意地っ張りを頼む」
ヒル魔に聞こえないように紡がれた、友を見守る温かいムサシの言葉。悟が驚いて目を見開いたその瞬間、不意に視界が揺れた。
無表情のヒル魔が、悟の腕を掴み、ムサシから強引に引き離したのだ。
「ん、驚いたな……そんな面もあったんだな」
ムサシは苦笑しながら、肩をすくめる。
ヒル魔は、掴んだ悟の腕を離さぬまま、ムサシを睨みつけた。
「うだうだ言ってねぇで、さっさと帰りやがれ」
追い払うようなヒル魔の背中を見つめながら、悟は彼の手のひらから伝わる、少し強すぎる熱を感じていた。
部室に向かう道中で、セナが少し不安げに悟へ話しかける。
「ねえ悟。部活が終わったら……ムサシさんのところに行こうと思うんだ。一緒に来てくれない?」
悟はセナの横顔を見つめ、静かに頷いた。
「『泥門が強くなったら戻ることを考える』って、それがムサシさんとの約束なんだもんね?」
「うん。……でも、こんな話しながら部室に入っていったら、ヒル魔さんに……」
「……『余計な事して引っ掻き回すな』って、怒られるかもね…」
悟が苦笑した瞬間だった。
ガッ、と地面にある見覚えのない扉が勢いよく開き、砂埃と共に上半身だけを突き出したヒル魔が、アサルトライフルを二人に突きつけた。
「誰を連れ戻すって!?」
「ひっ、い、いやいやいや別に何も!!」
セナが悲鳴を上げて飛び退く。悟は呆れ顔でため息をついた。
「どこから現れてるんですか、ヒル魔さん……」
「ケケッ、網乃戦で勝ったから増築したんだよ!地下武器倉庫!」
「増築」というワードに悟が反応したのと同時に、予想通り、地面の奥からゆっくりと一人の男が姿を現した。武蔵厳――通称ムサシだ。
「ムサシさん!」
声をかけられたムサシが、悟をじっと見つめた。
「……なんだ、悟っていったか。春に会ったときとは別人だな。目つきが違う」
「!!じゃあ約束通り……」
悟が期待を込めて一歩踏み出すと、ムサシは静かに首を横に振った。
「浮かれんのも程々にしな。1回戦を勝ったくらいで『強いチーム』気取りか?」
その言葉に、セナと悟は黙り込む。様子を伺っているヒル魔も、珍しく口出しをせずに沈黙を貫いている。
「キッチリ締めてけよ。……お前たち個人の成長は認める」
「……ケケケ、だそうだ」
ヒル魔が皮肉げに笑う。
ムサシは悟に向き直り、静かに言った。
「悟、ちょっと個人的に話がある。付いてきてくれるか」
部室から少し離れた、人気のない倉庫裏。
ムサシが立ち止まり、背後の気配に振り返る。
「……そこで聞いてんだろう、ヒル魔」
影から姿を現したヒル魔を見て、「やっぱりな」とムサシは一つ大きくため息をついた。
「俺が口出しすることじゃないが……。お前たち二人、何がとは言わないが、私情で部を乱すような事はやめておけよ」
「っ、なんで……気付いて……」
悟が動揺すると、ムサシは厳しい表情のまま言葉を継ぐ。
「別にお前たち二人が現を抜かすとは欠片も思わないが……。栗田やセナたちの夢を壊すような原因に、万が一でもならねぇようにな」
「……ケケケ、余計なお世話だ、
ヒル魔は悪態をつきながらも、ムサシの忠告を否定はしなかった。
ムサシは去り際、悟のそばを通る時、ポンと彼女の肩に手を置いた。
「……?」
ムサシはそのまま、悟の耳元へ口を寄せる。
「いろいろ言ったが、別に関係性自体に反対するつもりはねぇ。……あの意地っ張りを頼む」
ヒル魔に聞こえないように紡がれた、友を見守る温かいムサシの言葉。悟が驚いて目を見開いたその瞬間、不意に視界が揺れた。
無表情のヒル魔が、悟の腕を掴み、ムサシから強引に引き離したのだ。
「ん、驚いたな……そんな面もあったんだな」
ムサシは苦笑しながら、肩をすくめる。
ヒル魔は、掴んだ悟の腕を離さぬまま、ムサシを睨みつけた。
「うだうだ言ってねぇで、さっさと帰りやがれ」
追い払うようなヒル魔の背中を見つめながら、悟は彼の手のひらから伝わる、少し強すぎる熱を感じていた。