第二章【アメリカ合宿編】
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ラスベガスの大通りに建つ、一際巨大なカジノホテル。そのエントランスは、黄金の光と欲望の香りに満ちていた。
「ど、どうやってこんな高級そうな服、調達したんですか……!?」
セナが、自分の身体に誂えたようなタキシードを見て尋ねる。
「ケケッ! トラック売っぱらったんだよ! 軍資金も必要だしなァ!」
ヒル魔の哄笑が響く。カジノという、高校生に全く相応しくない空間に勢ぞろいする泥門デビルバッツ一同。彼らの目的は、どぶろくの借金の返済、額にして2000万円を手に入れる事だ。
ロビーに集まった彼らが纏うのは、ドレスコードに則ったフォーマルな服装だ。その中でも、ドレスを纏い、化粧を施したまもりと悟は、高校生らしからぬ色香を纏っていた。
まもりは、シャンパンゴールドのシルクタイトドレス。大人の艶と気品を湛え、高貴な淑女のような佇まいを見せている。
そして、その後ろから現れた悟の姿に、部員たちは息を呑んだ。
深いミッドナイトブルーのロングドレス。
それは彼女の透き通るような白い肌を際立たせ、大胆に開いた背中のラインが、しなやかな筋肉を美しく描き出している。艶やかな紫黒色の髪はエレガントにアップにまとめられている。
そこにいたのは少女ではなく、冷たさを感じさせる外見と、それに反し熱を秘めた瞳を輝かせる一人の女性だった。
「……っ」
悟は、不慣れな高いヒールの感触に戸惑い、一歩一歩を確認するように歩き出した。
よろめくほどではない。けれど、その微かな歩みの遅れ、指先に込めた緊張を、一人の男が見逃さなかった。
「…ほら掴まれ。足元気をつけろよ」
不愛想に声をかけるのは十文字だ。
悟はその腕を取りかけて動きを止めた。
彼女は知っている。十文字が自分に向けてくれている、真っ直ぐな好意を。
今ここで彼の優しさに甘えることは、彼に期待をさせてしまうのではないか。そんな思わせぶりな真似はしたくない。それは、彼女なりの誠実さに基づく躊躇いだった。
しかし、十文字は彼女のそんな機微さえも理解した上で追い討ちをかける。
「……ん、柄にも無ェこと言うぞ」
十文字は悟と視線を合わせ、逃げ場を塞ぐような強い口調で言葉を紡ぐ。
「俺にお前をエスコートさせて欲しい。……綺麗だよ、誰よりもな」
真っ向からのアピール。悟は彼の真摯な眼差しに、ついに押し負ける。彼女は静かに、けれどしっかりと、彼の逞しい腕に手を添えた。
「……ありがとう。それじゃあ、お願いしようかな」
煌びやかなフロアを、二人は並んで歩く。
「ジャケット、思ったより似合うんだね」
悟が隣を見上げて微笑むと、十文字は露骨に顔をしかめた。
「……それ褒めてんのか? 」
「もちろん、褒めてるよ」
「…俺はあまり好きじゃねぇ。……父親を思い出す」
「…お父さん?」
「ああ。…判事やってて、エリート気取りで他人を見下すクソ野郎だよ」
十文字の低い声に、彼がこれまで抱えてきた葛藤が滲む。家柄、期待、そしてそれらを否定するために選んだ「不良」という道。
「……そう。…それで不良やってるんだ」
「…ガキ臭えのはわかってる。……だけどよ」
「譲れないものがある?」
悟の言葉に、十文字は一瞬驚いたように目を見開いた。
否定も肯定もせず、ただその背景にある「意志」を受け止める彼女の優しさが、心地よく、そして苦しい。
「……そうだ。……余計な事話しちまったな。こっちはこれでも緊張してんだ。間をもたせようとすると口も滑る」
「余計な話なんかじゃないよ。話してくれて、ありがとう」
そんな二人を、後方から見ていた鈴音が目を丸くする。
(……あれ? 昨夜は妖兄の部屋から朝帰りして、今はモンモンを従えちゃってる……? 悟ってば、もしかして妖兄の嫉妬狙い? かなりのやり手なんじゃないの……!?)
実際はただの小心者なのだが、ドレスアップした彼女の美しさが、鈴音の目には計算高い「小悪魔」として映ったようだ。
一方、モン太は十文字の男気に感化され、鼻息を荒くしていた。
「ま、まもりさんは! この俺が! エスコートさせていただきまっす!!」
まもりは苦笑しつつも、「よろしくね、モン太くん」とその手を取る。鈴音はといえば、見張り役として兄・夏彦の腕をがっしりと掴んでいた。
肝心のヒル魔はというと、背後の喧騒など興味がないかのように、不敵な面構えでカジノのフロアを睨みつけていた。
「ケケッ、2000万、そっくりそのまま引きずり出すぞ……!!」
悪魔の号令と共に、彼らは煌びやかなギャンブルの世界へと足を踏み入れた。
「ど、どうやってこんな高級そうな服、調達したんですか……!?」
セナが、自分の身体に誂えたようなタキシードを見て尋ねる。
「ケケッ! トラック売っぱらったんだよ! 軍資金も必要だしなァ!」
ヒル魔の哄笑が響く。カジノという、高校生に全く相応しくない空間に勢ぞろいする泥門デビルバッツ一同。彼らの目的は、どぶろくの借金の返済、額にして2000万円を手に入れる事だ。
ロビーに集まった彼らが纏うのは、ドレスコードに則ったフォーマルな服装だ。その中でも、ドレスを纏い、化粧を施したまもりと悟は、高校生らしからぬ色香を纏っていた。
まもりは、シャンパンゴールドのシルクタイトドレス。大人の艶と気品を湛え、高貴な淑女のような佇まいを見せている。
そして、その後ろから現れた悟の姿に、部員たちは息を呑んだ。
深いミッドナイトブルーのロングドレス。
それは彼女の透き通るような白い肌を際立たせ、大胆に開いた背中のラインが、しなやかな筋肉を美しく描き出している。艶やかな紫黒色の髪はエレガントにアップにまとめられている。
そこにいたのは少女ではなく、冷たさを感じさせる外見と、それに反し熱を秘めた瞳を輝かせる一人の女性だった。
「……っ」
悟は、不慣れな高いヒールの感触に戸惑い、一歩一歩を確認するように歩き出した。
よろめくほどではない。けれど、その微かな歩みの遅れ、指先に込めた緊張を、一人の男が見逃さなかった。
「…ほら掴まれ。足元気をつけろよ」
不愛想に声をかけるのは十文字だ。
悟はその腕を取りかけて動きを止めた。
彼女は知っている。十文字が自分に向けてくれている、真っ直ぐな好意を。
今ここで彼の優しさに甘えることは、彼に期待をさせてしまうのではないか。そんな思わせぶりな真似はしたくない。それは、彼女なりの誠実さに基づく躊躇いだった。
しかし、十文字は彼女のそんな機微さえも理解した上で追い討ちをかける。
「……ん、柄にも無ェこと言うぞ」
十文字は悟と視線を合わせ、逃げ場を塞ぐような強い口調で言葉を紡ぐ。
「俺にお前をエスコートさせて欲しい。……綺麗だよ、誰よりもな」
真っ向からのアピール。悟は彼の真摯な眼差しに、ついに押し負ける。彼女は静かに、けれどしっかりと、彼の逞しい腕に手を添えた。
「……ありがとう。それじゃあ、お願いしようかな」
煌びやかなフロアを、二人は並んで歩く。
「ジャケット、思ったより似合うんだね」
悟が隣を見上げて微笑むと、十文字は露骨に顔をしかめた。
「……それ褒めてんのか? 」
「もちろん、褒めてるよ」
「…俺はあまり好きじゃねぇ。……父親を思い出す」
「…お父さん?」
「ああ。…判事やってて、エリート気取りで他人を見下すクソ野郎だよ」
十文字の低い声に、彼がこれまで抱えてきた葛藤が滲む。家柄、期待、そしてそれらを否定するために選んだ「不良」という道。
「……そう。…それで不良やってるんだ」
「…ガキ臭えのはわかってる。……だけどよ」
「譲れないものがある?」
悟の言葉に、十文字は一瞬驚いたように目を見開いた。
否定も肯定もせず、ただその背景にある「意志」を受け止める彼女の優しさが、心地よく、そして苦しい。
「……そうだ。……余計な事話しちまったな。こっちはこれでも緊張してんだ。間をもたせようとすると口も滑る」
「余計な話なんかじゃないよ。話してくれて、ありがとう」
そんな二人を、後方から見ていた鈴音が目を丸くする。
(……あれ? 昨夜は妖兄の部屋から朝帰りして、今はモンモンを従えちゃってる……? 悟ってば、もしかして妖兄の嫉妬狙い? かなりのやり手なんじゃないの……!?)
実際はただの小心者なのだが、ドレスアップした彼女の美しさが、鈴音の目には計算高い「小悪魔」として映ったようだ。
一方、モン太は十文字の男気に感化され、鼻息を荒くしていた。
「ま、まもりさんは! この俺が! エスコートさせていただきまっす!!」
まもりは苦笑しつつも、「よろしくね、モン太くん」とその手を取る。鈴音はといえば、見張り役として兄・夏彦の腕をがっしりと掴んでいた。
肝心のヒル魔はというと、背後の喧騒など興味がないかのように、不敵な面構えでカジノのフロアを睨みつけていた。
「ケケッ、2000万、そっくりそのまま引きずり出すぞ……!!」
悪魔の号令と共に、彼らは煌びやかなギャンブルの世界へと足を踏み入れた。