第一章【春季大会編】
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悟の初陣。対戦相手の恋ヶ浜高校を前に、悟はフィールドに立っていた。
横に並ぶのは、蛭魔、栗田と、各部から無理やり連れてこられた「助っ人」たち。
(……心臓の音がうるさい)
指先が氷のように冷たい。練習とは違う、剥き出しの敵意。
悟の隣に立つヒル魔が、その震えを見透かしたようにニヤリと笑うと、脚が前に出る程の強さで悟の肩を叩いた。
「ビビってんのか」
「……っ、痛いです。……でも、ありがとうございます。おかげで少し、感覚が戻りました」
「ケケケ、死んでもボールは離すんじゃねぇぞ!」
試合開始のホイッスルが鳴り響く。
恋ヶ浜はいわば弱小。だが、素人集団の泥門は序盤から防戦一方だった。
「……こっち!」
悟はフィールドを走り出す。相手のコーナーバックが彼女をマークしようと動く。
相手が手を伸ばすより早く、悟はその脇をすり抜ける。
0.11秒の異常な反応速度ー⋯『神速のインパルス』。
相手選手が「なっ、なんだ今のは!?」と驚愕の声を上げる。
ヒル魔がここぞと悟にパスを投げ込むが、ボールは彼女の手を弾いて離れていった。
敵は避けられる。しかし、肝心のキャッチの技術が未熟過ぎるのだ。
密集地帯で激しい接触が起きた時、相手選手の一人が悟の左腕の傷に目を留めた。
「げっ……なんだその腕。気色悪いな」
一瞬、思考が止まりかけた。阿含の呪縛。悟の「覚悟の証」であると同時に「無能さの証」でもある傷跡。
その言葉を遮るように、ヒル魔の冷徹な声がフィールドに響く。
「ケケケ、傷ごときでソイツの価値が下がる理由 ねぇだろ。そんなこともわからねぇ糞 カスが。悟! 足止めてんじゃねぇぞ!!」
選手として焚き付けるその声に、悟は弾かれたように顔を上げた。
(そうだ。ヒル魔さんは私に「価値がある」と言ってくれた!)
「……わかっています、ヒル魔さん!」
悟は再び走り出した。
試合後半、助っ人たちが次々と逃げ出し、絶体絶命のピンチが訪れる。そこでヒル魔が呼び寄せたのは、アイシールドで顔を隠した「謎の選手」だった。
「今日からこいつが、泥門の主砲、光速のランニングバッグ、アイシールド21だ!」
緑色のシールドの奥。そこには、震えながらも覚悟を決めたセナの瞳があった。
悟はセナと視線を合わせ、力強く頷く。
(セナくん……信じてるよ)
ラストプレイ。
ヒル魔の叫びが轟く。
「フィールドをねじ伏せろ!!」
ヒル魔から放たれた鋭いパスを、悟が「神速のインパルス」で敵を避けキャッチする。
……フリをする。
フェイクだ。ヒル魔はボールを投げていない。ディフェンスが悟に群がる。
それこそが狙いだった。悟が囮となり、相手を一人でも多く引きつける。
(今だよ、セナくん!!)
その瞬間、ボールを受け取ったアイシールド21、セナが爆発的な加速を見せた。
「黄金の脚」がフィールドの土を跳ね上げ、相手選手全員を一気にぶち抜く。
誰にも追いつけない、光速の領域。
逆転のタッチダウン。
「……勝った、んだよね?」
初めて掴み取った勝利。
ヒル魔はアサルトライフルを肩に担ぎ、最高に邪悪で不敵な笑みを浮かべ悟に視線を送る。
「ケケケ……! 伝説の始まりだ。YAー!HAー!!」
横に並ぶのは、蛭魔、栗田と、各部から無理やり連れてこられた「助っ人」たち。
(……心臓の音がうるさい)
指先が氷のように冷たい。練習とは違う、剥き出しの敵意。
悟の隣に立つヒル魔が、その震えを見透かしたようにニヤリと笑うと、脚が前に出る程の強さで悟の肩を叩いた。
「ビビってんのか」
「……っ、痛いです。……でも、ありがとうございます。おかげで少し、感覚が戻りました」
「ケケケ、死んでもボールは離すんじゃねぇぞ!」
試合開始のホイッスルが鳴り響く。
恋ヶ浜はいわば弱小。だが、素人集団の泥門は序盤から防戦一方だった。
「……こっち!」
悟はフィールドを走り出す。相手のコーナーバックが彼女をマークしようと動く。
相手が手を伸ばすより早く、悟はその脇をすり抜ける。
0.11秒の異常な反応速度ー⋯『神速のインパルス』。
相手選手が「なっ、なんだ今のは!?」と驚愕の声を上げる。
ヒル魔がここぞと悟にパスを投げ込むが、ボールは彼女の手を弾いて離れていった。
敵は避けられる。しかし、肝心のキャッチの技術が未熟過ぎるのだ。
密集地帯で激しい接触が起きた時、相手選手の一人が悟の左腕の傷に目を留めた。
「げっ……なんだその腕。気色悪いな」
一瞬、思考が止まりかけた。阿含の呪縛。悟の「覚悟の証」であると同時に「無能さの証」でもある傷跡。
その言葉を遮るように、ヒル魔の冷徹な声がフィールドに響く。
「ケケケ、傷ごときでソイツの価値が下がる
選手として焚き付けるその声に、悟は弾かれたように顔を上げた。
(そうだ。ヒル魔さんは私に「価値がある」と言ってくれた!)
「……わかっています、ヒル魔さん!」
悟は再び走り出した。
試合後半、助っ人たちが次々と逃げ出し、絶体絶命のピンチが訪れる。そこでヒル魔が呼び寄せたのは、アイシールドで顔を隠した「謎の選手」だった。
「今日からこいつが、泥門の主砲、光速のランニングバッグ、アイシールド21だ!」
緑色のシールドの奥。そこには、震えながらも覚悟を決めたセナの瞳があった。
悟はセナと視線を合わせ、力強く頷く。
(セナくん……信じてるよ)
ラストプレイ。
ヒル魔の叫びが轟く。
「フィールドをねじ伏せろ!!」
ヒル魔から放たれた鋭いパスを、悟が「神速のインパルス」で敵を避けキャッチする。
……フリをする。
フェイクだ。ヒル魔はボールを投げていない。ディフェンスが悟に群がる。
それこそが狙いだった。悟が囮となり、相手を一人でも多く引きつける。
(今だよ、セナくん!!)
その瞬間、ボールを受け取ったアイシールド21、セナが爆発的な加速を見せた。
「黄金の脚」がフィールドの土を跳ね上げ、相手選手全員を一気にぶち抜く。
誰にも追いつけない、光速の領域。
逆転のタッチダウン。
「……勝った、んだよね?」
初めて掴み取った勝利。
ヒル魔はアサルトライフルを肩に担ぎ、最高に邪悪で不敵な笑みを浮かべ悟に視線を送る。
「ケケケ……! 伝説の始まりだ。YAー!HAー!!」