第二章(アメリカ合宿編)
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テキサスの太陽が容赦なく白砂を灼き、汗ばんだ肌を潮風が撫でていく。
アメリカに降り立った泥門デビルバッツの一行が浮かれる中、ヒル魔だけは退屈そうにガムを膨らませていた。
「……ケケッ、うるせぇ野郎どもだ」
「ヒル魔さん? 皆はビーチでひと泳ぎするみたいですけど……練習は良いんですか?」
悟が問いかけると、ヒル魔は不敵な笑みを浮かべる。
「ついて来い。付き合え」
「え……? はいっ」
常に「試合で勝つのための行動」を最優先する彼からの、唐突な誘い。
二人きりでの外出——脳裏に、彼にはあまりに不似合いな「デート」という言葉がよぎる。悟は高鳴る鼓動を抑えきれず、海風にさらさらと揺れる髪を耳にかけ、彼の背中を追いかけた。
辿り着いたのは、ビーチの目と鼻の先にある、重厚な鉄の扉が閉ざされた建物だった。扉を開けた瞬間、潮風とは対照的なオイルと硝煙の混じった、硬質な匂いが鼻腔を突く。
「アメリカといえば、ここだろ」
そこは、見渡す限りの実銃が並ぶ本格的なガンショップ兼射撃場だった。ヒル魔は慣れた手つきで、洗練された漆黒の拳銃を選び取る。
「……これ、本物……?」
「当たり前だ。悟、お前もやってみっか?……銃は両手で構えろ。違ェ、脇を締めンだよ」
戸惑う悟の背後に、ヒル魔が音もなく回り込む。
彼女の手に自分の手を重ね、正しい構え方を教え込むその距離は、耳元で吐息を感じるほどに近かった。
「動くな。引き金を引く時は銃口が下に傾かねぇように意識しろ。……撃て」
ドンッ!!
凄まじい衝撃が腕を突き抜け、鼓動が跳ねる。重厚な金属の熱と、背中越しに伝わるヒル魔の体温。悟の心臓は、銃撃の反動とは別の理由で、激しく波打っていた。
その時、隣のブースで撃っていた地元の屈強な男たちが、下卑た笑い声を上げた。
「おいおい、東洋人のガキがままごと遊びか? お嬢ちゃん、俺らが手取り足取り教えてやろうか?」
悟の肩がビクリと跳ねる。だが、ヒル魔は眉一つ動かさない。彼は一言も発さず、流れるような動作で一挺の銃を構えた。
バンッ、バンッ、バンッ!!
三連発。放たれた弾丸はすべて的のど真ん中——それも、一発目が開けた穴をさらに抉り広げるように、正確無比に撃ち抜かれた。
「…………!」
男たちの顔が凍りつく。言葉ではなく実力で不快な外野を黙らせる、それが蛭魔妖一だった。
「ケケッ! 是非『手取り足取り』ご教授願いたいもんだ。…弾の無駄使いにならなきゃいいがナァ」
ヒル魔が挑発的な笑みを浮かべたその時。
店の端、影になったベンチでカウボーイハットを目深に被っていた一人の男が、ゆっくりと立ち上がった。
「……やあ。見事な腕前だ。」
ハットの隙間から見えたのは、涼やかな瞳。彼は流れるような動作で自分の銃を抜くと、一瞬で標的のド真ん中を撃ち抜いて見せた。
「テメーは西武のキッド……! 西武もアメリカに来てやがったか」
西武ワイルドガンマンズ。極端なまでの攻撃重視チームで、守備重視の王城とは対極の立場。
昨年までは無名に近いチームだったが、目の前にいるキッドと、鉄馬丈のコンビの加入により、春季大会ではあの王城に迫るほどに大きな躍進を見せた。
悟が驚くと、キッドはハットの端を指でクイと上げ、二人の親密な様子を眺めて微笑んだ。
「ああ。俺たちも合宿(ワークアウト)でね。……おや、お楽しみの最中だったかな。デートを邪魔するような野暮なことは無しだ。一足先に失礼するよ。」
「なっ……!!」
顔を真っ赤にする悟を置き去りに、キッドは風のように店を去っていった。ヒル魔は苦々しくガムを噛み、「ケケッ、糞ガンマンが……」と吐き捨てた。
ガンショップを後にし、ビーチへ戻ると、そこではビーチフット大会が開催されていた。賞金10万円と最高級テキサス牛。それを懸けて戦っていたのは、奇妙な混成チームだった。
「ああっ! セナ、危ない!」
「足が砂に沈んで……!」
セナ、モン太、まもり、そしてキッドに西武のドク監督。チーム「デビルガンマンズ」は、現役QBキッドとレシーバーのモン太によるパスがあるものの、まもりの監視下では本気で走れないセナと、素人のまもりと動けないドク監督が「穴」となり、現地のマッチョなチームに完敗の危機に瀕していた。
「ケケッ! 何やってんだアイツら! !」
観戦席で爆笑していたヒル魔だが、ふと悟の背中を、無慈悲に、そして力強く押し出した。
「おもしれぇ。……悟。行ってこい!」
「えっ、私!? 」
「西武のキッド。ガンショップで会ったろ、奴のパス受けてこい、百聞は一見にしかずってな!!」
突然の投入に、砂まみれのセナたちが顔を輝かせる。
「悟さん! 助かるよ! これでパスの選択肢が増える!」
灼熱の砂浜に足を踏み入れる悟。その瞳の先で、キッドが銃を抜くような速さで指を鳴らした。
「また会ったな、泥門の秘蔵っ子。心待ちにしていたよ。お手並み拝見といこうか」
重い砂、潮風、そして初めて受けるキッドのパス。
悟の「悪魔の予言」は、この予測不能な砂の上で、どんな未来を描き出すのか。
アメリカに降り立った泥門デビルバッツの一行が浮かれる中、ヒル魔だけは退屈そうにガムを膨らませていた。
「……ケケッ、うるせぇ野郎どもだ」
「ヒル魔さん? 皆はビーチでひと泳ぎするみたいですけど……練習は良いんですか?」
悟が問いかけると、ヒル魔は不敵な笑みを浮かべる。
「ついて来い。付き合え」
「え……? はいっ」
常に「試合で勝つのための行動」を最優先する彼からの、唐突な誘い。
二人きりでの外出——脳裏に、彼にはあまりに不似合いな「デート」という言葉がよぎる。悟は高鳴る鼓動を抑えきれず、海風にさらさらと揺れる髪を耳にかけ、彼の背中を追いかけた。
辿り着いたのは、ビーチの目と鼻の先にある、重厚な鉄の扉が閉ざされた建物だった。扉を開けた瞬間、潮風とは対照的なオイルと硝煙の混じった、硬質な匂いが鼻腔を突く。
「アメリカといえば、ここだろ」
そこは、見渡す限りの実銃が並ぶ本格的なガンショップ兼射撃場だった。ヒル魔は慣れた手つきで、洗練された漆黒の拳銃を選び取る。
「……これ、本物……?」
「当たり前だ。悟、お前もやってみっか?……銃は両手で構えろ。違ェ、脇を締めンだよ」
戸惑う悟の背後に、ヒル魔が音もなく回り込む。
彼女の手に自分の手を重ね、正しい構え方を教え込むその距離は、耳元で吐息を感じるほどに近かった。
「動くな。引き金を引く時は銃口が下に傾かねぇように意識しろ。……撃て」
ドンッ!!
凄まじい衝撃が腕を突き抜け、鼓動が跳ねる。重厚な金属の熱と、背中越しに伝わるヒル魔の体温。悟の心臓は、銃撃の反動とは別の理由で、激しく波打っていた。
その時、隣のブースで撃っていた地元の屈強な男たちが、下卑た笑い声を上げた。
「おいおい、東洋人のガキがままごと遊びか? お嬢ちゃん、俺らが手取り足取り教えてやろうか?」
悟の肩がビクリと跳ねる。だが、ヒル魔は眉一つ動かさない。彼は一言も発さず、流れるような動作で一挺の銃を構えた。
バンッ、バンッ、バンッ!!
三連発。放たれた弾丸はすべて的のど真ん中——それも、一発目が開けた穴をさらに抉り広げるように、正確無比に撃ち抜かれた。
「…………!」
男たちの顔が凍りつく。言葉ではなく実力で不快な外野を黙らせる、それが蛭魔妖一だった。
「ケケッ! 是非『手取り足取り』ご教授願いたいもんだ。…弾の無駄使いにならなきゃいいがナァ」
ヒル魔が挑発的な笑みを浮かべたその時。
店の端、影になったベンチでカウボーイハットを目深に被っていた一人の男が、ゆっくりと立ち上がった。
「……やあ。見事な腕前だ。」
ハットの隙間から見えたのは、涼やかな瞳。彼は流れるような動作で自分の銃を抜くと、一瞬で標的のド真ん中を撃ち抜いて見せた。
「テメーは西武のキッド……! 西武もアメリカに来てやがったか」
西武ワイルドガンマンズ。極端なまでの攻撃重視チームで、守備重視の王城とは対極の立場。
昨年までは無名に近いチームだったが、目の前にいるキッドと、鉄馬丈のコンビの加入により、春季大会ではあの王城に迫るほどに大きな躍進を見せた。
悟が驚くと、キッドはハットの端を指でクイと上げ、二人の親密な様子を眺めて微笑んだ。
「ああ。俺たちも合宿(ワークアウト)でね。……おや、お楽しみの最中だったかな。デートを邪魔するような野暮なことは無しだ。一足先に失礼するよ。」
「なっ……!!」
顔を真っ赤にする悟を置き去りに、キッドは風のように店を去っていった。ヒル魔は苦々しくガムを噛み、「ケケッ、糞ガンマンが……」と吐き捨てた。
ガンショップを後にし、ビーチへ戻ると、そこではビーチフット大会が開催されていた。賞金10万円と最高級テキサス牛。それを懸けて戦っていたのは、奇妙な混成チームだった。
「ああっ! セナ、危ない!」
「足が砂に沈んで……!」
セナ、モン太、まもり、そしてキッドに西武のドク監督。チーム「デビルガンマンズ」は、現役QBキッドとレシーバーのモン太によるパスがあるものの、まもりの監視下では本気で走れないセナと、素人のまもりと動けないドク監督が「穴」となり、現地のマッチョなチームに完敗の危機に瀕していた。
「ケケッ! 何やってんだアイツら! !」
観戦席で爆笑していたヒル魔だが、ふと悟の背中を、無慈悲に、そして力強く押し出した。
「おもしれぇ。……悟。行ってこい!」
「えっ、私!? 」
「西武のキッド。ガンショップで会ったろ、奴のパス受けてこい、百聞は一見にしかずってな!!」
突然の投入に、砂まみれのセナたちが顔を輝かせる。
「悟さん! 助かるよ! これでパスの選択肢が増える!」
灼熱の砂浜に足を踏み入れる悟。その瞳の先で、キッドが銃を抜くような速さで指を鳴らした。
「また会ったな、泥門の秘蔵っ子。心待ちにしていたよ。お手並み拝見といこうか」
重い砂、潮風、そして初めて受けるキッドのパス。
悟の「悪魔の予言」は、この予測不能な砂の上で、どんな未来を描き出すのか。