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サンサン太陽!キャンプ1日目

再度車を走らせて2時間半、一行はやっとキャンプ場へと到着した。
落ち着いた雰囲気のキャンピングエリアには数個テントが並んでいる。耳をすませば近くの川の流れる音が聞こえてくる。チラシで見た通りとても素敵なキャンプ場のようだ。

「わーい!ついたー!!」

ややを筆頭にみんな場内へと走り出す。そこそこ重たい荷物を持っているはずなのにすごい元気だ。

「イクト兄さん、運転ありがとう」

唯世はイクトへと体を向けて礼を述べた。交代なしで長時間の運転はかなり大変のはずだ。イクトは肩を鳴らして伸びをしている。

「別に平気だ。それより早くあいつらを追わねーと」

イクトと唯世は先行しているやや達を小走りで追った。

「まずはチェックインをしてテントを借りないとね」

なぎひこがマップを開きながら言う。フロントはもう少し奥にあるようだ。全員で荷物をもって歩き始めた。

フロントには優しい老夫婦がいて、テント2つと説明書を渡してくれた。鉄の部品も含めるとそこそこの重さがあるので男性陣で手分けして運んだ。

こはる達グループに振り分けられたスペースは目の前に綺麗な川を眺めることのできる場所だった。一行はさっそくテントを立て始めることにした。

「これどうなってるんだ?」

「んー全然わかんない!」

そんな空海やややになぎひこが指示を出す。こはるとりまも非力ながらにやれることは手伝った。そして数十分後、大きなテントが2つ完成した。男子用と女子用だ。

「テントも立て終わったことで・・・」

ややがそわそわした様子で言いだす。

「れっつごー川!!」

そう言ってテントの中へこはる達女性陣を引っ張り込んだ。

「俺たちも着替えるか」

空海達男性陣もテントへ入って着替えを始めた。そこはやはり男子なので素早く着替え終わった。空海となぎひこは女子に頼まれた浮き輪を膨らませている。

するとややとりまがいっしょにテントから出てきた。2人ともかわいらしい水着を身にまとっている。

「じゃじゃーん、かわいいでしょうが!」

腰に手を当ててそう言うややは本当にかわいらしい。その後ろでりまは少し恥ずかしそうにしている。
するとややは空海の持っている浮き輪に気が付く。

「ちょっと空海~!ややのアヒルちゃん全然膨らんでないじゃん!」

そうぷりぷり起こるやや。空海がまかされていたのはそこそこ大きめのアヒル型の浮き輪だ。いくら体力のある空海といっても膨らましきるのは難しいだろう。

「しょーがねぇだろ!こんな大きいのもってくんなっての」

そんな2人になぎひこが声をかける。

「そういえばフロントに空気入れのレンタルがあったような・・・」

「なんだよ、それなら早く行ってくれよ~」

空海は息を送るのをやめがっくりと項垂れる。

「相馬くんならやり切るかなーと思って」

なぎひこはニコニコ笑っている。やはり心の中ではなかなかにSの心を持ち合わせているようだ。ややは空海の手を引っ張ってさっそくフロントへ向かう。なぎひこもいっしょに行こうと思ったが、その場から動かないりまを見た。

「りまちゃん、行かないの?」

「あむを待ってるからいい」

そう言いながら少し恥ずかしそうにしている。水着を着るのが嫌だったのだろうか。そう思ったなぎひこはりまの手を取って歩き出した。

「ちょっと」

りまは少しの抵抗を見せる。だが男であるなぎひこの手は簡単にほどけない。

「水着、すごく似合ってるよ。僕達も行こう」

そう言って前を向いた。りまはその言葉を聞いて俯いてしまったが、なぎひこと共に歩き出した。

イクトと唯世はテントの中の2人を待ちながらその光景を見守っていた。
数分後、やっとテントのファスナーが開いた。
最初に出てきたのはあむだ。白い生地に大きなひまわりが描かれた水着を着ている。

「お待たせ。ちょっと手間取っちゃって」

イクトがあむの姿をじっと見つめる。そんな視線にあむは腕を組んでそっぽ向く。

「なによ。どうせ似合ってないとか思ってるんでしょ」

「いや、似合ってる。かわいいんじゃねーの」

イクトのストレートな言葉に顔を真っ赤にするあむ。口をあわあわとさせている。

「か、かわいい・・・?!」

「相変わらず胸はないけどな」

今度はぼそっとそう呟いた。しかしあむの耳にはしっかりと聞こえていたようだ。

「なんだとー!?」

完璧に頭に血が上ったあむは川へと駆けていくイクトを追いかけて行ってしまった。
すると今度はこはるがテントから出てきた。

「あむちゃん日焼け止め塗って・・・っていない?」

こはるは先日空海に選んでもらった水着を着ていた。白黒チェックのビキニに、黒単色のショートパンツだ。

「あ、唯世お待たせ」

見事に水着を着こなしたこはる。その全身を視界に入れると唯世は顔を赤くした。こはるも同様で、唯世の水着姿に顔を赤くしている。

「こはる、とっても似合ってるよ。きれいだ」

「あ、ありがとう。唯世もすっごくかっこいい・・・!」

唯世も黒と白を基調とした水着を着ており、意図せずにもミラーコーデのようになっていた。

「でもどうしよう・・・。まだ背中の日焼け止め塗ってないのに」

日ごろから肌のケアを念入りに行っているこはる。日焼けなどもってのほかだった。あむに仕上げをしてもらおうと思ってたのにいつの間にか先に川へ降りている。
すると唯世が遠慮気味に申し出た。

「僕が塗ろうか?背中だけだったら・・・」

「え、唯世が?」

その申し出に驚いたこはるだったが、背に腹は代えられない。自分で手の届かないところだけ塗ってもらうことにした。

「少し髪を上げていてくれないかい?」

そう言われたこはるは長い髪を一つにまとめたポニーテールを横へずらす。好きな人の前でうなじをさらすのはかなり恥ずかしい行為だった。

唯世の指が優しく肌を滑る。丁寧に素早く塗ってくれている。
しかしうなじの部分をなぞられたとき、そのくすぐったさからついおかしな声を出してしまった。

「ひゃっ」

「ご、ごめん。くすぐったかった?」

「ううん、大丈夫!ありがとう」

無事?に日焼け止めは塗り終えた。

「さぁ、僕らも行こうか」

唯世はこはるの手を引いて川へ向かった。
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