夏休み2週目。今日はついにキャンプの日だ。
全員時間前に集合をして、イクトが来るのを待っている。

「ていうかやや荷物多すぎ！車乗れなくなっちゃうじゃん」

あむが指さす先にはややが持ってきた大きなバックがある。バックは完全に締まり切っておらず、中からバトミントンや浮き輪が見えている。

「だってぇ、みんなで遊ぼうと思って」

大きめの車をレンタルして全員で乗っていくのだ。荷物は各自コンパクトにまとめることを約束としていた。

「まぁまぁあむちゃん。私と唯世の荷物少ないから大丈夫じゃない？」

こはるは自分の持ってきたリュックを見せた。2泊3日にしてはかなり少なくまとめられている。唯世のリュックも同様だ。

「さっすがこはるたんと唯世！」

ややはニコニコしながらこはるの手を握った。その様子を見てみんな苦笑いしている。

そして集合時間ちょうど。こはる達の前に大きな車が止まった。運転席からはサングラスをかけてラフな服装のイクトが出てきた。

「よお、待たせたな」

「うそ、めちゃめちゃ大きい」

普通免許で運転できるぎりぎりのサイズであろう車をレンタルしたようだ。あむは口を開けて驚いている。
そんなあむを見てイクトは軽く笑いながら言った。

「早く乗れよ。到着が遅くなるぞ」

そういって後部座席のドアを開けてくれた。こはる達はわいわいと中へ乗り込む。あむも乗り込もうとしたが、みんなに止められた。焦るあむになぎひこが笑顔で言う。

「あむちゃんは助手席でナビ係よろしくね」

「え、助手席？！」

「助手席に誰もいないなんてイクトさん寂しいよ？」

こはるは純粋にそう思った。みんなからの圧を受けてあむはしぶしぶ助手席へと座った。

「しっかりやってくれよ、ナビ係」

「わ、分かったから。早く出発して！」

こうして一行の旅は始まった。