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偶然デート?キャンプ準備編

「待てよ、試着した姿を俺だけが見るなんて、唯世が知ったらどうなるか」

空海は顎に手を当てて唸っている。水着を選ぶだけでも彼氏としてはいい顔をしないかもしれないがそれを着た姿を一番に見るなんてまずいのではないか。
そんな空海に女性の店員さんが話しかけに来る。

「彼女さん、あの水着お似合いになるでしょうね!水着を選び合うなんて仲が良くて羨ましいですぅ」

そうニコニコ言い残して去ってしまった。
すると試着室のカーテンが少しずつ開かれた。空海は思わず試着室とは真反対の方向へ体を向ける。

「空海お待たせ。サイズ大丈夫だったよ」

こはるが空海へ声をかける。しかし空海はこちらを見ようとしないのでこはるは首を傾げた。
空海は心の中で葛藤していた。しかし男子中学生の欲には勝てなかった。

「花城、お前がいいというのなら俺は」

そう言って勢いよく振り返った。

「は?」

試着室から出てきたこはるは先ほどと変わらず私服を着ていた。水着はその手の中に大事そうに抱えられている。

「あれ、水着は」

「やだ、こんなところで水着姿見せるなんて恥ずかしいよ~」

空海とダイチは安心したような、少しがっかりしたようなため息をついた。ティアラはその心の内が分かったように呆れた笑いをこぼした。

「よし、水着も買えたしこれからどうしようか」

こはるは片手に水着の入れられた紙袋をもって空海へ問いかけた。

「んーそうだな。あっちにキャンプ用品専門の店があるから見てみないか」

「いいね!」

その後空海とこはるはキャンプ用品を見て回り、水辺で使えそうな玩具などを買った。
時は流れてあっという間にお昼の時間帯。2人はフードコートへ向かっていた。

「やっぱりどこも混んでるね」

フードコートにやってきたはいいが、時間帯もありだいぶ賑わっていた。

「お、あそこ開いてるな。花城は何が食べたい?」

「さっきポスターにあったパスタが気になるかも」

「よし!んじゃ俺が買ってくるからここで待っててくれ」

こはるに荷物を預けた空海はパスタ屋さんの列に並びに行った。
大変な役目は率先して引き受ける、先ほど買った物の袋も持ってくれていた。こういう優しさがみんなに慕われる理由の一つなのであろうとこはるは思った。

数分後、パスタを2皿持った空海が席へと戻ってきた。

「ありがとう空海」

「いいって。早く食べようぜ」

そうして楽しく話しながらお昼を済ませた。
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