感じるぬくもり!私のたまご?
その日の夜、生徒会グループラインによってその情報は共有された。再度、注意してパトロールに取り組むようにとも。
こはるは布団の中で考えていた。やはりしゅごキャラが生まれていない自分がパトロールに参加するのは迷惑になるのではないかと。明日、唯世達にパトロールはお願いして自分のできることをしようと思った。
次の集まりの際、こはるは他のメンバーへそう説明した。
みんなが攻めることはもちろんなかったし、まかせろ、こはるは早めに帰宅するようにと言ってくれた。
こはるにとってはもちろんありがたいことだが、少し寂しくもあった。
「唯世達、行っちゃたなぁ。私も水やりが終わったら早く帰らなきゃ!」
夏休み前、特に大きな仕事はないので当番制の花壇の水やりだけは無理やり一人で引き受けて、みんなを見送った。
「今日もとってもきれいに咲いてるなぁ」
こはるは鼻歌を歌いながら水やりを進めた。水を浴びた花たちはキラキラと輝いている。
30分ほどで全体の水やりを終えた。ベンチへ置いていたカバンを取り、そのまま下校をしようとした。
その時大きな風が吹いた。こはるは思わず目をつむり、風がやむのを待った。
そして目を開けると、自分の前に昨日の男が立っているのを見た。
「ひっ、なんでここに」
とにかく逃げようとしたこはるだが、またあの男の目に見つめられて足が動かなくなった。
「今日は1人なんだね」
そう言って少しづつ近づいてくる。
「また君のたまごを見せてもらえないかな」
こはるは思わずたまごを入れているカバンを強く握る。絶対にたまごを渡してはいけないような気がした。
「そんなに怖いのならばたまごを渡してしまえばいい。見たところ君は他の子たちと違って戦うすべがないようだ。足手まとい・・・とは言わないけどもたまごだけでも置いて逃げたほうがいいのではないかい?」
そう笑いながら言ってくる。こはるはずっと恐怖で震えていたが、その言葉を聞いた瞬間恐怖よりも怒りの感情が湧いてくる。
「みんなはそんなこと言わない。私のことを足手まといだなんて」
男は少し驚いたように目を見開く。
「確かにしゅごキャラもいない私はみんなみたいに戦えない。でも、私には私なりの戦い方があるはずよ」
強いまなざしで男を見据えて言う。その時、カバンの中から暖かい光が漏れ始めていた。男はそれを見るとうれしそうに小さな笑みを浮かべ始める。
「私だって守られてるだけじゃない。みんなを守りたい」
そうこはるが言った後、光は更に大きくなった。するとカバンからこはるのココロのたまごが出てきた。こはるは驚いてそのたまごに手を伸ばす。するとだんだんとたまごにひびが入り、ついには2つに割れた。しゅごキャラが生まれたのだ。
「こはる、ごきげんよう」
サラサラなクリーム色の髪に長いまつげ、大きな目。まるで童話に出てくるお姫様のようなドレス。そして頭には光り輝くティアラをのせている。とてもかわいらしいしゅごキャラが生まれてきた。
「あなたが、私のしゅごキャラ?なりたい自分?」
「えぇ、誰かを守りたいと思う心。そして大切な人のそばにいたいと思う気持ち。それをしっかり感じたから私は生まれてきたの」
やがてそのしゅごキャラから放たれていた光は収まった。しゅごキャラはこはるの手の中に降り立った。
「私の名前はティアラ。あなたと2人で話したいのはやまやまなんだけれど、どうやら邪魔者がいるみたいね」
そうだ。すっかり忘れていたがあの怪しげな男が目の前にいるのだった。こはるは男を再度見つめた。男は何やらうれしくて仕方がないような顔をしていた。
「しゅごキャラ誕生の瞬間に立ち会えるなんて・・・。なんて幸福なことであろう」
そう言って笑っている。その姿を見たこはるは再度恐怖を感じるが、ティアラが堂々とした姿でこはるの前へ浮かぶ。
「こはるに勇気が出るように、キャラチェンジよ」
そうティアラが言った瞬間、こはるの頭には小さめのティアラが飾られた。すると弱気になっていた気持ちが消え、心の底から暖かい光が溢れてくるような気がした。
「あなた、いったいどういうつもりかしら。ここは部外者は立ち入り禁止。なんの目的があって入り込んだのかしら」
あきらかに自分のキャラではない話し方。すっとのどから出てきたセリフだ。きっとキャラチェンジの影響であろう。
すると男はまたおもしろそうに笑い出した。
「へぇ、これがキャラチェンジか。おもしろいなぁ」
そう言ってこはるへ再度手を伸ばした。
その時、上空から見覚えのあるシルエットが下りてきた。
「おいおっさん、その辺にしとけよ」
「イクトさん?!」
下りてきたのはイクトだった。ヨルとキャラチェンジをしている。イクトは男からこはるを守るように立ちふさがった。
「またもやお邪魔が入ったね。まぁいい、また君とは会うことになりそうだ」
そう言って男は去っていった。途端こはるのキャラチェンジは解けて、地面に座り込んでしまった。イクトはその様子を見て少し驚いたが、キャラなりを解くとすぐにこはるに手を貸し立たせてくれた。
「ありがとうイクトさん」
「あいつが例の男だな」
イクトは神妙な様子で問いかける。イクト自身先ほどの男の異様な様子を感じ取っていた。
「うん、本当に何を考えているのかわからない・・・」
暗い顔になるこはるを見て、イクトはその頭に手を置いた。
「まぁ無事でよかった。それにそいつ、お前のしゅごキャラか」
するとティアラがイクトの前へと移動をする。そしてスカートの橋を持ちぺこりとお辞儀をした。
「ティアラと申しますわ。あなたのこともこはるのココロの中から見ていましたので知っております。よろしく」
その後ヨルとも挨拶を済ませたティアラはこはるの肩に座った。そうやらそこが定位置のようだ。
「とりあえず帰るか。送ってく」
そう言ってイクトは歩き出した。こはるはおいて行かれないようにその後を小走りで追った。
こはるは布団の中で考えていた。やはりしゅごキャラが生まれていない自分がパトロールに参加するのは迷惑になるのではないかと。明日、唯世達にパトロールはお願いして自分のできることをしようと思った。
次の集まりの際、こはるは他のメンバーへそう説明した。
みんなが攻めることはもちろんなかったし、まかせろ、こはるは早めに帰宅するようにと言ってくれた。
こはるにとってはもちろんありがたいことだが、少し寂しくもあった。
「唯世達、行っちゃたなぁ。私も水やりが終わったら早く帰らなきゃ!」
夏休み前、特に大きな仕事はないので当番制の花壇の水やりだけは無理やり一人で引き受けて、みんなを見送った。
「今日もとってもきれいに咲いてるなぁ」
こはるは鼻歌を歌いながら水やりを進めた。水を浴びた花たちはキラキラと輝いている。
30分ほどで全体の水やりを終えた。ベンチへ置いていたカバンを取り、そのまま下校をしようとした。
その時大きな風が吹いた。こはるは思わず目をつむり、風がやむのを待った。
そして目を開けると、自分の前に昨日の男が立っているのを見た。
「ひっ、なんでここに」
とにかく逃げようとしたこはるだが、またあの男の目に見つめられて足が動かなくなった。
「今日は1人なんだね」
そう言って少しづつ近づいてくる。
「また君のたまごを見せてもらえないかな」
こはるは思わずたまごを入れているカバンを強く握る。絶対にたまごを渡してはいけないような気がした。
「そんなに怖いのならばたまごを渡してしまえばいい。見たところ君は他の子たちと違って戦うすべがないようだ。足手まとい・・・とは言わないけどもたまごだけでも置いて逃げたほうがいいのではないかい?」
そう笑いながら言ってくる。こはるはずっと恐怖で震えていたが、その言葉を聞いた瞬間恐怖よりも怒りの感情が湧いてくる。
「みんなはそんなこと言わない。私のことを足手まといだなんて」
男は少し驚いたように目を見開く。
「確かにしゅごキャラもいない私はみんなみたいに戦えない。でも、私には私なりの戦い方があるはずよ」
強いまなざしで男を見据えて言う。その時、カバンの中から暖かい光が漏れ始めていた。男はそれを見るとうれしそうに小さな笑みを浮かべ始める。
「私だって守られてるだけじゃない。みんなを守りたい」
そうこはるが言った後、光は更に大きくなった。するとカバンからこはるのココロのたまごが出てきた。こはるは驚いてそのたまごに手を伸ばす。するとだんだんとたまごにひびが入り、ついには2つに割れた。しゅごキャラが生まれたのだ。
「こはる、ごきげんよう」
サラサラなクリーム色の髪に長いまつげ、大きな目。まるで童話に出てくるお姫様のようなドレス。そして頭には光り輝くティアラをのせている。とてもかわいらしいしゅごキャラが生まれてきた。
「あなたが、私のしゅごキャラ?なりたい自分?」
「えぇ、誰かを守りたいと思う心。そして大切な人のそばにいたいと思う気持ち。それをしっかり感じたから私は生まれてきたの」
やがてそのしゅごキャラから放たれていた光は収まった。しゅごキャラはこはるの手の中に降り立った。
「私の名前はティアラ。あなたと2人で話したいのはやまやまなんだけれど、どうやら邪魔者がいるみたいね」
そうだ。すっかり忘れていたがあの怪しげな男が目の前にいるのだった。こはるは男を再度見つめた。男は何やらうれしくて仕方がないような顔をしていた。
「しゅごキャラ誕生の瞬間に立ち会えるなんて・・・。なんて幸福なことであろう」
そう言って笑っている。その姿を見たこはるは再度恐怖を感じるが、ティアラが堂々とした姿でこはるの前へ浮かぶ。
「こはるに勇気が出るように、キャラチェンジよ」
そうティアラが言った瞬間、こはるの頭には小さめのティアラが飾られた。すると弱気になっていた気持ちが消え、心の底から暖かい光が溢れてくるような気がした。
「あなた、いったいどういうつもりかしら。ここは部外者は立ち入り禁止。なんの目的があって入り込んだのかしら」
あきらかに自分のキャラではない話し方。すっとのどから出てきたセリフだ。きっとキャラチェンジの影響であろう。
すると男はまたおもしろそうに笑い出した。
「へぇ、これがキャラチェンジか。おもしろいなぁ」
そう言ってこはるへ再度手を伸ばした。
その時、上空から見覚えのあるシルエットが下りてきた。
「おいおっさん、その辺にしとけよ」
「イクトさん?!」
下りてきたのはイクトだった。ヨルとキャラチェンジをしている。イクトは男からこはるを守るように立ちふさがった。
「またもやお邪魔が入ったね。まぁいい、また君とは会うことになりそうだ」
そう言って男は去っていった。途端こはるのキャラチェンジは解けて、地面に座り込んでしまった。イクトはその様子を見て少し驚いたが、キャラなりを解くとすぐにこはるに手を貸し立たせてくれた。
「ありがとうイクトさん」
「あいつが例の男だな」
イクトは神妙な様子で問いかける。イクト自身先ほどの男の異様な様子を感じ取っていた。
「うん、本当に何を考えているのかわからない・・・」
暗い顔になるこはるを見て、イクトはその頭に手を置いた。
「まぁ無事でよかった。それにそいつ、お前のしゅごキャラか」
するとティアラがイクトの前へと移動をする。そしてスカートの橋を持ちぺこりとお辞儀をした。
「ティアラと申しますわ。あなたのこともこはるのココロの中から見ていましたので知っております。よろしく」
その後ヨルとも挨拶を済ませたティアラはこはるの肩に座った。そうやらそこが定位置のようだ。
「とりあえず帰るか。送ってく」
そう言ってイクトは歩き出した。こはるはおいて行かれないようにその後を小走りで追った。