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感じるぬくもり!私のたまご?

「あむちゃんおはよう」

こはるは教室に入るとすぐにあむの席へ向かった。ラン達しゅごキャラもいっしょにいる。

「おはようこはる。なんかうれしそう?」

「んん、なんかしゅごキャラの気配・・・」

こはるの満面の笑みを見て不思議がるあむ。ラン達はたまごの気配に気づいているようだ。

「実は・・・、私のたまごが生まれました!」

手のひらに乗せたたまごをあむへと見せる。これにはあむもラン達も驚いている。
そこに少し遅れて唯世もやってきた。

「あははあむちゃんも驚いてる」

そんな唯世にあむは力のこもった声で返す。

「だってこはるのココロのたまごだよ!?驚くって!」

そんなあむを見てこはるも唯世も笑い出す。唯世も先ほどの不安な表情はすっかりなくなっている。

「もー。でも、早く生まれるといいねたまご!」

「うん。一体どんな子がうまれるんだろう」

そんな話をしているうちにホームルームの時間になった。こはる達はそれぞれ自分の席へ行ったが、こはるの心の中はたまごのことでいっぱいだった。


時は流れて放課後。今日も今日とて生徒会の集まりが行われていた。こはるはたまごが生まれたことを他のメンバーにも話した。みんながうれしそうにしてくれた。

そして今回の議題は、先日プール掃除後おこった事件。公園に現れた謎の男の件である。

「それでイクト兄さん、歌唄ちゃんにも協力してもらって×たまの捕獲や男の追跡を行うことになった。みんなも必ず単体行動はせずに、複数人でパトロールにとりかかろう」

イクトと歌唄にもあむから事件のことは伝えられていた。歌唄は仕事が忙しいが、事務所周辺や活動場所の監視は行ってくれるそうだ。×たまを見つけた場合は浄化できるメンバーの元へ連れて行く。それらしき男が現れた場合は一度全員へ伝達してから対応するということに決まった。

こはるが見回りに参加することを唯世は反対したが、本人の強い希望と周りのメンバーの後押しにより参加することが決定した。

「それじゃあ今日の業務が終了した後、振り分けたエリアを巡回してから家へ帰るということでいいかな?」

「ああ、大丈夫だ」

空海をはじめ全員が頷いた。

パトロールのメンバー分け
Aエリア 空海、あむ
Bエリア なぎひこ、りま 
Cエリア 唯世、やや、こはる


「よし、僕らも行こうか。結木さん、こはる」

ややは片手をあげながら答えた。こはるもぐっと意気込んで唯世の後を追った。

町の図書館や公民館を回りながら歩いた。今のところは特に異変はないようだ。ややは少しつまらなそうに口を尖らせていた。

「なんかなんにもない!つまんな~い」

そんなややに唯世は苦笑いを浮かべる。するとややの目に一つの建物が映る。

「あー!ややあそこのバナナジュース飲んでみたかったんだぁ」

そう言って走り出そうとするので2人はややの手を取り止める。

「だめだよややちゃん。見回り中なんだから」

しかしややも諦める気はない。普通に下校するうちはこのあたりに立ち寄ることはないからだ。そんなややを見て仕方がないかと唯世は手を離した。

「ちょっと休憩にしようか。僕達はここで待ってるから結木さん、ジュース買ってきてもいいよ」

「唯世とこはるたんはいらない?」

「うん、私もいいかな」

それを確認するとややは笑顔でお店に向かった。ぺぺも慌ててついていく。店には短めの列ができている。ややが戻ってくるまでは少し時間がかかりそうだ。
近くにベンチがあるのを確認した唯世はこはるをそこへ連れて行く。

「ごめんこはる、少しお手洗いに言ってきてもいいかな。すぐ戻るよ」

申し訳なさそうにいう唯世をこはるは笑顔で送り出した。
ベンチで座っている間、こはるは手の中でたまごを包んでいた。

「なりたい自分かぁ。早く出ておいで~」

そう小さく話しかけていると、少したまごが揺れるのを感じた。
そんなこはるを大きな影が覆った。

「お嬢さん、そのたまごもしかして君の?」

こはるの目の前には身長180は超えてそうな大柄な男が立っていた。ニコニコと人のよさそうな笑顔を浮かべているが、見つめる先は一点でこはるの持っているたまごだ。

「誰、ですか」

こはるはたまごを隠しながら言った。この男が例の怪しげな男なのだとすぐに悟ったからだ。

「そう怯えないで。僕はただ、そのたまごに興味があるだけなんだ。それは君のたまご?いつ現れたの?」

男は更に接近しながら聞いてくる。こはるの目からはすでに涙が溢れそうになっていた。この男の笑顔が何よりも怖かった。


「彼女に、何か用ですか」

そんな時、走ってきたのであろう。唯世が現れた。後ろにはややもいる。こはるはその瞬間安心しきって涙を流してしまった。
それでも男は余裕そうな笑みを浮かべている。

「おや、お連れさんがいましたか。僕はこれで失礼いたします」

そう言いながらその場を離れた。唯世が男を呼び止めるも、聞こえていないようなふりで去って行ってしまった。

ややは急いでこはるへ駆け寄る。

「こはるたん、大丈夫?」

「うん、ごめんね泣いたりして」

唯世がこはるのほほをハンカチで拭う。

「僕がこの場を離れたばかりに・・・。本当にごめんこはる。無事でよかった」

唯世は心底安心したように言った。

「それにしてもあの男、いったい何者なんだ」

おそらく30前後の年齢であろう。高身長だが、一見人当たりのよさそうな顔をしていた。

「分からない、でもすごく嫌な感じがしたの。まるで心の中を見られているような・・・」

もう二度とあの感覚は味わいたくなかった。
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