新たな出会い!キラキラアイドル
「結局服決めるのにすっごい時間かかっちゃった・・・」
家をでる予定時刻まであと数分。今日は母が家にいたのでいっしょに服装を考えてもらった。今回は激しいライブではなくゆったりと聞けるコンサートのようなので、服装もひざ丈のシフォンワンピースとカーディガンに決めた。髪はゆるく巻いて、ハーフアップにした。
生徒会メンバーとの集合場所は駅前になっている。そこから電車で隣町へ向かう。集合場所までは唯世といっしょに向かう約束をしていた。こはるが急いで家を出ると、既に準備を終えた唯世が待っていてくれた。
「おはようこはる」
「おはよう唯世。遅くなってごめんね」
今日の唯世もかっこいい。シンプルなジャケットとくるぶし丈のパンツを素敵に着こなしていた。朝の挨拶をした2人はお互いに見惚れ合っていた。
「こはる、今日の服装もとっても素敵だね。よく似合ってるよ」
「唯世もすごくかっこいい・・・」
そんな2人に痺れを切らしたのがキセキだ。2人が仲睦まじいのは良いことだが、時間を忘れてイチャイチャするのは勘弁してほしい。
「おい、早く行かないと遅刻してしまうぞ」
そんなキセキの言葉に唯世ははっとした。
「そうだね。早く行こうか」
そしていつも通りこはるの手を取り歩き出した。とてもいい天気で、楽しい一日になることは間違いないだろうと2人は考えていた。
駅前に着いた時すでに他のメンバーは集まっていた。よほど楽しみにしてたのであろう。全員が時間前に集まった。
「よーししゅっぱーつ!」
ややの元気な掛け声で一行は電車へと向かった。しかし今日は土曜日。かなりの人が電車へ乗り込んでいて、ほぼ満員状態だった。
運よく座れた女性陣の前に男性陣が立つ形となった。
揺れと、たまに後ろから圧迫されるので対面しているお互いのひざとひざが触れ合うようになっていた。
唯世は、立っている自分の方がつらいはずなのに終始こはるのことを気遣っていた。
「ごめんねこはる。もう少しで着くみたいだから」
「私は大丈夫だよ」
そんな2人を見て、あむは少し羨ましいと思った。唯世とこはるは既に何度かデートを重ねているが、あむはイクトと約束をして出かけることはなかったからだ。
そんなことを考えている間に、目的の駅に着いた。
夜のコンサートに合わせ昼食は遅めにとることとなった。それまでの間は、ややの提案で近くのアミューズメント施設で遊ぶことになった。中にはボーリング場やカラオケ、ゲームセンターなどが入っていた。
「私、ボーリングやったことない」
そうこはるが言うので、まずはボーリング施設から遊ぶことになった。
「ボーリングといえばりまたんじゃない?」
「どうして私なの」
「キャラなりしてる時はピンみたいなのいっぱい操ってるじゃーん!」
そのややの期待を裏切るような壊滅的な運動センスの持ち主のりま。思うようにボールを転がせずに、成績的にはビリだった。
その後はゲームセンター、カラオケといろいろと楽しむことができた。こはるにとっては、みんなで撮ったプリクラが最高の宝物となった。遊び尽くしたころにはお昼の時間をとっくに過ぎており、みんなが空腹状態になっていた。
「そろそろご飯にしようか」
「なに食おうか迷うな」
唯世と空海は近くのレストランを調べ始める。するとあるレストランを指さしながらややは言った。
「ややスイパラがいい!」
「あー、久しぶりに行きたいかも。みんなはどう?」
沢山のケーキやアイスが食べ放題のレストランだが、あむとやや以外はどういった場所か分かっていないようだった。特に反対する理由はないので遅めの昼食はそこでとることとした。
「わぁ、ケーキがいっぱい」
こはるは初めての空間に感動していた。まさかこのようなお店が存在するとは。ややは慣れた様子で席へ向かった。
「まさかケーキしかないんじゃねぇだろうな」
空海が心配そうな声で問う。この空間には唯世となぎひこも驚いている。
「大丈夫、確かパスタとかも置いてた気がする」
あむがフォローを入れる。せっかくスイパラに来たのに引き返すなんて嫌だったからだ。それに、女子達はすっかり順応して早くケーキを選びに行きたいとそわそわしていた。
店内のケーキをすべてコンプリートしたころには十分お腹いっぱいになっていた。いっしょに食べ進めていたしゅごキャラ達も苦しそうにしている。唯世達男子は、女子達の食べっぷりに若干驚いていた。
「ふふ、おいしかった~」
こはるもとても満足そうにしている。こはるはケーキが好きなのか。そう学んだ唯世は、次のデート先にケーキがおいしいカフェでも探して行こうと考えていた。
食事をとり終わったこはる達はコンサート会場へ向かった。グッズ販売の長い列ができており、すでに会場前は賑わっていた。開演まで1時間。会場前でその時を待つことにした。
わいわい話をしているとき、1組の親子が前を通りかかった。こはる達と同い年くらいの女の子と、その子の母親らしき女性だ。なにやら女性は怒ったような顔をしている。
「今日で最後だからね。大事な受験が控えているんだから。まったく歌手なんて不安定な職業、憧れるものじゃないわ」
女の子はその言葉を聞いて泣きそうな表情をしていた。
「分かってる。でも歌唄ちゃんを見ればママも・・・」
そんな会話を聞いてしまったこはる達。あの女の子は歌手になりたいようだが、母親に反対をされているのだろう。しかし特に声をかけることもできないので、そのまま見送った。
「厳しい母親もいるんだな」
「あの子がかわいそうだぜ」
空海とダイチがそう言った。
「でも何か事情があるのかもしれないし」
なぎひこはそう言った。少し暗い雰囲気になってしまったが、それを吹き飛ばすようにややが笑顔で声を上げた。
「ややのど乾いたー!あむちいっしょに買いにいってぇ」
ややの提案に、そういえば自分ものどが渇いていたと思いいっしょに行くことにするあむ。
「じゃあ何か買いにいこっか。みんなはここで待ってて」
そう言い残しややと飲み物を買いに行った。
あむ達が去ってからしばらくたったころ、遠くから嫌な気が流れてきていることにこはるは気づいた。
「ねぇ、なんだかやな予感がするの。少し向こうの様子を見てくるね」
いてもたってもいられなくなったので、こはるはそう言って走り出した。それを見た唯世が後を追い始める。
「藤咲と真城はここにいて、日奈森達と合流してくれ。2人には俺が付いていくから。」
空海もそう言い残して走って行った。
嫌な気の方向に近づくほどに、こはるの胸には悲しい気持ちが溢れてきた。
「唯世、これは×たまの気配だ。気をつけろ」
キセキがそう言った。警戒しながら向かった先には、×たまが浮かんでいた。その下のベンチには先ほどの歌手になりたい夢を持つ女の子がうつろな目で座っていた。そしてその近くに母親が倒れていた。
「まずい、相馬君。キャラなりだ」
「おう!」
僕のココロ 俺のココロ 『アンロック』
きゃらなりプラチナロワイヤル! スカイジャック!
唯世と空海の2人がキャラなりをする。こはるはそんな2人を見て、戦闘の役に立てない自分を情けなく思った。
そんな心情を知る由もない×たまはこはる達へ襲い掛かった。
こはるに危害が及ばないように、2人はこはるを庇いながら戦った。
「ムリムーリ」
そしてついに、中から×キャラが生まれてしまった。×キャラはとてもすばしっこく逃げながら音符型の衝撃波を放ってくる。
こはるは攻撃の隙を狙って、ベンチに座る女の子に近づいた。
「大丈夫?しっかりして!」
こはるは女の子に呼びかけるがしっかりとした返答はない。しかし、小声で何かを話しているようだ。
「私なんかが、私なんか歌唄ちゃんみたいな歌手にはなれないんだ。」
「え?」
「歌手、アイドルになってみたい。でもダメなんだ」
女の子は虚ろな表情でそう繰り返していた。きっと否定され続けた夢をあきらめかけたことで、心のたまごに×がついてしまったのであろう。
確かに実の母親に夢を否定され続けるのはつらい。それでも簡単に諦めてしまうのは悲しい。こはるはなんとか持ち直してもらおうと、女の子に話し続けた。
「さっき言ってたじゃない。歌唄ちゃんの歌をお母さんに聞いてもらうって!それをきっかけに自分の夢を認めてほしいんだよね。それなら夢に自信を持たなきゃ!こんなところで諦めちゃだめだよ」
そんなこはるの言葉に、女の子は少し反応を見せる。
「努力すれば必ず夢に近づける」
その時、こはるの胸のあたりから優しい光があふれ出した。突然のことに唯世と空海、それにこはる自身も驚く。
その一瞬のすきを狙った×キャラは、唯世が放っていた防御壁を抜けてこはるへ襲い掛かった。
「こはるっ!!」
唯世はこはるへ手を伸ばすが間に合わない。
目をつむって攻撃に備えたこはるだったが、一向に衝撃はやってこない。
「まったく、危ないわね」
そこにはイルとキャラなりした歌唄がいた。彼女が攻撃を防いだのだ。
家をでる予定時刻まであと数分。今日は母が家にいたのでいっしょに服装を考えてもらった。今回は激しいライブではなくゆったりと聞けるコンサートのようなので、服装もひざ丈のシフォンワンピースとカーディガンに決めた。髪はゆるく巻いて、ハーフアップにした。
生徒会メンバーとの集合場所は駅前になっている。そこから電車で隣町へ向かう。集合場所までは唯世といっしょに向かう約束をしていた。こはるが急いで家を出ると、既に準備を終えた唯世が待っていてくれた。
「おはようこはる」
「おはよう唯世。遅くなってごめんね」
今日の唯世もかっこいい。シンプルなジャケットとくるぶし丈のパンツを素敵に着こなしていた。朝の挨拶をした2人はお互いに見惚れ合っていた。
「こはる、今日の服装もとっても素敵だね。よく似合ってるよ」
「唯世もすごくかっこいい・・・」
そんな2人に痺れを切らしたのがキセキだ。2人が仲睦まじいのは良いことだが、時間を忘れてイチャイチャするのは勘弁してほしい。
「おい、早く行かないと遅刻してしまうぞ」
そんなキセキの言葉に唯世ははっとした。
「そうだね。早く行こうか」
そしていつも通りこはるの手を取り歩き出した。とてもいい天気で、楽しい一日になることは間違いないだろうと2人は考えていた。
駅前に着いた時すでに他のメンバーは集まっていた。よほど楽しみにしてたのであろう。全員が時間前に集まった。
「よーししゅっぱーつ!」
ややの元気な掛け声で一行は電車へと向かった。しかし今日は土曜日。かなりの人が電車へ乗り込んでいて、ほぼ満員状態だった。
運よく座れた女性陣の前に男性陣が立つ形となった。
揺れと、たまに後ろから圧迫されるので対面しているお互いのひざとひざが触れ合うようになっていた。
唯世は、立っている自分の方がつらいはずなのに終始こはるのことを気遣っていた。
「ごめんねこはる。もう少しで着くみたいだから」
「私は大丈夫だよ」
そんな2人を見て、あむは少し羨ましいと思った。唯世とこはるは既に何度かデートを重ねているが、あむはイクトと約束をして出かけることはなかったからだ。
そんなことを考えている間に、目的の駅に着いた。
夜のコンサートに合わせ昼食は遅めにとることとなった。それまでの間は、ややの提案で近くのアミューズメント施設で遊ぶことになった。中にはボーリング場やカラオケ、ゲームセンターなどが入っていた。
「私、ボーリングやったことない」
そうこはるが言うので、まずはボーリング施設から遊ぶことになった。
「ボーリングといえばりまたんじゃない?」
「どうして私なの」
「キャラなりしてる時はピンみたいなのいっぱい操ってるじゃーん!」
そのややの期待を裏切るような壊滅的な運動センスの持ち主のりま。思うようにボールを転がせずに、成績的にはビリだった。
その後はゲームセンター、カラオケといろいろと楽しむことができた。こはるにとっては、みんなで撮ったプリクラが最高の宝物となった。遊び尽くしたころにはお昼の時間をとっくに過ぎており、みんなが空腹状態になっていた。
「そろそろご飯にしようか」
「なに食おうか迷うな」
唯世と空海は近くのレストランを調べ始める。するとあるレストランを指さしながらややは言った。
「ややスイパラがいい!」
「あー、久しぶりに行きたいかも。みんなはどう?」
沢山のケーキやアイスが食べ放題のレストランだが、あむとやや以外はどういった場所か分かっていないようだった。特に反対する理由はないので遅めの昼食はそこでとることとした。
「わぁ、ケーキがいっぱい」
こはるは初めての空間に感動していた。まさかこのようなお店が存在するとは。ややは慣れた様子で席へ向かった。
「まさかケーキしかないんじゃねぇだろうな」
空海が心配そうな声で問う。この空間には唯世となぎひこも驚いている。
「大丈夫、確かパスタとかも置いてた気がする」
あむがフォローを入れる。せっかくスイパラに来たのに引き返すなんて嫌だったからだ。それに、女子達はすっかり順応して早くケーキを選びに行きたいとそわそわしていた。
店内のケーキをすべてコンプリートしたころには十分お腹いっぱいになっていた。いっしょに食べ進めていたしゅごキャラ達も苦しそうにしている。唯世達男子は、女子達の食べっぷりに若干驚いていた。
「ふふ、おいしかった~」
こはるもとても満足そうにしている。こはるはケーキが好きなのか。そう学んだ唯世は、次のデート先にケーキがおいしいカフェでも探して行こうと考えていた。
食事をとり終わったこはる達はコンサート会場へ向かった。グッズ販売の長い列ができており、すでに会場前は賑わっていた。開演まで1時間。会場前でその時を待つことにした。
わいわい話をしているとき、1組の親子が前を通りかかった。こはる達と同い年くらいの女の子と、その子の母親らしき女性だ。なにやら女性は怒ったような顔をしている。
「今日で最後だからね。大事な受験が控えているんだから。まったく歌手なんて不安定な職業、憧れるものじゃないわ」
女の子はその言葉を聞いて泣きそうな表情をしていた。
「分かってる。でも歌唄ちゃんを見ればママも・・・」
そんな会話を聞いてしまったこはる達。あの女の子は歌手になりたいようだが、母親に反対をされているのだろう。しかし特に声をかけることもできないので、そのまま見送った。
「厳しい母親もいるんだな」
「あの子がかわいそうだぜ」
空海とダイチがそう言った。
「でも何か事情があるのかもしれないし」
なぎひこはそう言った。少し暗い雰囲気になってしまったが、それを吹き飛ばすようにややが笑顔で声を上げた。
「ややのど乾いたー!あむちいっしょに買いにいってぇ」
ややの提案に、そういえば自分ものどが渇いていたと思いいっしょに行くことにするあむ。
「じゃあ何か買いにいこっか。みんなはここで待ってて」
そう言い残しややと飲み物を買いに行った。
あむ達が去ってからしばらくたったころ、遠くから嫌な気が流れてきていることにこはるは気づいた。
「ねぇ、なんだかやな予感がするの。少し向こうの様子を見てくるね」
いてもたってもいられなくなったので、こはるはそう言って走り出した。それを見た唯世が後を追い始める。
「藤咲と真城はここにいて、日奈森達と合流してくれ。2人には俺が付いていくから。」
空海もそう言い残して走って行った。
嫌な気の方向に近づくほどに、こはるの胸には悲しい気持ちが溢れてきた。
「唯世、これは×たまの気配だ。気をつけろ」
キセキがそう言った。警戒しながら向かった先には、×たまが浮かんでいた。その下のベンチには先ほどの歌手になりたい夢を持つ女の子がうつろな目で座っていた。そしてその近くに母親が倒れていた。
「まずい、相馬君。キャラなりだ」
「おう!」
僕のココロ 俺のココロ 『アンロック』
きゃらなりプラチナロワイヤル! スカイジャック!
唯世と空海の2人がキャラなりをする。こはるはそんな2人を見て、戦闘の役に立てない自分を情けなく思った。
そんな心情を知る由もない×たまはこはる達へ襲い掛かった。
こはるに危害が及ばないように、2人はこはるを庇いながら戦った。
「ムリムーリ」
そしてついに、中から×キャラが生まれてしまった。×キャラはとてもすばしっこく逃げながら音符型の衝撃波を放ってくる。
こはるは攻撃の隙を狙って、ベンチに座る女の子に近づいた。
「大丈夫?しっかりして!」
こはるは女の子に呼びかけるがしっかりとした返答はない。しかし、小声で何かを話しているようだ。
「私なんかが、私なんか歌唄ちゃんみたいな歌手にはなれないんだ。」
「え?」
「歌手、アイドルになってみたい。でもダメなんだ」
女の子は虚ろな表情でそう繰り返していた。きっと否定され続けた夢をあきらめかけたことで、心のたまごに×がついてしまったのであろう。
確かに実の母親に夢を否定され続けるのはつらい。それでも簡単に諦めてしまうのは悲しい。こはるはなんとか持ち直してもらおうと、女の子に話し続けた。
「さっき言ってたじゃない。歌唄ちゃんの歌をお母さんに聞いてもらうって!それをきっかけに自分の夢を認めてほしいんだよね。それなら夢に自信を持たなきゃ!こんなところで諦めちゃだめだよ」
そんなこはるの言葉に、女の子は少し反応を見せる。
「努力すれば必ず夢に近づける」
その時、こはるの胸のあたりから優しい光があふれ出した。突然のことに唯世と空海、それにこはる自身も驚く。
その一瞬のすきを狙った×キャラは、唯世が放っていた防御壁を抜けてこはるへ襲い掛かった。
「こはるっ!!」
唯世はこはるへ手を伸ばすが間に合わない。
目をつむって攻撃に備えたこはるだったが、一向に衝撃はやってこない。
「まったく、危ないわね」
そこにはイルとキャラなりした歌唄がいた。彼女が攻撃を防いだのだ。