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いよいよ本番!みんながんばれ体育祭

おかしい、午後最初の競技は1年生による騎馬戦ですでに収集の放送が鳴る時間なのに、いっこうに放送は聞こえてこない。まさか放送機材のトラブルでもあったのではないか。そう思った唯世は放送ブースに向かおうとした。こはるをはじめ、クラスメイトの女子が数人いないことも気になっていたが。
するとその時、放送を告げるメロディーが流れた。
やっと収集の放送が入るのだと安心した唯世だったが、そこから流れたのは放送部の声ではなく、聖夜中副校長の女性の声だった。

「午後の競技の前に、大事な発表があります。聖夜学園中等部生徒会女子、そして有志で集まった女生徒のみなさん。今から彼女たちが登場します。会場の皆様、大きな拍手でお迎えください」

一瞬ぽかんとする会場だったが、すぐに大きな拍手に包まれた。こんなのは聞いていない。一瞬パニックになる唯世だったが、その後現れた女子生徒たちの姿にさらに驚くことになった。

あむ、ややを先頭に出てきた30名程の女生徒達は、みなかわいらしいチアガールの恰好をしていた。そこにはもちろんこはるの姿もあり、衣装や髪型の変化によりいつも以上に美しい姿になっていた。
そして服につけられたマイクでややが話し出す。

「私たちは今日までの1か月間、チアダンスの練習をしてきました!今日はその成果を発揮しみんなのことを精一杯応援しちゃうよ!」

その言葉を合図にポップな音楽が流れだす。色とりどりのポンポンを持った女子達が華麗なダンスを披露する。
その姿に、会場の男女ともに夢中になった。

唯世の視線は一点に集中されていた。こはるがチアダンスを踊っている。もはや自分に隠れてこそこそとどこかへ行っていたのは、これの練習の為だったのか。

練習通り、素晴らしいダンスを披露したチアメンバー達。その一員の安藤ららも、本番で初めてノーミスで踊り切ることができた。退場する中こはると手をとり合って、喜んでいた。

その後、午後の競技開始を知らせる放送が響き渡った。

こはる達は着替えを済ませ、それぞれのクラスブースへ戻った。
チアダンスは好評でクラスのみんながこはる達を褒めてくれた。
その中に唯世を見つけたこはるは、彼の元へ走り寄った。

「唯世、私は今日唯世の為に踊ったんだよ。しっかり見ててくれた?」

そんなこはるのかわいらしい言葉を聞いた唯世は、もうたまらなくなりこはるを抱きしめた。
周りから驚きの声が聞こえるが関係なかった。

「ありがとうこはる。最高のダンスだった。これでリレーも頑張れる」

そんな唯世にこはるは笑顔を浮かべた。
運命の組対抗リレーまでもう少しだ。
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