大忙し!体育祭準備編
こはるとららの特訓は、授業の合間の休み時間や昼休みを削って行われた。朝と放課後も練習をしたかったが、登下校を共にしている唯世に気づかれるわけにはいかなかったので諦めた。
体育祭の練習や生徒会の仕事、ららとの特訓もありかなり疲労がたまっていたこはるであったが、それを決して外には見せないように過ごしていた。
ららのダンスは確実に成長していたが、やはりノーミスで踊ることは一度もできなかった。それでもららの目はあきらめに染まっていなかった。
そして体育祭前日。グラウンドには大きなゲートが設置され、煌びやかに装飾が施されていた。
「うん、いい感じだね。これならみんなも、来てくれる人たちも楽しめるね」
唯世は校庭を見渡しながら言った。こはるとなぎひこが補修した国旗の飾り。あむとりまが制作した横断幕。他の飾りもみんなで一生懸命作ったものだ。
「明日は唯世のお家の方いらっしゃるの?」
「うん、母さんが来てくれるって。おばあさまはさすがにいらっしゃれないけど」
「そうなんだ、うちもお父さんとお母さん、あとおじいさまも来られるって」
こはるの家族はみんな忙しく、なかなか家族全員が揃うことはなかった。そんな中体育祭の為に予定を開けて集まってくれるそうで、こはるにとってはとてもうれしいことだった。
「さて、最終確認を終えたら僕たちも帰ろうか」
あむ達はすでに作業を終え帰宅していた。
最後の見回りとして、唯世とこはるがグラウンドやその周辺を歩いていた。特に問題もなく、無事準備は完了しているようだった。
後は先生たちに任せ、こはると唯世はともに学校を出た。
「最近のこはる、なんだか忙しそうだったよね。お昼ご飯もいっしょに食べなかったし」
忙しい日々の中で、こはると昼食をとることが唯世にとって安らぎの時間だったのだが、その時間さえも無くなったことに若干の不満を抱えていた。
その言葉を聞いてぎくっと効果音の付きそうな表情を出してしまったこはる。
「いや、いろいろとやることがあってね。それよりも、今日お部屋に行ってもいい?」
そんなこはるに怪しさを感じながらも、家に招き入れた。今日のこはるは随分と甘えたさんのようで、部屋に着くなり唯世の膝に頭をのせて寝ころんだ。
「はぁ、疲れたなぁ」
「こはる、明日本番なのに大丈夫?」
本当に疲れたような様子のこはるを見て、唯世は心配になる。こはるの頭を優しく撫でながらしばらくゆっくりしていた。
「よし、元気出た。明日は頑張ろうね、唯世!」
こはるは立ち上がりながら笑顔で言った。その様子に大丈夫そうかなと思い玄関までこはるを送りに行った。
「それじゃあまた明日。それと、期待しててね」
最後に意味ありげにそう言い残してこはるは帰っていった。
期待しててねって何のことだろう。
そう考えていた唯世だが、明日の体育祭成功のため集中することにした。
体育祭の練習や生徒会の仕事、ららとの特訓もありかなり疲労がたまっていたこはるであったが、それを決して外には見せないように過ごしていた。
ららのダンスは確実に成長していたが、やはりノーミスで踊ることは一度もできなかった。それでもららの目はあきらめに染まっていなかった。
そして体育祭前日。グラウンドには大きなゲートが設置され、煌びやかに装飾が施されていた。
「うん、いい感じだね。これならみんなも、来てくれる人たちも楽しめるね」
唯世は校庭を見渡しながら言った。こはるとなぎひこが補修した国旗の飾り。あむとりまが制作した横断幕。他の飾りもみんなで一生懸命作ったものだ。
「明日は唯世のお家の方いらっしゃるの?」
「うん、母さんが来てくれるって。おばあさまはさすがにいらっしゃれないけど」
「そうなんだ、うちもお父さんとお母さん、あとおじいさまも来られるって」
こはるの家族はみんな忙しく、なかなか家族全員が揃うことはなかった。そんな中体育祭の為に予定を開けて集まってくれるそうで、こはるにとってはとてもうれしいことだった。
「さて、最終確認を終えたら僕たちも帰ろうか」
あむ達はすでに作業を終え帰宅していた。
最後の見回りとして、唯世とこはるがグラウンドやその周辺を歩いていた。特に問題もなく、無事準備は完了しているようだった。
後は先生たちに任せ、こはると唯世はともに学校を出た。
「最近のこはる、なんだか忙しそうだったよね。お昼ご飯もいっしょに食べなかったし」
忙しい日々の中で、こはると昼食をとることが唯世にとって安らぎの時間だったのだが、その時間さえも無くなったことに若干の不満を抱えていた。
その言葉を聞いてぎくっと効果音の付きそうな表情を出してしまったこはる。
「いや、いろいろとやることがあってね。それよりも、今日お部屋に行ってもいい?」
そんなこはるに怪しさを感じながらも、家に招き入れた。今日のこはるは随分と甘えたさんのようで、部屋に着くなり唯世の膝に頭をのせて寝ころんだ。
「はぁ、疲れたなぁ」
「こはる、明日本番なのに大丈夫?」
本当に疲れたような様子のこはるを見て、唯世は心配になる。こはるの頭を優しく撫でながらしばらくゆっくりしていた。
「よし、元気出た。明日は頑張ろうね、唯世!」
こはるは立ち上がりながら笑顔で言った。その様子に大丈夫そうかなと思い玄関までこはるを送りに行った。
「それじゃあまた明日。それと、期待しててね」
最後に意味ありげにそう言い残してこはるは帰っていった。
期待しててねって何のことだろう。
そう考えていた唯世だが、明日の体育祭成功のため集中することにした。