大忙し!体育祭準備編
体育祭前、最後にホールを借りられる日。こはる、あむ、りま、やや、そして聖夜中有志の女の子達は集合していた。
各学年から10人ほど、あむ達の内緒の声掛けにより集まってくれたメンバーだ。中には小等部の頃からあむにライバル心を燃やす山吹沙綾や、渡会美咲、まなみやわかなといったおなじみのメンバーもいた。他にもこはるやあむのファンクラブに属する女の子。
とにかく個性豊かなメンバーとなっていた。
「よーし!今日は最終確認、まずは最初から通しでやってみよ~!」
ややの元気な号令を合図に曲が流れ始める。チアの練習自体は1ヵ月程と短い間であったが、完成度はかなり高いものへと仕上がっていた。
踊りの途中で、誰かの転ぶ音が聞こえた。
みんなが後ろを振り返ると、転倒しているのはこはる達と同じクラスの安藤ららだった。
「また安藤さん?」
「もう最後の練習なのに大丈夫かなぁ」
周りの女子からこそこそと声が上がる。ららは運動が苦手で、クラスでもおとなしいタイプの女子だった。そんな子がチアに出たいということで、あむ達は最初驚いたが笑顔で迎えた。本人は真面目に練習に取り組んでいるのだが、そうしても1か所、難しいふりのところがうまくできないようだった。
「安藤さん大丈夫?私が隣で踊るからいっしょにがんばってみましょう」
こはるがららに手を貸して、立つのを助けてあげる。ららの瞳からはすでに涙がこぼれそうになっていた。もともと奥手な少女なのだから無理もない。
「よーし、もう一回行くぞー!」
嫌な雰囲気を取り払うようにややが明るい声を上げる。そんなややを見て、チアメンバーたちも所定の位置に戻り練習を続ける。
しかし最後の通しの時も、ららだけがノーミスで踊り切ることができなかった。
「それじゃあ本番もがんばろう!急な誘いだったのにみんな集まってくれてありがとね!絶対成功させるぞー!」
「おー!」
最後に全員で円陣を組んでから練習を終えた。
各自その場で解散となり、それぞれが帰宅を始めた。
そんな中、こはるは曇り切った表情のららのことが気になっていた。見たところ、ららはチアダンスを自分からやろうとするキャラではなさそうだった。そんな彼女のことが気になり、こはるはあむ達の誘いを断り、ららと2人で帰ることにした。
「ねぇ安藤さん、どうして安藤さんはチアダンスに参加してくれることにしたの?」
そんなこはるの言葉にららは一瞬口を紡ぐ。何か言いにくいことがあるのであろうか。まさか、クラスの女子に無理やり誘われて断れなかったとか。
「その、とっても恥ずかしいんだけど・・・」
ららは勇気を出してこはるに話してみることにした。
「実は、相馬先輩のことが好きなの!私!!」
考えもしなかったその内容に、こはるは驚いた。安藤さんが空海のことを好き?でもなんでチアダンス?
「あのね、私昔からこんな性格だから、小学生のころいじめられてたの」
ららが語りだしたのは、小等部にいたころの話だった。ただ暗くて話しかけずらい、それだけの理由で同じクラスの女子数人に嫌がらせをうけていたらしい。そんな時、たまたまその現場に通りかかった空海が声をかけ、その場を沈めてくれたらしい。当時から空海のカリスマ性はすさまじく、ららにいやがらせをしていた女子達も素直に言うことを聞いたらしい。
「なるほど、そこで空海に惚れてしまったのね」
こはるの中に、あと一つだけ疑問が残っていた。
「でもチアダンスと空海になんの関係が・・・」
その問いにららは赤くなりながら答えた。
「前に聞いたの、相馬先輩の好きなタイプ。明るくて元気な女の子だって。私とは正反対の女の子。でも、チアダンスをきっかけに私でも変われるんじゃないかと思って」
それはららの素直な思いだった。こんなにもがんばっている女の子を放ってはおけない。こはるの中で使命感が燃えた。
そしてある提案をする。
「安藤さん、体育祭当日まで日がないわ。私と一緒に練習しましょう」
そんな思いがけないこはるの言葉にららは驚いた。学校中の生徒の憧れ、そしてみんなの王子様である唯世とお付き合いをしているあの花城こはるが自分のために。
「でも、花城さんだって忙しいでしょ?迷惑をかけるのは・・・。それに今日のことで分かった。私なんかいなくてもダンスは成功するんだから、もうやめようかなって」
「そんなの悲しすぎる!諦めちゃダメだよ、いっしょにがんばろう!」
こはるはついいつものお嬢さましゃべりではなく、素の話し方で言い切った。
こはるの本気の思いにららは少し勇気がわいてきた。
「ありがとう花城さん、私、チアダンスをやりきって相馬先輩に告白する!」
告白、そこまでは言ってないが、ららが再度やる気を出してくれてよかった。といっても体育祭までは1週間もなかった。なんとか時間を作って頑張らなければ。
「まさか花城さんに応援してもらえるとは思ってなかった。その、よかったら私とお友達になってください」
照れた表情でららは言った。こはるはもちろんと、笑顔で答えた。
「あ、そうだ・・・。私のことはららって呼んでくれたらうれしいな」
「じゃあ私のこともこはるでいいわ」
こうしてこはるにとっても、かわいらしい友達ができたのであった。
各学年から10人ほど、あむ達の内緒の声掛けにより集まってくれたメンバーだ。中には小等部の頃からあむにライバル心を燃やす山吹沙綾や、渡会美咲、まなみやわかなといったおなじみのメンバーもいた。他にもこはるやあむのファンクラブに属する女の子。
とにかく個性豊かなメンバーとなっていた。
「よーし!今日は最終確認、まずは最初から通しでやってみよ~!」
ややの元気な号令を合図に曲が流れ始める。チアの練習自体は1ヵ月程と短い間であったが、完成度はかなり高いものへと仕上がっていた。
踊りの途中で、誰かの転ぶ音が聞こえた。
みんなが後ろを振り返ると、転倒しているのはこはる達と同じクラスの安藤ららだった。
「また安藤さん?」
「もう最後の練習なのに大丈夫かなぁ」
周りの女子からこそこそと声が上がる。ららは運動が苦手で、クラスでもおとなしいタイプの女子だった。そんな子がチアに出たいということで、あむ達は最初驚いたが笑顔で迎えた。本人は真面目に練習に取り組んでいるのだが、そうしても1か所、難しいふりのところがうまくできないようだった。
「安藤さん大丈夫?私が隣で踊るからいっしょにがんばってみましょう」
こはるがららに手を貸して、立つのを助けてあげる。ららの瞳からはすでに涙がこぼれそうになっていた。もともと奥手な少女なのだから無理もない。
「よーし、もう一回行くぞー!」
嫌な雰囲気を取り払うようにややが明るい声を上げる。そんなややを見て、チアメンバーたちも所定の位置に戻り練習を続ける。
しかし最後の通しの時も、ららだけがノーミスで踊り切ることができなかった。
「それじゃあ本番もがんばろう!急な誘いだったのにみんな集まってくれてありがとね!絶対成功させるぞー!」
「おー!」
最後に全員で円陣を組んでから練習を終えた。
各自その場で解散となり、それぞれが帰宅を始めた。
そんな中、こはるは曇り切った表情のららのことが気になっていた。見たところ、ららはチアダンスを自分からやろうとするキャラではなさそうだった。そんな彼女のことが気になり、こはるはあむ達の誘いを断り、ららと2人で帰ることにした。
「ねぇ安藤さん、どうして安藤さんはチアダンスに参加してくれることにしたの?」
そんなこはるの言葉にららは一瞬口を紡ぐ。何か言いにくいことがあるのであろうか。まさか、クラスの女子に無理やり誘われて断れなかったとか。
「その、とっても恥ずかしいんだけど・・・」
ららは勇気を出してこはるに話してみることにした。
「実は、相馬先輩のことが好きなの!私!!」
考えもしなかったその内容に、こはるは驚いた。安藤さんが空海のことを好き?でもなんでチアダンス?
「あのね、私昔からこんな性格だから、小学生のころいじめられてたの」
ららが語りだしたのは、小等部にいたころの話だった。ただ暗くて話しかけずらい、それだけの理由で同じクラスの女子数人に嫌がらせをうけていたらしい。そんな時、たまたまその現場に通りかかった空海が声をかけ、その場を沈めてくれたらしい。当時から空海のカリスマ性はすさまじく、ららにいやがらせをしていた女子達も素直に言うことを聞いたらしい。
「なるほど、そこで空海に惚れてしまったのね」
こはるの中に、あと一つだけ疑問が残っていた。
「でもチアダンスと空海になんの関係が・・・」
その問いにららは赤くなりながら答えた。
「前に聞いたの、相馬先輩の好きなタイプ。明るくて元気な女の子だって。私とは正反対の女の子。でも、チアダンスをきっかけに私でも変われるんじゃないかと思って」
それはららの素直な思いだった。こんなにもがんばっている女の子を放ってはおけない。こはるの中で使命感が燃えた。
そしてある提案をする。
「安藤さん、体育祭当日まで日がないわ。私と一緒に練習しましょう」
そんな思いがけないこはるの言葉にららは驚いた。学校中の生徒の憧れ、そしてみんなの王子様である唯世とお付き合いをしているあの花城こはるが自分のために。
「でも、花城さんだって忙しいでしょ?迷惑をかけるのは・・・。それに今日のことで分かった。私なんかいなくてもダンスは成功するんだから、もうやめようかなって」
「そんなの悲しすぎる!諦めちゃダメだよ、いっしょにがんばろう!」
こはるはついいつものお嬢さましゃべりではなく、素の話し方で言い切った。
こはるの本気の思いにららは少し勇気がわいてきた。
「ありがとう花城さん、私、チアダンスをやりきって相馬先輩に告白する!」
告白、そこまでは言ってないが、ららが再度やる気を出してくれてよかった。といっても体育祭までは1週間もなかった。なんとか時間を作って頑張らなければ。
「まさか花城さんに応援してもらえるとは思ってなかった。その、よかったら私とお友達になってください」
照れた表情でららは言った。こはるはもちろんと、笑顔で答えた。
「あ、そうだ・・・。私のことはららって呼んでくれたらうれしいな」
「じゃあ私のこともこはるでいいわ」
こうしてこはるにとっても、かわいらしい友達ができたのであった。