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答えはどこに?2人の進み方

時は流れて放課後。
あむはこはる達と共に生徒会室へ向かっていた。

「あむ」

すると、廊下の正面からイクトが歩いてきた。
その様子を見ていたこはると唯世は、あむに先に行くねと伝え2人で生徒会室へ向かってしまった。

「なに、なんか用」

素直になれないあむは、つんつんした言葉でイクトに話しかける。
するとイクトは、ある物をあむに差し出した。

「ほらよ。これ、拾ったぞ」

それはあむの弁当箱だった。入れ物の袋は、若干汚れているようだった。なぜイクトがこれを。あむには分からないことだらけだった。

「あむちゃん、イクトさんはこれを探すために6時間目中校内を歩き回ってくれたのよ」

ダイヤがそう教えてくれる。そういえば先ほどの授業にはイクトの姿はなかった。沙良の姿はあったのに。

「あむ。あいつ、佐藤に何を言われたかはだいたい聞いた。あいつのいうことなんて気にすんな」

そんなイクトの言葉にあむの涙腺は少し緩んだ気がした。

「気にすんなって何よ。だいたいあんたがあやふやな態度をとったことが原因でしょ」

またしても素直になれないあむは、涙を吹き飛ばすようにそう言ってしまった。しかしイクトは、そんなあむに怒りはせずに優しくいった。

「悪かった。お前がちゃんと好きだって言ってくれたのに」

そして、覚悟を決めたような表情で続けた。

「俺はお前のことが好きだ。でも、今は付き合おうとかは考えていない」

「え?」

どうして好き同士なのに付き合わないのか。適当にあしらわれているだけなのではないか。あむの心はマイナスばかりに進む。

「勘違いすんな、今はだ。せめて後2年、あむが高校生になった時だ。その年なら周りも反対しないだろうし、お前の友達や親にだって紹介できるだろ」

あむは驚いた。イクトがそこまで考えてくれているとは思わなかったからだ。確かに中学生と大学生という関係は世間的にみるとよくないかもしれない。高校生になった自分であれば、もう少しイクトの隣に立ってもおかしくない自分になれているかもしれない。

「お前がどうしても恋人同士って関係にこだわるんなら、それでもいいが」

「ううん、いい。あと2年楽しみに待っとく」

そう笑いながら言うあむに、今度はイクトが驚いた顔をした。しかしすぐに笑顔になり、

「そうか」

とだけ答えた。
そうして、あむは生徒会室に。イクトは職員室に先ほど授業をさぼってしまったことを謝りに行こうとした。
それぞれ歩き出したとき、イクトはあむに言った。

「2年あるからって、浮気はすんなよ」

そんな言葉にあむはむっとして、

「それはこっちのセリフ!バーカ」

と楽しそうに答えた。
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