答えはどこに?2人の進み方
「あなた達、付き合い始めたの?」
ここは聖夜中が誇る広い花壇の中心。こはるとりまは生徒会の仕事として花壇の水やりに来ていた。
生徒会メンバーに大事に育てられている花たちは、今日も綺麗に咲き誇っていた。
「つ、付き合うとかは話してないよ」
りまの問いに対して、少々照れながら答えた。
数日前、唯世から好きになったと言われたこはる。しかし、その後こはるの両親が迎えに来たため話は中断されてしまった。こはると唯世は正真正銘の両想いとなったわけだが、正式に恋人関係になるという話はしていない。
「ふーん。まぁ私には関係ないけど、いつまでもうじうじしていないで、はっきりさせたらどうなの」
そう強い口調で言われる。しかし、それはりまなりの応援の仕方なのだろう。彼女の肩ではクスクスが笑っている。生徒会として活動し始めて時間は短いが、りまとも段々と仲良くなれている気がしていた。
「そうだよね・・・。今日、唯世に言ってみる!ありがとう、りまちゃん」
「別にお礼を言われるようなことは言っていないわ」
そう言いながら、少し照れた表情で仕事を進めた。
広い花壇の水やりを完了させるにはだいぶ時間がかかった。
こはる達は片づけを終えた後、生徒会室へ向かった。
こはる達が生徒会室に着いた時、他のメンバーも校外での仕事を終え戻ってきていた。その中にはもちろん唯世の姿もあり、若干体が強張っていたこはるであったが、いつも通りの接し方をしてくれる唯世に対して緊張感も解け、通常通り業務を行うことができた。
今日の一番の議題は、部活動の予算振り分けについてだった。このような内容は、通常の学校では教師が行うものだと思うが、そこはこの聖夜学園である。生徒のことは生徒が一番わかっているという考えのもと生徒会には様々な仕事が舞い込んでいた。
会計職はややの担当だったが、1人で進められるわけもなく全員でその議題に取り組んでいた。
「うん、これなら各部納得のいく振り分けになったんじゃないかな」
唯世が満足そうに頷く。長い時間全員で考えて、部費の詳しい振り分け方法を考えた。
集中していて気付かなかったが、かなりの時間がたっていた。
「もうこんな時間だね、そろそろ帰らないと」
なぎひこが時計を気にして言う。それにはみんな同意だった。
「よし、今日はここまでにしよう。明日はまた体育祭の準備に戻るから、みんなよろしくね」
唯世の終了の一言により、その日の仕事は終わり。それぞれ、帰宅することとなった。
こはるはもちろん、唯世と帰ることになった。
他のメンバーは2人に気を使ってくれたようで、最初から2人きりで帰ることとなった。
最初は学校での出来事や、体育祭についての会話が続いていたが、こはるとしては先日の告白のことが気になっていたので、思い切って唯世に聞いてみることにした。
「ねぇ唯世。この間のことなんだけど」
「この間って、土曜日のデートのこと?」
唯世にも、こはるが聞きたいことがすぐ分かったようだった。
こうなればもう戻ることはできない。
「唯世、私のこと好きになってるっていってくれたよね。それで、みんなに言われたの。2人は付き合ってるのって」
赤くなりながらも一番聞きたいことを尋ねた。すると唯世は、少し顔を赤くしながらも答えた。
「大事なこと言えてなかったよね。確かに僕はこはるのことが好きだと気付いた。こはるがこの学校に転入してきてから過ごした短い時間でも、幼いころ以上にこはるのことが好きになった」
しかしその後、少し暗い表情になって続けた。
「でもこはるは、僕なんかのことを好きでいてくれているのか心配で・・・。藤咲君とか相馬くんとか、僕よりも明るくて素敵な人たちがそばにいるからね」
こはるにとっては、その言葉は衝撃的なものだった。確かに唯世はこはるのことを好きでいてくれるようだが、自分が他の男子に目移りしていないか心配されていたのだから。
唯世への好きという気持ちは昔から積極的にアピールしているつもりだった。
少しむっとしたこはるはその気持ちをそのまま唯世へと伝えた。
「唯世、私がどれだけあなたのことを思ってきたか全然理解してない。確かになぎひこ達は転入当初から優しくしてくれたけど、全然そういうのじゃないもん。
私、唯世のこと大好きだよ?」
そんなこはるの真正面からの言葉に、唯世は胸の内から暖かいものがこみ上げてきた。
「ありがとう、とてもうれしいよ」
元気の戻った、いつもの王子様スマイルで答えた。
「じゃあ、僕とお付き合いしてくれる?」
そんな唯世の言葉に、こはるは顔を真っ赤にしつつも笑顔で答えた。
「こんな私ですが、よろしくお願いします」
こうしてこはるにとっても唯世にとっても、初めての恋人ができたのである。
そんな様子を近くの木から見守っていたキセキはやれやれといった様子で息を吐いた。しかしその表情からは喜びの気持ちが溢れていた。
「でも、付き合うってどういうことをしたらいいんだろう」
そんなこはるの一言に、唯世も一瞬考えたが、すぐにこはるに手を差し出した。
「まずは手をつないで帰ろうか。僕達らしく過ごしていこう」
今までも、手をつないで歩くことは何度かあったが、今日からは恋人同士での行為の一つだ。こはるはドキドキしながらもうれしそうにその手を取って歩き出した。
ここは聖夜中が誇る広い花壇の中心。こはるとりまは生徒会の仕事として花壇の水やりに来ていた。
生徒会メンバーに大事に育てられている花たちは、今日も綺麗に咲き誇っていた。
「つ、付き合うとかは話してないよ」
りまの問いに対して、少々照れながら答えた。
数日前、唯世から好きになったと言われたこはる。しかし、その後こはるの両親が迎えに来たため話は中断されてしまった。こはると唯世は正真正銘の両想いとなったわけだが、正式に恋人関係になるという話はしていない。
「ふーん。まぁ私には関係ないけど、いつまでもうじうじしていないで、はっきりさせたらどうなの」
そう強い口調で言われる。しかし、それはりまなりの応援の仕方なのだろう。彼女の肩ではクスクスが笑っている。生徒会として活動し始めて時間は短いが、りまとも段々と仲良くなれている気がしていた。
「そうだよね・・・。今日、唯世に言ってみる!ありがとう、りまちゃん」
「別にお礼を言われるようなことは言っていないわ」
そう言いながら、少し照れた表情で仕事を進めた。
広い花壇の水やりを完了させるにはだいぶ時間がかかった。
こはる達は片づけを終えた後、生徒会室へ向かった。
こはる達が生徒会室に着いた時、他のメンバーも校外での仕事を終え戻ってきていた。その中にはもちろん唯世の姿もあり、若干体が強張っていたこはるであったが、いつも通りの接し方をしてくれる唯世に対して緊張感も解け、通常通り業務を行うことができた。
今日の一番の議題は、部活動の予算振り分けについてだった。このような内容は、通常の学校では教師が行うものだと思うが、そこはこの聖夜学園である。生徒のことは生徒が一番わかっているという考えのもと生徒会には様々な仕事が舞い込んでいた。
会計職はややの担当だったが、1人で進められるわけもなく全員でその議題に取り組んでいた。
「うん、これなら各部納得のいく振り分けになったんじゃないかな」
唯世が満足そうに頷く。長い時間全員で考えて、部費の詳しい振り分け方法を考えた。
集中していて気付かなかったが、かなりの時間がたっていた。
「もうこんな時間だね、そろそろ帰らないと」
なぎひこが時計を気にして言う。それにはみんな同意だった。
「よし、今日はここまでにしよう。明日はまた体育祭の準備に戻るから、みんなよろしくね」
唯世の終了の一言により、その日の仕事は終わり。それぞれ、帰宅することとなった。
こはるはもちろん、唯世と帰ることになった。
他のメンバーは2人に気を使ってくれたようで、最初から2人きりで帰ることとなった。
最初は学校での出来事や、体育祭についての会話が続いていたが、こはるとしては先日の告白のことが気になっていたので、思い切って唯世に聞いてみることにした。
「ねぇ唯世。この間のことなんだけど」
「この間って、土曜日のデートのこと?」
唯世にも、こはるが聞きたいことがすぐ分かったようだった。
こうなればもう戻ることはできない。
「唯世、私のこと好きになってるっていってくれたよね。それで、みんなに言われたの。2人は付き合ってるのって」
赤くなりながらも一番聞きたいことを尋ねた。すると唯世は、少し顔を赤くしながらも答えた。
「大事なこと言えてなかったよね。確かに僕はこはるのことが好きだと気付いた。こはるがこの学校に転入してきてから過ごした短い時間でも、幼いころ以上にこはるのことが好きになった」
しかしその後、少し暗い表情になって続けた。
「でもこはるは、僕なんかのことを好きでいてくれているのか心配で・・・。藤咲君とか相馬くんとか、僕よりも明るくて素敵な人たちがそばにいるからね」
こはるにとっては、その言葉は衝撃的なものだった。確かに唯世はこはるのことを好きでいてくれるようだが、自分が他の男子に目移りしていないか心配されていたのだから。
唯世への好きという気持ちは昔から積極的にアピールしているつもりだった。
少しむっとしたこはるはその気持ちをそのまま唯世へと伝えた。
「唯世、私がどれだけあなたのことを思ってきたか全然理解してない。確かになぎひこ達は転入当初から優しくしてくれたけど、全然そういうのじゃないもん。
私、唯世のこと大好きだよ?」
そんなこはるの真正面からの言葉に、唯世は胸の内から暖かいものがこみ上げてきた。
「ありがとう、とてもうれしいよ」
元気の戻った、いつもの王子様スマイルで答えた。
「じゃあ、僕とお付き合いしてくれる?」
そんな唯世の言葉に、こはるは顔を真っ赤にしつつも笑顔で答えた。
「こんな私ですが、よろしくお願いします」
こうしてこはるにとっても唯世にとっても、初めての恋人ができたのである。
そんな様子を近くの木から見守っていたキセキはやれやれといった様子で息を吐いた。しかしその表情からは喜びの気持ちが溢れていた。
「でも、付き合うってどういうことをしたらいいんだろう」
そんなこはるの一言に、唯世も一瞬考えたが、すぐにこはるに手を差し出した。
「まずは手をつないで帰ろうか。僕達らしく過ごしていこう」
今までも、手をつないで歩くことは何度かあったが、今日からは恋人同士での行為の一つだ。こはるはドキドキしながらもうれしそうにその手を取って歩き出した。