さすらいの黒猫さん?!揺れる心
「遅いぞ唯世!こはる!」
そういって2人を迎えたのはキセキだった。
生徒会室の中ではあむを除く全員が席についていて、ティータイムを楽しんでいた。
唯世とこはるは、自分たちのクラスに来た教育実習生について他のメンバーに教えることにした。
各クラス実習生は来ていたようだが、まさかあの月詠イクトが唯世達のクラスに来ているとは驚いた。
「そういえばさっきヨルが来て、教育実習がなんだかっていってたな!」
「はい、それはイクトさんのことでしたのね」
リズムとてまりが話し出す。
今は、ランミキスゥダイヤと共に、主人のもとへ向かっているようだった。
「月詠イクトかぁ。これはあむちーどっきどきだろうなぁ」
「ややたん達に隠れて連絡をとっていることも多かったでしゅからね」
みんな好き勝手雑談を始めてしまっている。
そこで唯世は今日の会議を始めようと声をかける。
「あむちゃん今日は来れないと思うから、僕達だけで進めようか」
ほんとは自分だって気になってるくせに。
そう考えながらこはるは作業を始めた。
体育祭で飾るいろいろな国の国旗が集められて装飾の補修作業だ。
裁縫も特異な分野に入るので、自らこの仕事を請け負っていた。
そんなこはるを見ていたなぎひこは、思わず声をかける。
「へぇ、こはるちゃん本当に上手だね。僕もがんばらなくちゃ」
「!なぎひこ。昔、少しだけ唯世のおばあさまに習っていたの」
まだおばあさまがお元気なころ。唯世と同じように、本当の孫としてかわいがってくれたおばあさまがこはるは大好きだった。
「そうなんだ。本当に2人は仲がいいんだね」
それはなぎひこの心からの言葉だったが、今のこはるは少し自信を無くしていた。
「昔の唯世のことはなんでも知ってるよ。でも・・・、今の唯世のことは知らないことばかりだよ。あむちゃんやみんなが羨ましい」
なぎひこの優しくて暖かい雰囲気につられて、いろいろと気持ちが出てきてしまう。
「私、あむちゃんに嫉妬しちゃうかも。あむちゃんのことは大好きだけど。唯世はやっぱり・・・」
「いいんじゃないかな」
悩むこはるになぎひこは話し出す。
「あむちゃんには確かに辺里くんといっしょに戦った経験があるけど、こはるちゃんにはこはるちゃんの思い出があって、関係があるでしょ?あんな風に辺里くんが女の子とスキンシップを取ったり、呼び捨てで呼び合ったりするのは見たことがないよ。これはこはるちゃんの特権じゃないかな」
その言葉にこはるの胸はあったかくなる。
少し焦っていたかもしれない。唯世に自分が置いて行かれるのではないかと。
「ありがとうなぎひこ」
こはるの心からの笑顔を正面から受けたなぎひこは若干顔を赤らめる。遠くから見ているりまが少しにらんでいるような気もする。
少し、意地悪をしちゃおうかな。
「ねぇこはるちゃん、ここがうまく縫えないんだ。教えてくれないかな」
そっとこはるに接近するなぎひこ。通常よりも距離は近く、今度はこはるが顔を赤らめる。
それを遠目から見ていた唯世はたまらず声をかける。
「藤咲君、ちょっといいかな。この資料についてなんだけど」
2人のそばまで来た唯世は、なぎひこをこはるから引き離す。
想像通りに動いてくれた唯世に、なぎひこは思わず笑ってしまう。
「ほらね、こはるちゃん。辺里くんは君のことが大好きみたいだ」
再度こはるのもとにやってきたなぎひこが、耳元で話しかける。
その言葉にこはるは心から嬉しくなった。そして、なぎひこがジャックスチェアや副会長として、みんなから頼りにされている理由が分かった。
「くしゅくしゅ。りま~機嫌直してよぉ~」
「別に、悪くなんてないわ」
あらあら、今度はこっちのお姫様のご機嫌を直さないとね。
なぎひこは楽しそうにクスクスと笑った。
そういって2人を迎えたのはキセキだった。
生徒会室の中ではあむを除く全員が席についていて、ティータイムを楽しんでいた。
唯世とこはるは、自分たちのクラスに来た教育実習生について他のメンバーに教えることにした。
各クラス実習生は来ていたようだが、まさかあの月詠イクトが唯世達のクラスに来ているとは驚いた。
「そういえばさっきヨルが来て、教育実習がなんだかっていってたな!」
「はい、それはイクトさんのことでしたのね」
リズムとてまりが話し出す。
今は、ランミキスゥダイヤと共に、主人のもとへ向かっているようだった。
「月詠イクトかぁ。これはあむちーどっきどきだろうなぁ」
「ややたん達に隠れて連絡をとっていることも多かったでしゅからね」
みんな好き勝手雑談を始めてしまっている。
そこで唯世は今日の会議を始めようと声をかける。
「あむちゃん今日は来れないと思うから、僕達だけで進めようか」
ほんとは自分だって気になってるくせに。
そう考えながらこはるは作業を始めた。
体育祭で飾るいろいろな国の国旗が集められて装飾の補修作業だ。
裁縫も特異な分野に入るので、自らこの仕事を請け負っていた。
そんなこはるを見ていたなぎひこは、思わず声をかける。
「へぇ、こはるちゃん本当に上手だね。僕もがんばらなくちゃ」
「!なぎひこ。昔、少しだけ唯世のおばあさまに習っていたの」
まだおばあさまがお元気なころ。唯世と同じように、本当の孫としてかわいがってくれたおばあさまがこはるは大好きだった。
「そうなんだ。本当に2人は仲がいいんだね」
それはなぎひこの心からの言葉だったが、今のこはるは少し自信を無くしていた。
「昔の唯世のことはなんでも知ってるよ。でも・・・、今の唯世のことは知らないことばかりだよ。あむちゃんやみんなが羨ましい」
なぎひこの優しくて暖かい雰囲気につられて、いろいろと気持ちが出てきてしまう。
「私、あむちゃんに嫉妬しちゃうかも。あむちゃんのことは大好きだけど。唯世はやっぱり・・・」
「いいんじゃないかな」
悩むこはるになぎひこは話し出す。
「あむちゃんには確かに辺里くんといっしょに戦った経験があるけど、こはるちゃんにはこはるちゃんの思い出があって、関係があるでしょ?あんな風に辺里くんが女の子とスキンシップを取ったり、呼び捨てで呼び合ったりするのは見たことがないよ。これはこはるちゃんの特権じゃないかな」
その言葉にこはるの胸はあったかくなる。
少し焦っていたかもしれない。唯世に自分が置いて行かれるのではないかと。
「ありがとうなぎひこ」
こはるの心からの笑顔を正面から受けたなぎひこは若干顔を赤らめる。遠くから見ているりまが少しにらんでいるような気もする。
少し、意地悪をしちゃおうかな。
「ねぇこはるちゃん、ここがうまく縫えないんだ。教えてくれないかな」
そっとこはるに接近するなぎひこ。通常よりも距離は近く、今度はこはるが顔を赤らめる。
それを遠目から見ていた唯世はたまらず声をかける。
「藤咲君、ちょっといいかな。この資料についてなんだけど」
2人のそばまで来た唯世は、なぎひこをこはるから引き離す。
想像通りに動いてくれた唯世に、なぎひこは思わず笑ってしまう。
「ほらね、こはるちゃん。辺里くんは君のことが大好きみたいだ」
再度こはるのもとにやってきたなぎひこが、耳元で話しかける。
その言葉にこはるは心から嬉しくなった。そして、なぎひこがジャックスチェアや副会長として、みんなから頼りにされている理由が分かった。
「くしゅくしゅ。りま~機嫌直してよぉ~」
「別に、悪くなんてないわ」
あらあら、今度はこっちのお姫様のご機嫌を直さないとね。
なぎひこは楽しそうにクスクスと笑った。