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I want to protect you ~キミを救いたい~

ある程度飛び続けていると次第にウイス様と、ビルス様が見えてきた。滑空しながら着地すると、僕は即座に頭を下げ謝罪の言葉を述べる。
ウイス 「時間ギリギリですね」
ハム 「ごめんなさい!!寝過ごすところでした…!」
ビルス 「いや、お前は問題ない…。問題は…!」
ハム 「?」
何も分からない状態の中僕は待った。だが、時間が過ぎても来ないもう一人の待ち人。それにビルス様は苛立ちを隠せない様子だった。かーだ、こーだ言っていて、しばらくすると一人の人物がビルス様の横に立っていた。
??? 「やー!ビルス様ー!!遅れちまって悪りぃなー!!」
ビルス 「遅い!!!全く…いつまで僕を待たせるきだ?!!」
反省の態度が全く感じられないせいで、ウイス様もその人に釘を刺した。
ウイス 「仰る通りですよ。以後気をつけて下さいね」
??? 「ははは…!!…お?」
その人は此方に視線を向けると、僕の名を聞いた。
???「オメーがハムか?」
ハム「あ!はい!そうですが…!」
どんどん顔を近づける事に圧を覚えるが、顔は凄く楽しそうだ。
???「はははっ!ウーロンみてぇだな…‼」
ハム「あの…あなたは?」
悟空「オッス!オラ悟空ちゅうんだ!」
ハム「悟空さんでいいですか?」
悟空「おう!それでいいぞ!」
ハム「はい…!宜しく頼みます!悟空さん‼」
悟空「ああ!宜しくな‼」
ビルス「話は済んだか?」
ハム「はい!お待たせさせてしまいすみません!」
ビルス「ふん!おいウイス!そろそろ行くぞ」
ウイス「はい。では、お二人とも私につかまって下さい」
悟空「おう!」
ハム「はい」
ウイス様の方に向き直し肩に手を置く。すると、物凄く早いスピードで宇宙空間のような所を移動していた。悟空さんが一人楽しそうに話をしている。だが、僕はそれより、夢のことや、記憶の事にすいて気になって仕方が無かった。思えばやけにリアルな夢、夢とはとても思い難い…そんな感じがする。現実と考えたとして、何故あの男が僕の記憶を消したのか…そこがどうも引っかかる。
ハム (あの夢は何なんだろう…。本当だとして、何であの男は僕に…。気になるけど、今は僕の記憶を取り戻す事に集中しないと…!!)


しばらく空間を移動していると、悟空さんがさっき以上に顔を弾ませながら、ビルス様にある質問を投げかけた。
悟空「あー!待ちきれねぇ!!なあ…ビルス様‼これから会うザマスってどんなヤツなんだ?」
ザマス…その言葉を聞いた時、僕の頭が揺らぎ…ある映像が映された。
映像の中で見えるのは、前に見たものと変わらない濃い色の空に黄色い雲の中に浮かぶ星、その星の上に建ててある家だ。だが今回は違った。界王様であろう人がいる事は変わらないのだが、その隣に僕がいる。僕が界王様の方に顔を向け、名前を呼んだ。そう…ザマス!と。もう一方のザマス?の方も笑みを浮かべながら僕の名を呼び返す。その笑顔は僕ですら、眩しい時感じてしまう程の輝かしさだ。記憶に手を伸ばそうとすると弾かれてしまう。だがそれとは別に、僕は感じるものがあった。
ハム (守らなきゃ…な)
そうして、現実の世界に呼び戻されると、僕は肩で息をし、大量の汗をかいていた。そんな僕を悟空さんは心配の目を向ける。
悟空「大丈夫か?ハム」
ハム「はい。大丈夫、ですよ…!悟空さん」
悟空さんに、大丈夫だと伝えると、安心したかのように表情が戻った。良かったと…!安堵していると、次はビルス様から、問いを頂いた。内容はザマスを知っているか?という事だった。記憶が定かでは無い中、変な事は言えないと、はいとは、答えたものの、あまりよく思い出せないと付け加えて答えた。
ビルス「ふーん」
ビルス様が鼻を鳴らしていると、待ちきれないと言わないばかりに悟空さんは、ビルス様を諦めてウイス様に先程聞こうとした事を聞いた。
悟空 「なあ!ウイスさん‼ザマスってどういうヤツなんだよ〜!」
ウイス 「確か彼は、以前は第十宇宙で北の界王をしていたのですが、その天才的な戦闘の腕を買われ、次期界王神として育成を…」
悟空 「本当かよー!」
ウイス 「ええ」
ビルス 「おい!身を乗り出すんじゃない!」
悟空「悪いビルス様ー!」
ビルス 「いいか?お前を此処で叩き落として、宇宙のチリにやってもいいんだぞ…!」
悟空 「?こえー顔して言うなよ?」
ビルス 「はぁ…!ダメだ。まるで間に受けてない」
苦笑いでやり取りを聞いていると、ウイス様からもうすぐ到着するという報告を受けた。
ハム 「‼ ここが…第十宇宙の界王神界…!」」
おそらく来たであろう、第十宇宙の界王神界に僕は何処か懐かしさを感じた。そんな中、ウイス様のバリアが解かれ真っ逆さまに地上に落下していく悟空さんの所へ向かおうと身を乗り出すがビルス様に止められた。顔を見ると、かなり怖い顔をされている。
ビルス 「あのバカはほっとけ…!」
威圧感を感じた僕は、カタコトになりがらも答える。
ハム 「ハイ…」
ビクビクしながら、しばらくじっとしていると、地面に着き周りを見渡す。辺りを見ると、森や草原…それに、界と書かれた大きな神殿がある。
ハム 「……!」
周りの風景を見ていると、正面に黄色い肌をした方と、若緑色の肌をした方が頭を下げビルス様達に挨拶をする。
??? 「これはこれはビルス様」
??? 「……」 
ビルス 「や!」
ウイス 「お久しぶりでございます」
しばらくじっと見ていると、ふと、何かが呼び起こされたかのように記憶を思い出す。
ハム 「‼ゴワス様…!!」
恐る恐る前に出ると、ゴワス様が驚きの顔を浮かべながら、僕を見る。
ゴワス 「ハム…⁈ハムなのか!」
ハム 「はい!ハムで——っ!?」 
僕だと伝えようとさらに前に出ようとすると何かに包まれる感覚がした。目を向けて映るのは、黒色の外套に、白髪の髪に、橙色のポタラ…。そして、若緑色の肌だった。
ハム (もしかして、付き人様…かな?)
??? 「……」
僕を抱きしめたまま何も言わない付き人様、身に覚えのない行動に気まずさを覚えた僕は。どうにかしようと失礼を承知である事を聞いた。
ハム 「あの……‼」
??? 「ハム…!」
不意に名前を呼ばれ、僕の体がビクッと震え、声が裏返る。
ハム 「⁈はい!」
??? 「?…ハム?」
抱擁を解き、此方の顔を覗き込まれる。若緑色の肌に浮かぶ、灰色の目…その目は希望に溢れているかのようなのように感じた。だが…その目も僕が言った一言で一瞬で絶望に変わった。
ハム 「あの…!!貴方は……誰…ですか?」
??? 「…っ⁉」
ゴワス 「ハム…!やはり記憶が……‼」
ゴワス様が驚きの顔をしていると、付き人様の体と声が震える。
??? 「何故、だ……」
ハム 「?」
??? 「何故だ!何故だ!何故だ!何故だ‼なぜ…私の記憶だけ…っ‼」
顔を下に向け、嘆きの言葉を叫ぶ付き人様…そんな付き人様を見て胸が苦しくなるのを感じてた。その矢先…ゴワス様から、付き人様の名前が聞こえ、驚きを覚えた。
ゴワス 「ザマス…」
ハム 「‼ザマス!君が…!!!」
ザマスという名前にピクっと震えると、付き人様…もといザマスさんは再び僕の名を呼び顔を覗き込んでくる。
ザマス 「ハム」
ハム 「‼」
ザマス 「ハム…!私は、お前を…っ!」
苦しそうに、辛そうに話すザマスさんに、僕は名前を呼ぶ事しか出来なかった。
ハム 「ザマスさん…」
ビルス 「あのさー!もういいよね?」
ビルス様をお待たせしている事に気づいたゴワス様は、用件を聞く為ビルス様達のところに歩いて行った。
ゴワス 「…!お待たせさせてすみません。私でよければ用件を伺います」
ビルス 「じゃあ早速だけど……」
ビルス様達とゴワス様の会話が始まったのを確認すると、僕はザマスさんの方に向き直した。酷く辛そうな顔をしている。
ハム 「…ザマスさん。大丈夫ですか?」
ザマス 「………!すまない。変なところを見せてしまったな…」
ハム 「いえ。大丈夫ですよ」
ザマス 「そうか…」
立ち上がり、そのまま何処かへ行ってしまいそうになったザマスさんを僕は呼び止めた。理由は分からない…だけどザマスさんの側に居たいその感情は感じていた。そこで…口実にもなってしまうが、僕はある提案を出した。
ハム 「ザマスさん…!」
ザマス 「何だ?」
ハム 「よければ教えてくれませんか?僕の事…」
ザマス 「お前の?」
ハム 「知って思い出したいんです。僕の事…そして、ザマスさんの事を…」
僕がそう言うと切なそうな辛そうな顔をしながら、ザマスさんは黙った。まるで何かを諦めるかのように…。何かを……抑えるような顔をして。
ザマス 「………」
ハム 「ダメ…ですか」
了承を確認する為に再び聞くと、ザマスさんは一瞬で表情を変えて、了承してくれた。
ザマス 「構わん。私が空いている時に教えてやろう」
ハム 「ありがとうございます…!」
お礼と共に笑顔を顔に浮かべると、ザマスさんは再び僕の目線まで屈むと、僕の頬に手を着け名前を呼んだ。
ザマス 「…ハム」
ハム 「はい」
ザマス 「お前は私を……」
次第に距離を詰めてくるザマスさんに、僕は疑問を浮かべる。
ハム 「?ザマスさ…」
悟空 「うっひょーーっ!!!」
横から突然声がしたと思ったら、悟空さんが物凄い勢いで走ってきた。その勢いは周囲に突風が起こる程だ。
ハム 「?!悟空さん!!?」
悟空 「あんたが天才的に強いちゅう界王様か?!あのよ〜!オラといっちょ戦ってくんねぇか?」
ザマス 「…!!戦うだと…!」
悟空 「頼むよー!オラ、その為に遥々宇宙から来たんだからさー!!」
ザマス 「人間が…!!!」
ザマスさんがそう言うと、周囲に気の影響か風が起こる。これは、不味い空気だと、悟った僕は何処か突破口が無いかと探る。その時、ゴワス様の声が聞こえた。
ゴワス 「ザマス!ビルス様達を神殿にお迎えするぞ」
ありがたいタイミングに僕はザマスさんに話しかける。
ハム 「!…ザマスさん!ゴワス様が…」
ザマス 「…!分かりました!……すまないな…ハム」
ハム 「問題ないですよ!悟空さんも行きましょう?」
悟空 「うっす!」
悟空さんのマイペースっぷりに苦笑いを浮かべながら道を歩いていると、何処からか視線を感じた。視線の方向を横目で見るとそこには、悟空さんを薄く睨みつけているザマスさんの姿があった。
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