刻巡りて神と人は出会う [ゼノバース2世界観]
普段より荒々しい時の巣に到着した人間と私はひとまず状況確認をする為、周りを見渡した。
案の定、見てとれるのは凶暴化したタイムパトローローラーの姿だ。まるで何かに取り憑かれたかの様に暴れ正気が無い様な目をしており…そのせいかタイムパトローローラー達から溢れ出ている邪気が、この時の裂け目の邪気を増幅させているかの様にも感じとれる。
やはり人間はこれが本性なのだと私は改めて節々と感じ……「人間は滅ぼさねば」という本来の意志を戻さんと頭を埋める。
ザマス(やはり人間等…)
ミゼル「成程。…確かにこれはひどいな」
人間がそう呟くと何処からともなく声が聞こえてきた。向きを変えるとそこには時の界王神が息を切らして人間を見つめる。
時の界王神「ミゼル!」
ミゼル「時の界王神様…!お怪我は無いですか?」
時の界王神「ええ!私は大丈夫!…だけど、見ての通り時の裂け目から溢れる邪気に当てられた一部のタイムパトローラー達は凶暴化しているわ!」
ミゼル「ですね」
時の界王神「来てもらったのはこの時の裂け目の調査をお願いしたいという事なんだけど大丈夫?」
ミゼル「僕は問題無いです。…ザマスは大丈夫?」
なんのために私がわざわざ着いてきたと思っているのだ…と、人間に言いたくなったが、そこは無理矢理飲み込み素っ気なく言葉を返した。
ザマス「………私に聞くな」
ミゼル「分かった。…では向かわせて頂きます。…ザマス、行こうか」
ザマス「……」
ミゼル「ザマス。大丈夫?」
再び差し伸ばされた手。その手を私は何時も跳ね除ける…。だが、その度に何処かが痛々しくなるこの感覚に私は蝕まれる。痛く、いじったらしいこの感覚に…。
ザマス「いらん手は貸すな…!」
ミゼル「分かった。…僕が先に入るね」
そう言うと、人間は消える様に時の裂け目の中に入っていった。そして私の体も飲まれる様に時の裂け目に入っていく。
前回とは少し違う景色にそっと目を向けてしまいそうになるが、それよりもこの空間に充満している濃い邪気の方が気になった。
一体…何処からこの邪気が流れているのか…それを考えていた時だ。人間がそっと何かに近づきそのまま刃でその何かを叩き割った。
その途端、先ほどよりも濃い邪気が大量にこの空間に溢れ出す。
ザマス「人間!!なにを…っ!?」
ミゼル「ザマス!!少し待っててね…!」
ザマス「!この光は…!」
青白い光が邪気で塗れたこの空間を包み込む。目が眩む程の光で私は思わず目を閉じた。そして、次に目を開けるとそこには邪気は無くなり人間の姿だけがあった。
ザマス「貴様!一体なにを…!?」
ミゼル「それはまだ言えない。ごめんね…」
また何か思い詰めた様な表情をする人間に何も言えず、私はまた思ってもいない言葉で返す。
ザマス「必ず言えよ?」
ミゼル「うん。また…何時か、ね」
神妙な空気が流れる中…人間は一息つくかの様に息を吐くと、そのまま私の方に向き直す。
ミゼル「……ザマス、時の界王神様への状況報告とタイムパトローラー達の様子を見に一旦時の巣に戻ろう」
ザマス「……其処には私も同意だ。此処の場所はおそらく「良からぬ者達」が関連している場所だろうからな」
ミゼル「うん。…じゃあ帰ろうか。ザマ…」
その途端、私の左手を眩い光の線がプスッ…と貫き、其処から紫色の液がふつふつと溢れ出た。
ミゼル「!…ザマス!!」
ザマス「っ!?」
光が出てきた方向に目をやると、其処には黒衣の者が一人…感情が無いような目で立っていた。
???「……」
ミゼル「ザマス大丈夫…!?」
ザマス「これくらいすぐに治る。貴様も不死なら承知しているだろう!」
ミゼル「そうだね…!でも、まずはこの魔界の人にちょっと、捕まってもらわないと…!…ってザマス!?」
人間の事等気にも留める事はなく私はそのまま攻撃を仕掛けた。
ザマス「はあっ!!」
様子見にと、まず気がこもっている刃を相手に振り翳そうとした…。だが、その攻撃は流れる様にかわされる。
しかし…これを読んでいた者がいた。その者は黒衣の男の背後に周り攻撃の機会をそっと…待っていたのだ。
ザマス(やはり…お前か)
ミゼル「そうくると思ってたよ!」
人間は黒衣の男に脇腹に蹴りを当てそのまま勢いよく吹き飛ばすと、少々気を溜める様な動作をし、そのまま黒衣の男の方へ向かう。
近くまで行くと、手に気を込め出して何かを教えるかの様に声を上げた。
ミゼル「まだ習って間もないかもだけど、使わせてもらうよ!!」
私がそっと目を向けると、そこにはあの技を使っている人間の姿があった。
紫色の気の刃が相手を切り裂き一旦後ろへ後退し、そのまま切り裂いた相手を気弾が追尾する…。私が愛用する技…「神裂降矢」だ。
戦闘中という事を気にしながらも、私は思わず見惚れてしまう。それは、自身の技の美しくさに賞賛する嬉しさか…それともまた別の何かなのか…今の私にはそれが分からなかった。だが確実に私は目を奪われた。…それは確実に変わらぬ事だ。
だから言葉が出た。
ザマス「人間!その技は…!」
先程の気弾が当たっていたにも関わらず、黒衣の男は此方に向かって来た。薄汚い笑みを浮かべながら…。
ザマス「……チッ!!人間如きが!!」
隙を見せた黒衣の男に私はそのまま刃を振り下ろそうとした。だがそれは一瞬止められた。この者の可笑しな行動によって…。
???「……ははっ…!」
ザマス「!…何を笑っいる!!」
ミゼル「!!…ザマス!無鉄砲に近づいちゃダメだ!!」
ザマス「消えるがいい!!人間っ!!!」
そのまま気の刃を振り下ろし、神烈波を何発か放ちその直後にエネルギー波を放った。しかしまだ残る人間の気配に私は再び体制を整えた。
ザマス「まだか…」
ミゼル「ザマス!」
ザマス「人間…戦いはまだ終わってないぞ。早く戦闘体制をととの…」
そう言い手をあげようとした時だった。先程血がふつふつと出ていた箇所から、比にもならないくらいの紫色の雫が溢れ出てきた。普通は回復する筈の事に私と人間は気が動転してしまった。
ミゼル「手が…!」
ザマス「何故…!?回復が追いついていない!」
ミゼル「!…まさか!あの時…!!……ザマス。手貸して」
ザマス「は?何を…」
流血する手を見てか、人間は自身の服の端を破り無許可で私の出血している手に触れてきた。
ザマス「!?何を勝手に触れて…!!」
動転しているままの私を人間は気にする事もなく破いた服をそのまま出血箇所の中心に巻きつけ出した。何とも言えない様な感覚に晒されている私に人間は早急に…しかしながら丁寧に布を巻きつける。まるでそれは…鬱陶しいくらいに優しく…包み込む様に。
ミゼル「……よし出来た。…まだいけそうかい?」
ザマス「………これくらい大した事無い。さっさとやるぞ」
ミゼル「?うん。…じゃあいくよ!」
再び黒衣の男と向き合うと、私と人間は戦闘を再開した。
まるで私の攻撃手順を全て知っているかの様に絡んでくる人間に、私は違和感を感じたが、それよりも騒めくものがあった。前からあった可笑しな感覚…いや、自覚に変わったそれは確実に私を内から蝕み始め…そして毒した。
ザマス(人間。やはり貴様は私を掻き乱し…狂わせる。だが、このものは……私には必要などない…っ!)
自覚している筈の感情に私は強引に蓋をした。そう…蓋を。
時の界王神「連絡がとれない…!まさかまた魔界のやつらに…!…何か手を早く打たないと!!ミゼル達が危ない!」
???「時の界王神様。俺に行かせて下さい」
時の界王神「???…!貴方まだ体調治ったばかりでしょ!?それで大丈夫なの…!」
???「今は問題ありません。それに……俺はあの人に、ミゼルさんにまだ伝えられて無い事があるんです。…お願いします」
時の界王神「其処まで言うなら分かったわ。但し…必ず帰ってきなさいよ?」
???「……そんな事、ずっと前に承知しておりますよ。………じゃあ行ってくるな」
???「うん。無事に帰ってきてね?」
???「ああ。絶対に…」
そう言うと、その男は時の裂け目の中に吸い込まれるかの様に消えていった。
案の定、見てとれるのは凶暴化したタイムパトローローラーの姿だ。まるで何かに取り憑かれたかの様に暴れ正気が無い様な目をしており…そのせいかタイムパトローローラー達から溢れ出ている邪気が、この時の裂け目の邪気を増幅させているかの様にも感じとれる。
やはり人間はこれが本性なのだと私は改めて節々と感じ……「人間は滅ぼさねば」という本来の意志を戻さんと頭を埋める。
ザマス(やはり人間等…)
ミゼル「成程。…確かにこれはひどいな」
人間がそう呟くと何処からともなく声が聞こえてきた。向きを変えるとそこには時の界王神が息を切らして人間を見つめる。
時の界王神「ミゼル!」
ミゼル「時の界王神様…!お怪我は無いですか?」
時の界王神「ええ!私は大丈夫!…だけど、見ての通り時の裂け目から溢れる邪気に当てられた一部のタイムパトローラー達は凶暴化しているわ!」
ミゼル「ですね」
時の界王神「来てもらったのはこの時の裂け目の調査をお願いしたいという事なんだけど大丈夫?」
ミゼル「僕は問題無いです。…ザマスは大丈夫?」
なんのために私がわざわざ着いてきたと思っているのだ…と、人間に言いたくなったが、そこは無理矢理飲み込み素っ気なく言葉を返した。
ザマス「………私に聞くな」
ミゼル「分かった。…では向かわせて頂きます。…ザマス、行こうか」
ザマス「……」
ミゼル「ザマス。大丈夫?」
再び差し伸ばされた手。その手を私は何時も跳ね除ける…。だが、その度に何処かが痛々しくなるこの感覚に私は蝕まれる。痛く、いじったらしいこの感覚に…。
ザマス「いらん手は貸すな…!」
ミゼル「分かった。…僕が先に入るね」
そう言うと、人間は消える様に時の裂け目の中に入っていった。そして私の体も飲まれる様に時の裂け目に入っていく。
前回とは少し違う景色にそっと目を向けてしまいそうになるが、それよりもこの空間に充満している濃い邪気の方が気になった。
一体…何処からこの邪気が流れているのか…それを考えていた時だ。人間がそっと何かに近づきそのまま刃でその何かを叩き割った。
その途端、先ほどよりも濃い邪気が大量にこの空間に溢れ出す。
ザマス「人間!!なにを…っ!?」
ミゼル「ザマス!!少し待っててね…!」
ザマス「!この光は…!」
青白い光が邪気で塗れたこの空間を包み込む。目が眩む程の光で私は思わず目を閉じた。そして、次に目を開けるとそこには邪気は無くなり人間の姿だけがあった。
ザマス「貴様!一体なにを…!?」
ミゼル「それはまだ言えない。ごめんね…」
また何か思い詰めた様な表情をする人間に何も言えず、私はまた思ってもいない言葉で返す。
ザマス「必ず言えよ?」
ミゼル「うん。また…何時か、ね」
神妙な空気が流れる中…人間は一息つくかの様に息を吐くと、そのまま私の方に向き直す。
ミゼル「……ザマス、時の界王神様への状況報告とタイムパトローラー達の様子を見に一旦時の巣に戻ろう」
ザマス「……其処には私も同意だ。此処の場所はおそらく「良からぬ者達」が関連している場所だろうからな」
ミゼル「うん。…じゃあ帰ろうか。ザマ…」
その途端、私の左手を眩い光の線がプスッ…と貫き、其処から紫色の液がふつふつと溢れ出た。
ミゼル「!…ザマス!!」
ザマス「っ!?」
光が出てきた方向に目をやると、其処には黒衣の者が一人…感情が無いような目で立っていた。
???「……」
ミゼル「ザマス大丈夫…!?」
ザマス「これくらいすぐに治る。貴様も不死なら承知しているだろう!」
ミゼル「そうだね…!でも、まずはこの魔界の人にちょっと、捕まってもらわないと…!…ってザマス!?」
人間の事等気にも留める事はなく私はそのまま攻撃を仕掛けた。
ザマス「はあっ!!」
様子見にと、まず気がこもっている刃を相手に振り翳そうとした…。だが、その攻撃は流れる様にかわされる。
しかし…これを読んでいた者がいた。その者は黒衣の男の背後に周り攻撃の機会をそっと…待っていたのだ。
ザマス(やはり…お前か)
ミゼル「そうくると思ってたよ!」
人間は黒衣の男に脇腹に蹴りを当てそのまま勢いよく吹き飛ばすと、少々気を溜める様な動作をし、そのまま黒衣の男の方へ向かう。
近くまで行くと、手に気を込め出して何かを教えるかの様に声を上げた。
ミゼル「まだ習って間もないかもだけど、使わせてもらうよ!!」
私がそっと目を向けると、そこにはあの技を使っている人間の姿があった。
紫色の気の刃が相手を切り裂き一旦後ろへ後退し、そのまま切り裂いた相手を気弾が追尾する…。私が愛用する技…「神裂降矢」だ。
戦闘中という事を気にしながらも、私は思わず見惚れてしまう。それは、自身の技の美しくさに賞賛する嬉しさか…それともまた別の何かなのか…今の私にはそれが分からなかった。だが確実に私は目を奪われた。…それは確実に変わらぬ事だ。
だから言葉が出た。
ザマス「人間!その技は…!」
先程の気弾が当たっていたにも関わらず、黒衣の男は此方に向かって来た。薄汚い笑みを浮かべながら…。
ザマス「……チッ!!人間如きが!!」
隙を見せた黒衣の男に私はそのまま刃を振り下ろそうとした。だがそれは一瞬止められた。この者の可笑しな行動によって…。
???「……ははっ…!」
ザマス「!…何を笑っいる!!」
ミゼル「!!…ザマス!無鉄砲に近づいちゃダメだ!!」
ザマス「消えるがいい!!人間っ!!!」
そのまま気の刃を振り下ろし、神烈波を何発か放ちその直後にエネルギー波を放った。しかしまだ残る人間の気配に私は再び体制を整えた。
ザマス「まだか…」
ミゼル「ザマス!」
ザマス「人間…戦いはまだ終わってないぞ。早く戦闘体制をととの…」
そう言い手をあげようとした時だった。先程血がふつふつと出ていた箇所から、比にもならないくらいの紫色の雫が溢れ出てきた。普通は回復する筈の事に私と人間は気が動転してしまった。
ミゼル「手が…!」
ザマス「何故…!?回復が追いついていない!」
ミゼル「!…まさか!あの時…!!……ザマス。手貸して」
ザマス「は?何を…」
流血する手を見てか、人間は自身の服の端を破り無許可で私の出血している手に触れてきた。
ザマス「!?何を勝手に触れて…!!」
動転しているままの私を人間は気にする事もなく破いた服をそのまま出血箇所の中心に巻きつけ出した。何とも言えない様な感覚に晒されている私に人間は早急に…しかしながら丁寧に布を巻きつける。まるでそれは…鬱陶しいくらいに優しく…包み込む様に。
ミゼル「……よし出来た。…まだいけそうかい?」
ザマス「………これくらい大した事無い。さっさとやるぞ」
ミゼル「?うん。…じゃあいくよ!」
再び黒衣の男と向き合うと、私と人間は戦闘を再開した。
まるで私の攻撃手順を全て知っているかの様に絡んでくる人間に、私は違和感を感じたが、それよりも騒めくものがあった。前からあった可笑しな感覚…いや、自覚に変わったそれは確実に私を内から蝕み始め…そして毒した。
ザマス(人間。やはり貴様は私を掻き乱し…狂わせる。だが、このものは……私には必要などない…っ!)
自覚している筈の感情に私は強引に蓋をした。そう…蓋を。
時の界王神「連絡がとれない…!まさかまた魔界のやつらに…!…何か手を早く打たないと!!ミゼル達が危ない!」
???「時の界王神様。俺に行かせて下さい」
時の界王神「???…!貴方まだ体調治ったばかりでしょ!?それで大丈夫なの…!」
???「今は問題ありません。それに……俺はあの人に、ミゼルさんにまだ伝えられて無い事があるんです。…お願いします」
時の界王神「其処まで言うなら分かったわ。但し…必ず帰ってきなさいよ?」
???「……そんな事、ずっと前に承知しておりますよ。………じゃあ行ってくるな」
???「うん。無事に帰ってきてね?」
???「ああ。絶対に…」
そう言うと、その男は時の裂け目の中に吸い込まれるかの様に消えていった。