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刻巡りて神と人は出会う [ゼノバース2世界観]

私は朝起きると直ぐにあの丘へと向かう。よくは分からない感覚だが、それが日課と呼べる事は嫌でも分かるようだった。
神である私がたかが人間風情の為に動かされている…その事は認めなたく等無かった。だが同時に、あの人間に毒されている事も薄々と感じてしまう。前々から察してはいたが此処まで進むとは思わなかった私は嫌でも自覚してしまう…。私はあの人間に……。
ザマス「ちっ…!何を考えているのだ!私は…っ!!」
ヤケクソに言葉を放っているとあの丘が視界に入ってくる。勿論、あの人間の姿も…だ。
私が地面に降りると、風でふわっと…周りね草原は揺れ、人間の目がうっすらと開く。
ミゼル「んぅ…。ザマスおはよう」
ザマス「もう昼だぞ。もっと早く起きれぬのか?貴様は……」
ミゼル「んー。それは難しいかなぁ。ごめんね」
ザマス「ハムはどうした?」
ミゼル「まだ寝てるよ…。何時も夕方頃に起きるからさ。それにしても…凄い睡眠力だよね。僕も見習いたいなぁ…」
ザマス「見習うな。……ところでまた此処で寝てたのか?」
ミゼル「うん。何せ此処が一番落ち着くからね」
ザマス「お前にとっては此処が一番落ち着くのか?」
ミゼル「うん。…そういうザマスは何処が一番落ち着くの?」
ザマス「……無いな」
ミゼル「なんで?」
まじまじと見つめてくる人間。正直気色が悪いが、何処か寂しそうな目をしている様にも見える。だが、私は其処まで人間に甘くする気等毛頭無い。
ザマス「貴様に答える義理はない」
ミゼル「分かった。じゃあいつか教えてね…!」
ザマス「全く…!懲りないな貴様は…」
ミゼル「まぁね!」
ザマス「笑顔で言うな。気色が悪い!」
ミゼル「そう言わないでよ…。ザマス…君は何を成したいんだい?人間を0にした後君は独りの世界で何をして、何をするの?」
ザマス「…そんな事言わずとも知れているだろう?」
ミゼル「……そうか。君はまた殺すのか」
ザマス「不要なものを掃除をして何が悪い…」
ミゼル「不要か。不要……ね」
顔を下に向ける人間。一瞬見えたその瞳は虚に澱み沈んでいる様に見えた。
ザマス「人間…。貴様は何を成しえる…?何を其処まで成したいのだ?」
ミゼル「僕は…兄さんを見つけたいんだ」
ザマス「兄か…」
ミゼル「うん。…僕さ、こんな力を持っているせいでずっと独りで……寂しくて、辛くて…何もかも嫌だった。そんな時に何時も助けてくれたのが兄さんだったんだ。なのに僕は兄さんを…!!」
不意に人間の震える手が目に入る。言い返したいのに言い返し難いこの状況は私に何とも言い難い感覚を押し付ける。私は何処までこの人間に毒されてしまっているのだろうか……。いや…何処まで壊れていくのだろうか…。そんな事等知らずにこの人間は笑顔を此方に向けてくる。ああ…なんと馴れ馴れしいのだろうか…。
ミゼル「ごめんね。一人で喋っちゃって…!」
ザマス「其処まで気にする程では無い」
ミゼル「そうか…!ありがとうね。ザマス…!」
ザマス「フン…!」
ミゼル「あっ!そうだ!!…ザマス!君が良ければ君の目で僕の弟子達の動きを見て欲しいんだ!」
ザマス「はぁ??何故私がそんな事を…!」
ミゼル「だって、ザマスの修行凄く厳しいし難しいんだもん。…でもその分戦闘力が高まってる気がするんだ!だから良ければ君の目で弟子達も見て欲しいなって思ったんだ!!………駄目かな?」
ザマス「駄目だ。人間共に教えてやる程私は暇では無いからな」
ミゼル「其処を何とか出来ないかなぁ…」
先程と同じくまじまじと見つめてくる人間。……嗚呼、何と気色が悪い事なのだろうか……。
ザマス「そんな目で見つめても無駄だぞ」
ミゼル「………」
私がそう言うと人間は更に視線を強め私を見つめてくる。流石にこの後も見つめ付き纏われては面倒に感じ私は人間の申し出を許可した。
ザマス「…はぁ。仕方が無いな今回だけだ…」
ミゼル「!!…やったぁ!!!ありがとうねザマス!!」
ザマス「本当に今回だけだからな…」
自分の頭を抱えて出るのは溜め息と呆れだけだ。それ以外本当に何も出そうで出ない。
しかし……この時の私は心身の何処かで深い騒めきを感じていた事をまだ知る由も術も気持ちも無く、そのまま放置されるままになった…。





あの人間共のところに着くと、人間は笑顔で目を輝かせながら今回だけ私が見てやる事を説明している。
人間共の顔を見てやると、案の定…女の方は気色が悪いくらい明るい顔をしている。男の方は……そもそも見たくも無いと目をやらない。
ミゼル「てな訳で今日はザマスが君達の技を見てくれるよーっ!」
スクード「はぁ…ミゼルさん。何で俺達がこんな奴なんかと…。っておい!シェイニー!!」
男がそう叫び前に目をやると、女が此方に突進してくるかの様に近づいて来る。
シェイニー「わあっ!!お師匠様のお師匠様だーーっ!!!」
ザマス「っ!…おい!!近寄るなっ!!」
シェイニー「えぇっ!!少しくらい良いじゃないですかぁ!!」
ザマス「駄目だ!」
シェイニー「ぅうううぅっ!!お師匠様ぁぁっ!!」
私が駄目だと分かると女は人間の方に泣きながら突っ込む。
ミゼル「あぁっ!??ちょっ、シェイニー!!!」
あたふた慌てふためく人間…見ていて面白いのだが…それは男によって止められた。
スクード「シェイニー…お師匠様困ってるだろ。離れてやれ」
シェイニー「えぇっ!?嫌だよお兄ちゃん!!」
スクード「じゃあ兄ちゃんの胸を貸してやる。だから来てくれよ………な??」
シェイニー「お兄ちゃんがそこまで言うなら良いよーっ!!」
スクード「ごふっ!!」
兄弟とはいえ、この場でこんなに戯れ合うのはどうかと、私は溜め息を吐く。しかし人間はその姿を見て意味が分からない事を言う。
ミゼル「二人共仲良いよね。そう思わないかい…ザマス?」
ザマス「…知らん」
ミゼル「ふふ…!」
ザマス「何を笑っている…!」
ミゼル「いやぁ…何時もと変わらないなって…!」
ザマス「チッ!…お前は静かにしてろ!」
ミゼル「分かったよ…!ザマス!」
歯を見せ明るく笑う人間。その気を紛らわす為、私はヤケクソに言い放ちながら今回の本題を人間に指摘する。
ザマス「それより私を呼びつけておいてこんな茶番だけを見せるつもりか!!早急に準備を整えろ…!!」
ミゼル「!!…そうだったね!それじゃあ二人とも準備宜しくね!」
シェイニー「分かりました!!お兄ちゃん準備OK?」
スクード「ああ…OKだ」
シェイニー「分かった!!……お師匠様何時でも大丈夫ですよ!!」
ミゼル「了解!じゃあ行こうかザマス!」
ザマス「貴様に指図されずとも分かっている」
そう言うと、私と人間共はあの岩場に移動し、戦闘の為の準備を整える。その後…ある程度準備が終わったのか此方に人間は私に目をやると、それに続くかの様に、弟子の人間共も此方に合図とも言える眼差しを向ける。ある程度人間の言いたい事が分かってしまう自身がとても恨めしくなる。
ザマス(私が何故たかが人間風情等に…!!!)
再び自身に対する苛立ちと、人間に対する怒りとも呼べる感情に飲まれそうになるが、それは目の前の人間によって掻き消される。
ミゼル「ねぇザマス。まだ始まらないのかい?」
ザマス「っ!貴様に言われずともやってやる!!神に二言は無いからな!!」
ミゼル「ありがとうねザマス…!二人共!!どっちから先に見てもらうの?」
スクード「シェイニーは危ないから、俺が先に……っておい!??シェイニー!!!」
シェイニー「私が行きます!!!良いですよね!!?お二方共!」
此方に煩い形相で迫ってくる人間の娘に人間は、少々慌て蓋めきながらも自身の弟子であってか、人間にしては冷静な対処をする。
ミゼル「僕は構わないけど、ザマスはいいかな?」
ザマス「私に聞くな。貴様等で決めろ」
シェイニー「じゃあ良いですよね!!?」
ミゼル「いいよ。…宜しくね。ザマス」
ザマス「ふん…!」
岩場の中心部に移動すると、私と人間は互いに構えを取り向かい合う。そして頃合いだと判断をし、開始の合図を出す。
ザマス「こい…!」
シェイニー「分かりました!行きますよーっ!!!」
ザマス「跳ねてないでさっさと……」
そうしている矢先…人間の女が瞬時に背後に移動し、蹴り技を仕掛けようとする。私はそれを察知すると、気の刃で受け止めそのまま空中に投げ飛ばす。
辺りには砂埃が舞い、追尾しようと足に力を込める時に地割れが起きる。そして…空中で女に追撃を行おうと神烈降矢を行おうと姿勢を取るが、女はしなやかに攻撃をかわしながら、反撃の為再び背後に向かう様な仕草を見せた。しかし…私が振り返ると其処には頭に両指を構えながら待っている女の姿があった。
シェイニー「太陽拳!!!」
女がそう言うと、辺りが眩い光に包まれ、私もその光の強さで目が眩む。
ザマス「…っ!?」
シェイニー「隙ありです!!」
その一瞬の隙を突き女は私の腹に拳を加え、そのまま空中に飛ばし追撃を行い、体勢を崩さんと重いが間のある構えをする。
ザマス「…ぅっ!!」
シェイニー「まだ行きますよっ!!」
女が拳を此方に向けようとたその時、私は瞬時に上空に回避し、逆に女の体勢を崩させる。
シェイニー「しま…っ!??」
ザマス「詰めが甘いな」
そう言うと女に今までの分の攻撃を一気に叩き込む。技と技の組み合わせを行い…その間に攻撃も入れ、女の体力は一気に消耗するかのように見えた。その瞬間私は女を蹴り飛ばし、瞬神烈斬を女に放つ。
シェイニー「がはっ…!?」
呻き声が聞こえると女は岩盤に叩きつけられた。辺りには爆風によって砂埃が飛び散り微かに視界を奪う。しかし、視界は見えずとも気配は感じ取れるもの。女の気配は…戦えないであろうくらいまで小さくなっており、私はそれの意味を一瞬で悟る。
ザマス「……終わったな」
一気に小さくなった女の気配を確認する為に人間が割って入り、その後…女の状況を確認し終えた人間は女を連れて此方に戻った。
シェイニー「ザマスさん凄いです!!あんなに早く判断出来るなんて!!」
ザマス「当然の事を聞くな。貴様も出来る様にしろ」
シェイニー「頑張ります!!!」
ミゼル「ザマス。僕スクードの所行って来るね」
ザマス「私に聞くな」
ミゼル「…分かった。今後からそうするよ」
そう言うと人間は男の方へと向かい、取り残された私は女から凄まじい数の言葉を浴びせられる。正直頭が痛くなりそうな程だったが、無視してもなお続けられる行動に嫌気が刺し、出来る限りの事を話す。
シェイニー「私の動きの良かった所と、駄目なところを教えて下さい!!…お願いします!!」
ザマス「はぁ……。良かった箇所は、人間にしてはしなやかな素早い動きをした事だな。あれなら大抵の者は対処出来る。しかし…それと反対に悪い箇所は体力及び耐久面の低さだ。幾ら早く動けても敵に攻撃されれば直ぐにやられるぞ…。貴様はまず、そこを治す事に専念するのだな…」
シェイニー「分かりました!!少しでも進める様に頑張りますね!!それと、お答え頂きありがとうございました!!」
ザマス「用が済んだのなら、さっさと戻れ」
シェイニー「はい!!お手合わせありがとうございました!!」
女はそのまま人間共の方へと戻った。…その代わりにあの男が此方を睨み付けながら向かって来る。
ザマス(見ているだけで不快になる目だな。早く消してしまいたい程に…!)
私が考えていると、前から気配を感じ取った。顔を上げるとあの男が剣を片手に此方に向けようとしていた。
スクード「敵は何時も待ってくれるとは限らないぜ?罪人さん」
ザマス「チッ…!!!」




















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