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刻巡りて神と人は出会う [ゼノバース2世界観]

ミゼルside...,



ザマスとの修行が終わり夕暮れのコントン都を歩いていると、裏路地から複数人の気を感じ取った。
ミゼル(……さっきからずっとついて来てるけど、面倒事じゃなきゃいいけどな…)
タイムパトローラー一「おい!」
ミゼル「…ん?」
タイムパトローラー一「お前は何故あんなものに加担している?」
ミゼル「あんなものってなに?」
タイムパトローラーニ「しらばくれっるな‼」
僕はこのタイムパトローラー達の顔に見覚えがあった。記憶を転々と探っていると、ある事を思い出した。
ミゼル「ああ…思い出したよ。君達、時の界王神様に抗議していた奴らの一部だね?…となると、あんなものってのはザマスの事かい?」
タイムパトローラー三「やっと理解しましたか…。なら話は早いですね!ミゼル貴方は何故!超級クラスののタイムパトローラーでありながら、あんな大罪人に加担し、近づいているのですか⁈何か裏があるのですか?」
その言葉は僕の真理に問いかけている様な気がした。何でザマスと居るか…裏があるか……そんな事など等の昔に捨てた。今、僕の心にあるものは………。
ミゼル「無いよ」
タイムパトローラー三「無い⁉」
ミゼル「うん」
タイムパトローラー一「なら何故お前はあんなものに加担し近づいているんだ‼」
ミゼル「うーん…何でだろうねー。単純に興味を持ったからかな」
タイムパトローラー三「なっ⁈」
タイムパトローラーニ「興味を持ったぁ⁉本当にそれだけか!」
しつこいのは本当にイライラする。耳が煩くなる。
ミゼル「しつこいなぁ…!そうだよ。本当に只それだけ…」
タイムパトローラーニ「っ!このヤロウ‼」
男の殺気が高まった瞬間…僕は即座に距離を取り、相手に警告をする。
ミゼル「僕は争いが好きじゃ無いんだ。やるなら他所でやってくれ。それと此処では戦闘は禁止の筈だけど?」
タイムパトローラー三「そうでしたね。なら別の場所に移動しましょうか…」
ミゼル「…!」
長身の男がそう言い終わる頃には、僕はもう別の空間に移動していた。
ミゼル「…っ⁈」
タイムパトローラーニ「ここなら誰も邪魔しねぇな?…ホラ面貸せ!」
ガタイの良い男は僕の胸ぐらを掴み、威圧的な目で僕を見る。
ミゼル「!……僕を殴る気?」
タイムパトローラーニ「だったらどうする?」
案の定の答えだ。なら答えは一つだけ…。
ミゼル「はっ…!なら気が済むまで殴れば?」
タイムパトローラーニ「!このヤロウ‼」
それから僕はずっと男に殴られていた。痛みは感じなかった…。けれど、意識が少しずつ、少しずつ遠のいていくのは、感じ取れた。
ミゼル(ザマス…。君は、自分を…人間を…全てを…どう思っているのかな…。教えてよ。無知で愚かな僕に…さ)




どれくらい時間が経ったんだろう?流石に体のあちこちが痛くなってきた。前を見ると、あのタイムパトローラーが血のついた手で、他の者達と、会話をしているのが耳に入る。
タイムパトローラーニ「おい!こいつ殴られてばかりだぞ‼」
タイムパトローラー三「やり返さないとは愚かですねぇ。死を意味するというのに…!」
長身の男が言う言葉に僕は挑発を込めて言い返した。
ミゼル「…ぐっ!やり返したら…っ‼君達と同レベルになるからね!だからあえて言わなかったんだよ!」
タイムパトローラー一「チッ!ウルセェ口だな!縛り上げろ!」
思っていた事を言ったら、案の定尺に触ったのか、口に布を当て縛り上げてきた。
ミゼル「っ…⁉うぅうっ!」
タイムパトローラー三「悲鳴が聞こえなくなるのは残念ですが、致し方ありませんね…」
タイムパトローラーニ「にしてもコイツどうする気だよ?裏切り者にしても、超級クラスのパトローラーだぞ?時の界王神にでも嗅ぎつけられでもしたら…!」
タイムパトローラー一「安心しろ…。コイツはアイツを誘き寄せる為のエサだ。何かあったら、殺して魔界側に逃げればいい」
タイムパトローラー三「それもそうですね……」
魔界という言葉が鼓膜に響く。タイムパトローラーの中に魔界と面識がある者達が居る。そして、この言動の意味は……。
ミゼル(…まさか!タイムパトローラーの中に「内通者」が……!!!)
タイムパトローラーニ「噂をすればコイツを此方側に連れて来てから、随分と時間が経つがヤツは現れないな…。……なあ、もう要らないよな?コイツ」
タイムパトローラーニ「ああそれ俺等も思ってたー。もう捨てようぜ」
流石に危ないと思った時には一歩遅かった。僕の首筋には刃が近づいており、もう斬られる寸前の状態だ。
ミゼル「っ‼」
タイムパトローラー一「悪い時間みたいだ…。恨むなら来なかったアイツを恨むんだな」 
男がそう言った瞬間、僕の首から血が飛び散った。男はそれを確認すると僕を勢いよく床に投げつけた。
タイムパトローラーニ「死んだか⁉」
タイムパトローラー一「動脈は切った。どうせ生きてても、もうすぐ死ぬだろ」
タイムパトローラー三「ならさっさと逃げましょう。もう此方側に居る理由も無くなりましたし…」
タイムパトローラー一「そうだな。さっさと行くぜ……!がっ⁈」
男の一人が外に出た途端、男は壁に叩きつけられた。そして、外からよく知った気を感じた。
ミゼル「はは、は…。きみが来るなっ、んて…ね」
タイムパトローラーニ・三「…誰だ⁉」
ザマス「……」
タイムパトローラーニ「ザマス⁈」
突然のザマスの登場に一瞬で凍りつく男達。何故なら、普段も笑っていないザマスの目はいつもより負の感情に満ち溢れていたからだ。
タイムパトローラー三「何故お前が此処に‼」 
ザマス「……」
タイムパトローラーニ「まあ好都合だ!これででお前にやり返せるからなぁ‼」
男達は奮起し、同時にザマスに向かう。だが、ザマスは二人の攻撃を軽く受け流す。
タイムパトローラーニ・三「っ⁉」
ザマスは男を二人同時に片付けると、憎悪に満ちた目で重い口を開いた。
ザマス「虫ケラが…!神に話しかけるな!」
タイムパトローラー三「ひっ!」
最後の男を倒し、ザマスは一息つくと、僕にに声をかけた。
ザマス「……片付いたか。…人間、じっとしていろ。今回復をしてやる」
ミゼル「ザマス…。うっ!?」
ザマス「喋るな。傷が開く」
ミゼル「ごめん、ね…。出血が止まらなく…て、ね…。油断し、ちゃった。はは、は…!……がはっ!!」
ザマス「…っ?!」
吐血した血がザマスの頬に着く。その時、彼は少し戸惑ったかの様な表情を見せた。普段は硬い表情をしているザマスが、それ以外の表情をし、ほんの少しの優越感が僕を満たす。だが、それも…この時だけだ。僕が目を閉じたら、それは見れないだろうから…。
ミゼル「ザマ、ス。ちょっと…だけ、休憩させてもらう、ね……」
僕を呼ぶザマスの声を他所に、僕は意識を深い常闇の底に落とした。


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ザマスside……。


人間が死んだ…。あれ程忌々しく、忌み嫌った人間が一人目の前で死んだ。死んだ…筈なのに何故かあまり言葉が出ない。まるで、思考が止まったかの様だ。ふと人間の顔を見ても、何も変わらない…。それどころか、余計頭の思考回路が鈍くなる。
ザマス「………」
おかしい…。何時もなら、たかが人間が幾ら死んでも、どうとも思わない。なのに何故…体が重く、言うことを聞かない?何故、私の言うことを聞けぬのだ?
ザマス「何故…」
???「ザマス!ミゼルは?!!」
ザマス「っ?!」
後ろから声がし、咄嗟に振り返ると其処には。人間を見て私に安否を確認しようとしているハムの姿があった。
ザマス「ハムか…」
ハム「ザマス!ミゼルは……!!?」
ザマス「先程死んだ……」
ハム「……!!」
ザマス「ハム…。不本意だがトランクスを呼べ。そして告げろ。この虫ケラ共をさっさと連れて行けと…。私はこの人間の死体を救護室とやらに持っていく。一応、アイツが来るまで側に居てやるから、早く呼べ」
ハム「分かった…!……ザマス!!!」
ザマス「どうした?」
ハム「…大丈夫?」
ザマス「何を心配している?私は見ての通り、問題無い」
そう…何の問題も無いのだ。たかが人間の一人が死んだくらいで、他には何も問題は無い。寧ろ…人間が減って良いくらいだ。私は、それで良いんだ。私は流されるがままに、そう自分に言い聞かせる。これで良いのだと…。だが、ハムは気づく。今の私が気づかない事にまで…。
ハム「でも、顔色が酷いよ…」
ザマス「…………平気だ。じきに戻る」
ハム「ザマス……」
自身に対する少々の呆れと人間に対する怒りが己を満たし、そして包む。意地が悪く、吐き気がするくらい優しく…。再び、人間の顔を見ると、その死に顔は微かに笑っているかのように見える。
この人間は死ぬ時に何を思いこんな顔を出来たのだろうか…。私には理解が出来なかった。他の人間はそんな死に顔をしなかったのも理由にはある。
ザマス(なのにお前は何故その様な顔を出来る?何故……)
嫌な程疑問が浮かんでくる自身の頭に、キリッとした痛みを感じる。その時、私は察した…。自分がどれだけこの人間に毒されてしまっているかを…。おかしくなるくらいとち狂わせられているのかを…。ああ…自身に嫌気が刺す。
ザマス「やはり、人間などと関わるべきでは無かった…」


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