刻巡りて神と人は出会う [ゼノバース2世界観]
扉を開けて出てきたのは、紫色で長髪の人間の女だった。
ザマス「誰だ。貴様は?」
???「名乗らなくてごめんなさいね。アタシはヒィラ。このコントン都で救護を担当している者よ。ついでに貴方を見たのもアタシだから…!」
ミゼル「ヒィラ。口調をとんがらせちゃ駄目だよ」
ヒィラ「別にいいでしょ?「こんなヤツ」に対して敬語なんて使わなくても…」
人間の女の数々な無礼な行いにより、私の頭はとうとう限界を超え、体が言うことを聞かないくらい程の怒りと呼べる衝動に頭が侵食されていった。怒りという感情…それしか出てこない程に。
ザマス「!!貴様…!!神に向かって無礼な口調を!!」
ヒィラ「お気に触ったかしら?ごめんなさいね。アタシは貴方のことが大嫌いだから、こんな口調になっちゃうんですよ…」
私の怒りの火に油をさすかの如く、女は私を煽る。気が一箇所に込められるのを感じ取った時だ。横で見ていた。人間が女の静止に首を突っこむ。
ミゼル「ヒィラ!駄目だよ。変わらなきゃ……!!」
ヒィラ「アタシ達が変わっても、コイツが変わらなきゃ何の意味が無い。貴方も分かっているでしょ?ミゼル」
ミゼル「…でも、僕がもっと変わって、「全ての責任」を負わないと…」
そう言っていた人間の顔は今までに無い程に光が消えていた。いや、光等とうになかったのかもしれない。この人間の眼の真理はいつも笑ってなど……。
ハム「ミゼル…?」
ミゼル「ごめんね…!難しい話をしちゃって……!!」
ハム「いいんだよ。僕は深入りはしないから…!!」
ミゼル「ありがとう。…ザマスもごめんね。勝手に喋り出しちゃって…」
ザマス「………」
ヒィラ「ミゼル。行きましょう?此処に居ても、何も変わらない」
ミゼル「………うん。じゃあお先に失礼するね」
人間と女は部屋を出て行き、ハムと私だけが残った。残された部屋で私は巡らせる。「あの言葉」の意味と、人間の行動について…。色々な考えを頭で巡らせ、全ての憶測を立てる。
「全て」という言葉の意味と、魔界の者達の行動。それが意味をするもの…それはつまり。
ザマス(人間。お前は…何者なのだ)
ミゼル「珍しいね?何か用事でもあるのかな…?」
あの後ハムと別れ、救護室と呼ばれる場所を出ると、私は立てられた疑問を解消しようと、あの丘に向かっていた。やはり其処には、人間が居座っていた。何時も間抜けな顔で私を見てくるこの人間の真理は何なのか、何者なのか…。その疑問を隠しきれない。心身がそう騒ぎ出して言うことを聞きそうに無い。人間は…この人間は……。
ザマス「貴様、一体何者なのだ?」
問いを投げると、人間は苦い顔をする。が、少し間を開けると、重い口調で内を喋り出す。
ミゼル「……世間的には君と同じ、「罪人」だよ。まあ最も…僕は「大罪人」だけどね」
ザマス「大罪人だと…?」
ミゼル「うん。…このお話の先は、僕が話せる時になったら話す。それでいいかい?」
また笑っているようで笑って等いないそんな眼だ。暗く、澱み、沈んだ…そんな眼をしている。それを見て私は一瞬で分かった。これ以上は無駄だ…だと。まだ時では無いと…。
ザマス「構わんが、必ず聞かせろよ?」
ミゼル「いいよ。どの道、話すだろうから…」
眼と顔を伏せ、私を見ようとしない人間に私は言葉を失いかけた。だが、唯一かけられた素朴な言葉があった。何でも使える都合の良い言葉が……。
ザマス「…そうか」
ミゼル「嫌になった?」
その問いに私は呆れかえる。まず、昨日の一件で私が魔界の者達に狙われたのはほぼ確実と言うべきだろう。そんな所で私が師弟関係を破棄した事で何も変わる事は何も無い。この問いを断れる理由はもう私には無いのだから。
ザマス「今更だろう…。そのような事など」
ミゼル「そうだね。…ありがとう、ザマス」
ザマス「……」
ミゼル「今日は何するの?」
ザマス「別に予定は無いな」
ミゼル「じゃあさ、僕の気分転換に付き合ってくれないかい?」
ザマス「そんなものに付き合う必要はない…」
ミゼル「まあ、そうだろうね。でもさ、こういう時だからこそと、君は思わないかい?」
ザマス「知らん…」
ミゼル「少しなら良いでしょ?付き合ってくれても…」
ザマス「好きにしろ…」
そう答えると、人間は喜んだ様に飛び起き、輝いた眼で辺りを見つめる。その眼には光が戻っているかの様に…私は見えた。
ミゼル「ありがとう…!じゃ!行こうか…!!」
ザマス「何処にだ?」
ミゼル「うーんとね…。修行しに行こう!」
ザマス「……大して何時もと変わらんな」
ミゼル「それを言うのはナシだよ…!とりあえず、修行しに行こうよ!!」
ザマス「不本意だが、致し方あるまいな」
ミゼル「ありがとう…!」
この人間と居ると、調子が狂いそうになる。今ですらこの状態なのに、さらに先を考えると頭が痛くなる。
ザマス(私はこの先、何処までこの人間に毒されていくのだろうか……)
ミゼル「ああぁあーーーっ!!難し過ぎだよ!!この課題!!」
修行場に着くと、この人間に私の技の一つである「神烈振矢」を指定付きで教えていた。前回はまあまあ良かった飲み込みも、今は指定の攻撃を繋げるのに手一杯という所だ。全く…あの余裕は何処に行ったのやら……。
ザマス「この程度では、神の礎には成れなんぞ?」
ミゼル「分かってるよ!!」
その後、人間の技の習得は成功し、試練は終わり、修行場からコントン都に戻ると、人間は空に向かって手を伸ばし、歓声の叫び声をあげる。
ミゼル「うぅう…!!やっと終わったー!!体のあちこちが少し痛いよー…!!」
ザマス「これくらいで根を上げてどうするのだ。現実の戦闘はより過酷なのだぞ?」
ミゼル「知ってるよ…!僕も超級クラスの者だし、タイムパトロール歴も長い方だからね!」
この人間からはおかしい点が次々出てくる。今もそうだ。噂によると、コントン都のタイムパトローラーとやらの中でも一番上位に入る超級クラス…。しかし、その割には弱すぎる人間。私はある違和感に気がつく。再び呼び覚まされたその疑問は、人間にまた…ぶつけられた。
ザマス「人間…。貴様は何故、力を抑えているのだ…?」
ミゼル「…何が根拠でそう思うのかな?」
ザマス「根拠も何も無いだろう。それはお前自身が一番知っているだろうからな」
ミゼル「………流石だね。やっぱり君には基本、隠し事は通じないようだ…。力を抑えている理由は単純に言うと、「抑制」だよ…。僕さ‥力が強すぎて制御出来ない時が多いんだ。だから、極力余計な戦闘はしたくないし、感情にもあまり触れたくないんだ。ザマス、僕は君が正直に言って羨ましい所があるんだ」
ザマス「羨むだと……?」
ミゼル「うん。ザマス…君は自分が大好きだよね?其処が本当に羨ましくてしょうがないよ。僕は自分が「大嫌い」だから……」
一番信用出来る筈の自身が一番嫌い……。それは私の考えには無い事だ。やはり、この人間には…何かある。そう確信した。だが、それを隠すかのように私の口は素っ気なく言葉を返した。
ザマス「………そうか」
ミゼル「うん。…ごめんね。こんな話しちゃって…」
ザマス「気にする程では無い」
ミゼル「うん。…じゃあ今日もありがとうね。また明日」
人間の姿が見えなくなったのを確認した後、私はどっしりとしていた体が一気に軽くなるのを感じた。それ程あの人間と居る事により疲労が増したのだろう。だが、今回分かった事もある。まず…やはりあの人間は何かあるという事だ。「このまま事が進めば何かに使えるやもしれん」…と、一方が言う。しかし、もう片方はこう囁く…「真実を…全てを見たいか?」…と。……おかしい。あの人間は私を此処まで毒している。やはりあの人間と関わるものでは無かった。そうすれば…私がここまで毒される事等。
ザマス「全く!!何なのだ…!!あの人間は!」
何かを知っているであろう空に私は思いを投げ捨てた。
ザマス「誰だ。貴様は?」
???「名乗らなくてごめんなさいね。アタシはヒィラ。このコントン都で救護を担当している者よ。ついでに貴方を見たのもアタシだから…!」
ミゼル「ヒィラ。口調をとんがらせちゃ駄目だよ」
ヒィラ「別にいいでしょ?「こんなヤツ」に対して敬語なんて使わなくても…」
人間の女の数々な無礼な行いにより、私の頭はとうとう限界を超え、体が言うことを聞かないくらい程の怒りと呼べる衝動に頭が侵食されていった。怒りという感情…それしか出てこない程に。
ザマス「!!貴様…!!神に向かって無礼な口調を!!」
ヒィラ「お気に触ったかしら?ごめんなさいね。アタシは貴方のことが大嫌いだから、こんな口調になっちゃうんですよ…」
私の怒りの火に油をさすかの如く、女は私を煽る。気が一箇所に込められるのを感じ取った時だ。横で見ていた。人間が女の静止に首を突っこむ。
ミゼル「ヒィラ!駄目だよ。変わらなきゃ……!!」
ヒィラ「アタシ達が変わっても、コイツが変わらなきゃ何の意味が無い。貴方も分かっているでしょ?ミゼル」
ミゼル「…でも、僕がもっと変わって、「全ての責任」を負わないと…」
そう言っていた人間の顔は今までに無い程に光が消えていた。いや、光等とうになかったのかもしれない。この人間の眼の真理はいつも笑ってなど……。
ハム「ミゼル…?」
ミゼル「ごめんね…!難しい話をしちゃって……!!」
ハム「いいんだよ。僕は深入りはしないから…!!」
ミゼル「ありがとう。…ザマスもごめんね。勝手に喋り出しちゃって…」
ザマス「………」
ヒィラ「ミゼル。行きましょう?此処に居ても、何も変わらない」
ミゼル「………うん。じゃあお先に失礼するね」
人間と女は部屋を出て行き、ハムと私だけが残った。残された部屋で私は巡らせる。「あの言葉」の意味と、人間の行動について…。色々な考えを頭で巡らせ、全ての憶測を立てる。
「全て」という言葉の意味と、魔界の者達の行動。それが意味をするもの…それはつまり。
ザマス(人間。お前は…何者なのだ)
ミゼル「珍しいね?何か用事でもあるのかな…?」
あの後ハムと別れ、救護室と呼ばれる場所を出ると、私は立てられた疑問を解消しようと、あの丘に向かっていた。やはり其処には、人間が居座っていた。何時も間抜けな顔で私を見てくるこの人間の真理は何なのか、何者なのか…。その疑問を隠しきれない。心身がそう騒ぎ出して言うことを聞きそうに無い。人間は…この人間は……。
ザマス「貴様、一体何者なのだ?」
問いを投げると、人間は苦い顔をする。が、少し間を開けると、重い口調で内を喋り出す。
ミゼル「……世間的には君と同じ、「罪人」だよ。まあ最も…僕は「大罪人」だけどね」
ザマス「大罪人だと…?」
ミゼル「うん。…このお話の先は、僕が話せる時になったら話す。それでいいかい?」
また笑っているようで笑って等いないそんな眼だ。暗く、澱み、沈んだ…そんな眼をしている。それを見て私は一瞬で分かった。これ以上は無駄だ…だと。まだ時では無いと…。
ザマス「構わんが、必ず聞かせろよ?」
ミゼル「いいよ。どの道、話すだろうから…」
眼と顔を伏せ、私を見ようとしない人間に私は言葉を失いかけた。だが、唯一かけられた素朴な言葉があった。何でも使える都合の良い言葉が……。
ザマス「…そうか」
ミゼル「嫌になった?」
その問いに私は呆れかえる。まず、昨日の一件で私が魔界の者達に狙われたのはほぼ確実と言うべきだろう。そんな所で私が師弟関係を破棄した事で何も変わる事は何も無い。この問いを断れる理由はもう私には無いのだから。
ザマス「今更だろう…。そのような事など」
ミゼル「そうだね。…ありがとう、ザマス」
ザマス「……」
ミゼル「今日は何するの?」
ザマス「別に予定は無いな」
ミゼル「じゃあさ、僕の気分転換に付き合ってくれないかい?」
ザマス「そんなものに付き合う必要はない…」
ミゼル「まあ、そうだろうね。でもさ、こういう時だからこそと、君は思わないかい?」
ザマス「知らん…」
ミゼル「少しなら良いでしょ?付き合ってくれても…」
ザマス「好きにしろ…」
そう答えると、人間は喜んだ様に飛び起き、輝いた眼で辺りを見つめる。その眼には光が戻っているかの様に…私は見えた。
ミゼル「ありがとう…!じゃ!行こうか…!!」
ザマス「何処にだ?」
ミゼル「うーんとね…。修行しに行こう!」
ザマス「……大して何時もと変わらんな」
ミゼル「それを言うのはナシだよ…!とりあえず、修行しに行こうよ!!」
ザマス「不本意だが、致し方あるまいな」
ミゼル「ありがとう…!」
この人間と居ると、調子が狂いそうになる。今ですらこの状態なのに、さらに先を考えると頭が痛くなる。
ザマス(私はこの先、何処までこの人間に毒されていくのだろうか……)
ミゼル「ああぁあーーーっ!!難し過ぎだよ!!この課題!!」
修行場に着くと、この人間に私の技の一つである「神烈振矢」を指定付きで教えていた。前回はまあまあ良かった飲み込みも、今は指定の攻撃を繋げるのに手一杯という所だ。全く…あの余裕は何処に行ったのやら……。
ザマス「この程度では、神の礎には成れなんぞ?」
ミゼル「分かってるよ!!」
その後、人間の技の習得は成功し、試練は終わり、修行場からコントン都に戻ると、人間は空に向かって手を伸ばし、歓声の叫び声をあげる。
ミゼル「うぅう…!!やっと終わったー!!体のあちこちが少し痛いよー…!!」
ザマス「これくらいで根を上げてどうするのだ。現実の戦闘はより過酷なのだぞ?」
ミゼル「知ってるよ…!僕も超級クラスの者だし、タイムパトロール歴も長い方だからね!」
この人間からはおかしい点が次々出てくる。今もそうだ。噂によると、コントン都のタイムパトローラーとやらの中でも一番上位に入る超級クラス…。しかし、その割には弱すぎる人間。私はある違和感に気がつく。再び呼び覚まされたその疑問は、人間にまた…ぶつけられた。
ザマス「人間…。貴様は何故、力を抑えているのだ…?」
ミゼル「…何が根拠でそう思うのかな?」
ザマス「根拠も何も無いだろう。それはお前自身が一番知っているだろうからな」
ミゼル「………流石だね。やっぱり君には基本、隠し事は通じないようだ…。力を抑えている理由は単純に言うと、「抑制」だよ…。僕さ‥力が強すぎて制御出来ない時が多いんだ。だから、極力余計な戦闘はしたくないし、感情にもあまり触れたくないんだ。ザマス、僕は君が正直に言って羨ましい所があるんだ」
ザマス「羨むだと……?」
ミゼル「うん。ザマス…君は自分が大好きだよね?其処が本当に羨ましくてしょうがないよ。僕は自分が「大嫌い」だから……」
一番信用出来る筈の自身が一番嫌い……。それは私の考えには無い事だ。やはり、この人間には…何かある。そう確信した。だが、それを隠すかのように私の口は素っ気なく言葉を返した。
ザマス「………そうか」
ミゼル「うん。…ごめんね。こんな話しちゃって…」
ザマス「気にする程では無い」
ミゼル「うん。…じゃあ今日もありがとうね。また明日」
人間の姿が見えなくなったのを確認した後、私はどっしりとしていた体が一気に軽くなるのを感じた。それ程あの人間と居る事により疲労が増したのだろう。だが、今回分かった事もある。まず…やはりあの人間は何かあるという事だ。「このまま事が進めば何かに使えるやもしれん」…と、一方が言う。しかし、もう片方はこう囁く…「真実を…全てを見たいか?」…と。……おかしい。あの人間は私を此処まで毒している。やはりあの人間と関わるものでは無かった。そうすれば…私がここまで毒される事等。
ザマス「全く!!何なのだ…!!あの人間は!」
何かを知っているであろう空に私は思いを投げ捨てた。