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刻巡りて神と人は出会う [ゼノバース2世界観]

時の裂け目の外に出て、まず見えるのはタイムパとローラー達の視線だ。全員がある一点を見ていた。そう...今僕の腕の中で瀕死状態になっているザマスの姿をだ。一部には目が笑ってるかのようにも見える者達まで居る。
瀕死状態にまでなっているのに、何故其処まで笑えるのか...。答えは簡単。憎しみや、怒りといった負の感情に心身を蝕まれているからだ。だが同時に、その者達の姿に過去の自分を重ねてしまう。そんな自分も居た。
ミゼル(嫌いだ。過去の自分が、呪われた力を持った自分が...。どうすれば楽になれる?どうすれば認められる?どうすれば...!!)
負の感情に身を任せ、意識が遠ざかろうとしたその時だった。よく知っている彼女の声が聞こえ、僕に休息を与える。
ミゼル「ヒィ...ラ?」
ヒィラ「大丈夫ミゼル?」
ミゼル「僕は平気だよ。それよりザマスを...」
ヒィラ「......気が引けるけど、仕方ないわね。ミゼル、悪いけど、救護室まで連れてきて貰えるかしら?」
ミゼル「ありがとう..ヒィラ。....ごめんね。毎度負担ばかり掛けちゃって......」
申し訳なく言うと、ヒィラは返す。
ヒィラ「いいの。貴方は貴方が出来る事をして、私は私が出来る事をしないする。だから、お礼は要らないの」
ミゼル「ありがとう。じゃあ救護室まで行こうか」
僕とヒィラは救護室まで飛び、ザマスを手当てをし、容体を見た。
ヒィラ「......。状態はまあまあね。気が不足してるだけよ。傷は気が戻れば、不死の力で自然治癒するだろうから、大丈夫でしょうね」
ミゼル「分かった」
ヒィラ「ミゼル。アタシは行くわね」
ミゼル「うん。ありがとう」
ヒィラが部屋を出て行くと、僕は一人、意識が無くベッドに横になってるザマスに一人話し掛ける。
ミゼル「僕が君に向けるこの感情は何なのだろう....。まだ負の感情から、脱していられないだけなのかな」
頭で考える程、心身が重くなり痛くなる。分からない...。只々分からない。何故僕が居るのか?居ていいのか?認めて良いのか?好きになって良いのか?これが..苦と言うのだろうか、それとも罰なのか。
ミゼル「ザマス...僕は」
寝ているザマスに救いを求める様に手を伸ばす。だが、それは返ってこない。もちろん、寝ているからでは無い。
ミゼル「無駄..だよね」
そう呟くと、また僕は全てを忘れようと夢の中に逃げ込んだ。





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ザマスside...。


温かなだが、少し冷ややかな温もりを感じる。その時だった。あの人間が私に触れたのは...。
真横で何か煩わしい音がし、沈んでいた私の意識は徐々に覚醒していく。目を開けてまず目に入るのは、見慣れない天井。そして......。
ザマス「此処..は?....!人間」
相変わらず煩い轟音に耐えられない私は、なりふり構わず人間を叩き起こす。
ミゼル「んっ...。兄さ、ん?」
ザマス「は?何を言ってるのだ。貴様は」
人間は私の姿を確認すると、落胆したかのように体を崩れ落とし、再びベッドの節に沈む。
ミゼル「あー..。ザマスか..おはよう。体調は大丈夫?」
ザマス「まあまあだな」
ミゼル「そうか...良かったよ」
何処か笑っていない人間の顔に私は苛立ちを覚える。大体この人間はいつもそうだ。表情は笑ってる様に見せかけ、真理は笑ってなどいない。嘲笑うのも良い所だ。その苛立ちを隠さずに私は人間に伝えた。
ザマス「どうだかな」
ハム「ザマスっ!!」
急に扉を破り突っ込んでくるハムに私は戸惑う。
ザマス「ハム!...わっ!?ど、どうしたのだ?!!」
顔を見るとハムの目の淵からは大粒の涙が溢れ出ていた。目元は赤く腫れ上がり、声は震え、立っていられるのも必死そうだ。
ハム「ザマス!無事で良かったっ!!意識が無いって聞いて、僕..凄く怖かったんだよ!ザマスっ!!ザマスーっ!!...うっ..あっあ!!!」
幼子故の恐怖か、それとも私が消えるという事に対する恐怖なのか..何方かは分からない。だが、一つ伝えるべき事がある。
ザマス「......ハム、私は大丈夫だ。今は不死の力も働いている。これなら攻撃を受けても自然治癒出来る。だから、お前は心配するな」
出来るだけ優しく、安心出来る様にと声色に思いを込める。すると、ハムは泣きじゃくりながらも答えた。
ハム「うんっ!でも、無理はしないでね!...ミゼルもありがとう!!君が居なかったら、ザマスはっ..!!」
ミゼル「気にしないで良いんだよ。僕は当然の事をしただけだからさ。まだ不安が残ってたら、ザマスのとこ行って思いっきり安心して来て、温もりを感じて来てみて」
ザマス「っ?!人間!貴様勝手に...!!」
ハム「ザマス。ダメかな?」
溢れる様な目で私を見つめるハム。人間の言った事をやるのは気に食わないが友に、これ以上辛そうな顔をさせたくは無いと、私は人間の意見を飲み込んだ。
ザマス「....構わん来い」
ハム「!!..ありがとうザマス!!」
私の腕の中に入り頭を擦り付け、落ち着こうとする友に、私は背中を摩り安心感を与える事で返そうとした。その時、ふと視線を感じた。その方向を見ると、人間と目が合う。目も合わせたくも無かったが、これも致し方無いと、再び真意を飲み込む。
ザマス「人間。一言も言いたくは無いが礼は言わせて貰う。すまなかったな」
ミゼル「君達は気にしなくていいんだよ。全て...僕が悪いから」
珍しく顔を合わせない人間の行動と、「全て」という言葉に引っかかりを感じた。奴らの事全て人間に非がある。その言葉が意味するのは、つまり.....。
ザマス「....人間、それは.......」
???「それ以上は辞めなさい」









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