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「マジでヤバいだろ。シャレになんねぇよ」
「俺は関係ねぇだろ。てか、人の色恋なんて口出すとヤケドすんぞ?」
「まあ、そうだけどさ。アイツら、ガチじゃん」
「だから何なんだよ?」
「いつかトラブルになりそうでさ。ほら……」
「大丈夫だろ。あの子は下手なことしないよ」
「だといいけどな……」
「様子を見るしかないだろ。俺たちにできることなんてねぇよ」
下から届く重低音の隙間で、誰かがそんな会話を交わしている。
それを他人事のように聞き流していた、次の瞬間だった。
━━━━━━
「好きだ」
不意に落とされた低い声。
……なにが?聞こえた声と言葉が理解できない。
「バカが。俺が、お前に好きっつって悪いか?」
「……また、冗談ばかり言って。もう少しジョークのセンス磨いた方がいいんじゃない?」
「あ? 聞こえなかったのか。好きだ。お前が好きだ、 カズサ」
「ちょっ……! リヴァイ、ここ、店……っ!」
「少し黙れ。 カズサ、俺は本気だ。だから……」
泣きそうだった。だけど私は、必死で笑って茶化し、彼の熱を躱そうとする。
全部冗談にしてしまえば傷つかずに済む。だから、もういいから……。
リヴァイのキスは、いつだって私の理性を灼き尽くすほど熱い。
けれど、このディスコの店内でこんな風に感情を剥き出しにされたことなんて、今まで一度もなかった。
今になって、どうして? ただの気の迷い? ねぇ……信じていいの?
言葉が出てこない。なんで? リヴァイが私を「好きだ」と言ってくれているのに。私もこんなにリヴァイのことが大好きなのに。どうして私は、笑って誤魔化すことしかできないの?
「 カズサ……」
落とされた照明の影が、二階の薄暗がりで私たちを隠してくれる。
角度を変え、深く、深く繰り返されるキス。
私を抱きしめる彼の腕に、痛いほどの力が入る。
「 カズサ……」
切なそうに、私の名前を何度も呼ぶリヴァイ。
そろそろと緩んだ片手が、私の顔の輪郭を愛おしそうになぞっていく。
「ここ、店の中だって……っ」
「 カズサ」
本当に嫌なら、突き飛ばせばいい。
本当に嫌なら、大声を出して誰かを呼べばいい。
……溺れたい。リヴァイのキスに、腕に、温かい胸の中に。
でも、どうしてこんなに焦っているの?
一体何が、あなたをそんなに追い立てているの?
性急で、まるで別人のようなリヴァイ。
私はどこへも逃げたりしないのに。抵抗なんてしないのに。
一体、あなたは何にそんなに怯えているの——?
恐ろしくて、リヴァイの目が見られない。
私は落ちていく。暗闇の底へ、リヴァイの中に。
ただ流されていく。彼が差し出す、激しい熱の中に。