リヴァイと私と時々、変人
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「うっわ、寒っ」
暖房のきいた家から外へ出ればキンと冷えた空気がカズサは体を縮こませながら手袋を擦り合わせる。
「なんでこんな寒いんだか」
「寒気だろ、あと季節は冬だ」
「そのくらい知ってるし。あれ、リヴァイも今から?」
進学のため上京したリヴァイが我が家に住むようになって同じ屋根の下で暮らしている
親戚のリヴァイは大学は違うが同じ歳だからか仲は良い方だ。
ただ文句はある。
この男、なにかと人を子供扱いする。
生まれも育ちもここ、地元なのに迷子になるな。とか遅くなるときは迎えに来たりする。
かなりの世話焼きだと日頃から感じる。
「もうテスト終わったならさ、翌日から冬休みってならないのが納得いかない。休みも短いのも嫌だ」
「お前は小学生か」
駅までの道を並んで歩きながら小さな愚痴を口に出して呆れられた。
幼馴染からは二人ってボケとツッコミだよね。と言われるがそんなはずない。
私は言うほどボケっとしてるわけない。でも何気なく言ったことで周りが吹き出してしまう事はよくある。
どうしてか、何がおかしいのかを聞いてもニヤリと笑うだけで誰も理由は教えてくれない。
(あーもう。寒いなあ)
少しでも暖かい屋内へ行きたくて自然と早足になるけど、もともと早足のリヴァイとそんなに速度は変わらない。
「ぶつくさ言っても仕方ないだろう」
「はいはい、私が悪かったですー」
ふてくされる自分を内心、子供だなー。と思いつつ、いつも余裕のあるリヴァイが大人ぽくって羨ましく思う。
(人は人、自分は自分)
言い聞かせるように何度も頭の中で呪文のように繰り返す。
「ちゃんと前みろ、轢かれたいのか」
ぐいっと腕を引かれてリヴァイがいた歩道の内側くるりと寄せられる。
「あ、ありがと」
「気をつけろ」
結構こういう事はあって自然に行動できるリヴァイってモテるんじゃない?と思っているが女性に優しくしているリヴァイが想像出来なくて唸ってしまう。
「なに獣みたいな声だしてんだよ、気持ち悪りぃ」
そう。リヴァイは口が悪い。そして目つきも悪い。
初対面だとなかなか声をかけられないかも、しれない。
でもしばらく付き合ううちにリヴァイの良いところに気づけるはず。
そんなことを考えていると今度は転けそうになって、リヴァイにお叱りを頂くのも毎朝のこと。
駅の構内に入るとさっきまでの冷たさから熱くなってくる。
「じゃあな。気をつけて行ってこい」
「大丈夫だって。リヴァイもいい一日を!」
変な朝の挨拶。と居合わせた友人に言われたこともあるが、嫌な一日より良い一日がいいじゃない。
大学の最寄り駅から20分ほど歩いて学部構内の道をショートカットで進めば同じ講座を取っている同級生におはっよーと挨拶しながら今日の実験は面倒いね、なんて話しているうちに教室につく。
実験は無事終了。
医学部でもないのに白衣を着ていると気分だけは医学生でついつい颯爽と歩いて白衣をヒラヒラと靡かせたくなる。
「ちょ、ちょっとわかったから妙な歩き方はやめなさい」
「だめ?頭良さそうに見えたりしない?」
ブッっと友人が笑い、お昼時のざわざわしている食堂で席を確保する。
「そういえばクリスマス・イブに寂しんぼで楽しめ!って集まりがあるのよ」
「なに、その悲しみがにじみ出ててる集まりって」
「だから恋人も付き合ってくれる友人のいないボッチのボッチによるボッチ達のせめてもの抵抗なんだって」
「えー。余計にさみしくなりそうな……」
「だから!悲しいから一時の楽しみくらい欲しいじゃない!ちなみにカズサは参加だから!拒否できないんだからねっ」
正直、淋しく過ごしていない。
クリスマスイブはどうでもいい。
それよりも25日のほうが大事な日。
クリスマスイベントよりもずっと、ずっと大事な日。
「あのさ 」
「カズサ!カズサだってクリスマス・イブを一緒に過ごす人はいないでしょ、こんな時くらいは騒いでなきゃやってらんない!!」
目の前の友人は確か遠距離恋愛の彼氏と別れて今はフリー。
ヤケになってる気がしないでもないけど力説するほどクリスマスっていいものだろうか?
「私はイブとかクリスマスとかイベント事は苦手だし、25日はリヴァ─ 」
「ちょっと!そうやって毎年親戚の誕生日祝うために予定いれないっておかしいって。彼氏かなんかなの?」
「そうじゃないけど。一年に一度のお祝いだから」
「わかった、わかったから。お願い!イブ開催だから!一人にしないでー、今年はとても寂しいんだってば〜!」
体を乗り出してくる友人の勢いに負けて少しだけと渋々、参加することにした。
(まあ、イブだし。すぐ帰って準備したら間に合う)
そんな呑気な考えが間違いだったとわかるのはイブ当日だった。
────
「カズサ。確かお前んとこの大学は23日から休みだよな」
「そう!やっと休み!」
外なのも忘れて両手を上に突き上げると後頭部をパシリっと叩かれる。
「暴力反対。断固反対!」
「馬鹿か。外で恥ずかしい真似すんな」
誤魔化そうとリヴァイにニカっと笑う。
「ガキか。カズサ──いや、いい」
「なに〜気になるから最後まで言ってってば」
「うるさい。少しは落ち着きのある人間になれ」
いつもと同じやり取りなのに珍しく口ごもるリヴァイに違和感も感じたけど、言うべきことはちゃんと言うリヴァイだからあとで言ってくれると違和感を流した。
───
「カズサ、24日忘れてないよね。集合は19時、場所はこのお店だから遅れたりしないでよ。なんだったら迎えにいくよ」
「忘れてない、忘れてないから。そんな乗り出さなくていいから」
「ほんと?待ってるからね、信じてるからね?」
念には念を、の必死さに引き気味になりながらも出かける準備を終えるとバッタリ階下から部屋に戻るリヴァイと鉢合わせになった。
「なんだ。そのカッコは」
「ひどくない!?」
「どっか行くのか」
「うん、友達と出かける」
「──そうか。気をつけて行って来い」
「はいはーい。行ってきます!」
元気に返事をした私をリヴァイがずっと見送っているのも知らなかった。
(大丈夫だ──)
────
「寂しもんクラブかんぱーいい!」
乾杯の音頭を叫んでいるのも集まった人達も同じ大学なのに学部違いで知った顔が友人以外いない。
心細くて誘ってくれた友人の後ろに隠れるように時間が過ぎるのを待っていたけど自己紹介を済ませるとそれぞれ好きな席に座っている。
「カズサちゃんだっけ?」
「はい、あのー」
「さっき自己紹介したばっかなのに俺は──」
ペラペラと話し始める彼や、周りを見ていると寂みしい会って言ってたけど、そんなことはないのでは?むしろリア充の集まりでは?友人を目で探すと楽しそうにはしゃいでいる。
水を差したくなくて周りの雰囲気に合わせても早く時間が過ぎないかなあ、と腕時計を何度も確認した。
────
「よーっし!次行くぞ!」
オオッっとやけに明るい一同からさり気なくフェードアウト。友人にはお手洗いで打合せ済。
みんなから距離をおくようにソロリ反対側を向くとさっき話していた男の人がニコリと笑っている。
「次は行かないの?じゃあさ、いい景色知ってるから抜けよ」
「これから予定があるので、ごめんなさい。帰りますね」
「近くなんだ、少しでいいから──」
困ったなと視線を逸らすと向かいから男女が近づいてくる。
女の人の隣は男の人──リヴァイに笑いかけていて……
立ち尽くしているとリヴァイが気付いたのか目を見開いて隣の女性に何か言った。
「──なにしてる」
低く抑揚のない声が聞こえる。
「は?何、あんた」
「カズサ、来い。テメエは消えろ」
何もいえないまま腕を強くつかまれてタタラを踏むのも構わず、強引に連れて行かれる。
さっきの彼(名前は忘れた)の声はもう聞こえない。
「説明しろ」
「せ、つめい?」
聞いたことのないリヴァイの低音の声と圧で言っている意味はわかるけどなにを言えばいいのかまったくわからない。
「チッ」
そのままタクシーに乗せられ押し込めるとリヴァイが知らない場所を告げるとタクシーはスーと動き出す。
車内はシンと沈黙で満たされ、流れる景色の歩道の木のイルミネーションが暗く感じる。
(怒って、る?なんで?)
しばらくすると近場の植物園が見えてリヴァイが財布からお金を出しお釣りも受け取らず園内へと進む。
いつもなら太陽の光のなか、葉を広げる緑の木々は夜の暗さに負けない色とりどりの光で飾られている。
「寒いか?」
正直に言えば冷たい空気は苦手だけど、その冷たさも光るイルミネーションを引き立てている。
「うん、寒い」
腕から離れていたリヴァイの手がそっと私の手をつなぐ。
手袋越しのぬくもりがじんわりと伝わってくる。
「まだ、寒いか?」
「もう大丈夫」
「そうか」
「うん」
今までと違う距離感はむず痒くてどうやって会話していたか、いつもはどうしていたんだろうと一人思い耽っているとギュっとさっきよりも強く手を握られ、リヴァイの声に気づいた。
「カズサ、あの男が友達か。あいつと、どこに行こうとした?」
あいつ、って?だれ?
「聞こえてんだろ。答えろ」
リヴァイの目が怖くて、でもリヴァイから目をそらせない。
「出先だから待ってやりたいし、もっと言うならこんな風に聞くことでもないが…俺は気が短い」
「……どんな人か知らない。友達から誘われた集まりにいた人のひとりで 」
聞かれていることに答えているはずなのに不機嫌な舌打ちが聞こえる。
「ねえ、リヴァイがなんで怒ってるのか、わからないけど」
「……俺は怒ってない、今はいい」
さっきまでと違って優しく道を誘導し光で彩られた道をほのかな温もりを感じながら静かに歩いていく。
不思議な気持ちだった。友達でもない、親戚。でも気を使わずにそばにいても疲れない。何よりも
「なあ、カズサ。あの時の男も含めてだが、好みのやつはいたか?」
リヴァイの声がいつもと違う。
多分。ここで。何かが変わる。
「いなかったよ。そもそも頭数みたいな感じだし」
「──向こうに行くぞ」
リヴァイの指す先は明かりは少ないけどベンチがあるのが見えた。
繋いだ手はいつの間にか絡んで、この手袋がなければ直接な温度がある。
そのままベンチに座ろうとする私を止めてハンカチを広げてから座らせた。
お礼を言えば無言が続く。それが緊張を強めリヴァイの顔を見れない。
「……だ」
「え?」
ふわり。覚えのある柑橘系の香りが私を包む。
「悪い。こんな風に伝えるつもりはなかった。カズサ、先に言っておく。済まない」
香りとともに温かさが伝わる。
今リヴァイが一番そばにいる。
「いいか。カズサ、しっかり聞いてくれ」
その言葉が心臓を早く動かす。
「俺は、カズサが好きだ。だから、嫉妬した。カズサといるあの男にただ嫉妬したんだ」
「リヴァイこそ……彼女」
「違う。あいつは買い物にだな、その、付き合ってもらっただけで」
「置いてけぼりにしちゃったよ」
「そこかよ。買い物帰りに茶を奢る、奢らないで歩いてただけだ。あとで謝っておく」
「はやく謝ったほうがいいよ。あとだと謝りにくくなるから」
嘘だ。私の前で話してみて欲しいだけ、本当か知りたいだけ。
「わかった、待ってろ。いま連絡する」
ポケットからスマホを取り出し、スピーカーにして通話する。
静かな園内に機械を通す音はやけに響く。
『はいはーい。ああ、それは別にいいから。え、マジ?話したいね!』
「さっきいたやつだ。カズサ、聞きたいこと聞け。足りないことは俺が話すから」
「あの、初めまし、て。カズサと言います」
『良かったー。私は同じ大学のナナバ。リヴァイ、あなたにプレゼントしたいけど、何をプレゼントしたらいかがわかんなくて最近すっごく苛立って仕方ないし、ウザったいし仕方なく女の子受けするお店紹介したんだ。そうだ。今度、私と遊ぼうよ。リヴァイ抜きでー』
「調子のんな。カズサをお前らに会わせたらカズサが汚れる」
『ばーか。それよりちゃんとしなよ。休み明けからアンタの湿った世界が終わった顔なんか見たくな、いや。見たいな。カズサちゃん!こいつのこと振って!そんで私と遊ー』
会話中なのにトンっと終了をタップしてナナバさんの声が途切れる。
「遊ばなくていい。あいつら俺もカズサもおもちゃにする気だ」
苦虫を噛み潰したような顔で面白くなさそうなリヴァイをじっと見つめると渋々といった感じで声を出した。
「カズサがいいなら。でも俺から離れるな、碌なことにならねえ」
コクコクと頷くとリヴァイは一言「わかった」と了承してくれた。
「それよりカズサ。俺はお前に振られるとひどいことになりそうなんだが、返事は聞かせてくれねえのか?答えは一択しかないがな」
ドクドク、胸の鼓動が早くなる。耳の後ろから規則的な脈にあわせて音が聞こえる。
「リヴァイ、ごめん 」
言い終わる前にギュっと息苦しくなる。
「ごめん、とか聞きたくねえ」
リヴァイの胸を両手で押してもビクともしない。
それでもモゾモゾ動いていると俯いたリヴァイが少しだけ隙間をあける。
「私、私もリヴァイがす─」
ブーブーブー
音にあわせて振動するスマホ。着信の名前を見て躊躇なく切るとすぐにスマホが動く。
「…いい加減にしろ、全員まとめて〆る」
『うっわ。怖っ、全然余裕なー』
すぐ赤色をタップすると電源を落とした。
おかげで力が抜けてクスクスと笑うとリヴァイの腕に優しく閉じ込められた。
「ちゃんと話きいて。リヴァイ。私、リヴァイが好きだよ。さっきは、なんかその色々とごめんなさい」
顔が見たくてリヴァイの胸から見上げるとリヴァイも私を見ている。
どんどんと視界がリヴァイでいっぱいになって唇が重なる。
少しカサついた唇がついばむように何度も触れる。
「やっと、言えた」
お互い微笑み、コツンと額をあてる。
「好き」「俺のほうが好きだ」
競うように気持ちを伝えて、照れ隠しでイルミネーションを見ようと動くと四阿からずっと上に月が煌めいている。
「ねぇ、リヴァイ。月も星もきれい」
「そうだな」
ふんわりとした時を噛み締めて──
「まって!いま何時!!!」
慌てて時計を確認すると25日になるまで時間がない。
用意していたプレゼントは家に置いてきた。
こんな時にどうしてと自分を恨みたくなる。
リヴァイから離れようとすると後ろから抱きつかれキスされる。
「離れるな」
「ごめん!今、プレゼント持ってない」
「少し、黙れ」
抱きしめる体がかすかに震えている。その体に強く腕を回し、肩に頭を乗せているリヴァイの耳元でささやく。
「誕生日、おめでとう。リヴァイ」
「──ありがとな、サンタなんか信じてないが、本当はいるかもしれないな。最高のプレゼントだ」
自然に顔が近づいて、もっとキスを繰り返すとリヴァイの唇はカサついてひんやりしていたけど何度も唇を交わすとカサつきはしっとりになった。
「帰る前に確認とお知らせだ。お前の家族は旅行中なのは知ってるな。つまり二人だけだ。あと、24日はそろそろ終わる」
慌てて時計を見ると25日まで一時間もない。
「早く帰ろう!リヴァイ!」
「慌てなくていいだろ」
「だってプレゼントは家に 」
「ここにある」
突然な発言に固まると「帰るか」聞いたこともない甘さを含んだ声にクラクラしているとリヴァイに強く抱きしめられた。
───それから───
リヴァイは最後まで嫌がったけど、今日はナナバさんと約束した日。嫌な態度をとったことも謝りたいし、私の知らないリヴァイを見てみたかったのも理由。
ナナバさんが大学でリヴァイと話せる数少ない友人を紹介すると張り切っているとリヴァイが話してくれた。
「いいか。一応、会わせるが絶対に俺から離れるな。あいつらの話しは半分くらいで聞けばいい、無理に合わせる必要はない」
捲したてるリヴァイが新鮮でカズサの期待は高まってワクワクしている。
「おーい、リヴァイ!こっち」
手を上げ、席を示すナナバさんが見えるとリヴァイは気が向かないとわかるスピードでテーブルに近づくと、何人か集まっていた。
「わあ、リヴァイの隣にいると美女と野獣感がハンパないな〜」
「ハンジ。そうなんでもかんでも口にしてはリヴァイが気の毒だろう」
「いっやー、今回セッティングするのレポートより手強かったよ。一旦、決めても後で都合悪くなった。とかわかりやすい嘘で逃げるし、ほんとにこんな男でいいの?今なら間に合うよ?」
「黙ってりゃ、ピーチクパーチクよく動く口だな。お前ら、外に出ろ」
ドスの効いたリヴァイの声にナナバさんをはじめに大げさなリアクションで怖がってみせる。
「とにかく席に座ったらどうだ。カズサさんも店員も困っているだろう」
一番にこやかにしている男性が着席を促すとやっと席についた。ナナバさんが自分のとなりをすすめてるのにリヴァイはカズサの肩を寄せて
自分の隣に座らせ、なにやら向かいのナナバさんを睨んでいる。
「えっと、とりあえず自己紹介からいこうか。私はナナバ。前に話したことあるよね。いっつも人相が悪いリヴァイと同じ学部だよ」
「私はエルヴィン、ナナバと同じくリヴァイと同じ学部だが先輩ということになる。しかし驚いたな、リヴァイにかわいい彼女ができるとは」
「おい、エルヴィン。そのよく回る口を縫ってやろうか」
「はーいはい。男どもはほっといて。私はハンジ、いつもリヴァイに虐げられてるかわいそうな生活をしてる。ねえカズサちゃん、あの凶暴なやつを大人しくするように躾けて欲しいんだ」
賑やかというか、クセがあるというか、なんというか─
「顔合わせは済んだな、よし帰るぞ」
飲み物を一口も飲まずにさっさと帰ろうと腰を浮かしたリヴァイを席についたまま見上げると片手で顔をおおいながらため息をついている。
「マジ?幻覚見てんのかな?」
「すでに手懐けてるってすごくないか?」
「ナナバ、ハンジ。あとが怖いならそこら辺でやめておけ」
思ってたよりもリヴァイが馴染んでいる様子に安心する反面、胸がチクチクして自分の心の狭さから知らず知らず俯いているとエルヴィンさんがフォローしてくれた。
「待て、いいか。カズサ。こいつら全員ロクでもない連中だが一番はエルヴィンだ。近づくな、声も聞くな、話すな」
ひどいな、と言いながらも爽やかな顔を崩さないエルヴィンさんを他のみんなもジトっとした目でみている。
それからはリヴァイをからかったり、私に話しかけるのをリヴァイが邪魔したり、初めて会うとは思えないくらいに打ち解けて止めるリヴァイをよそに電話番号、その他の連絡先を交換するとリヴァイはすぐ消せ、今すぐ。と普段と違う行動にその場の全員で笑ってはリヴァイが怒るといった具合で時間を忘れるくらい楽しかった。
「カズサちゃん、待ったねー」
「すぐ連絡するから、次はうるさい保護者抜きで遊ぼうね」
「今度はもっとおすすめの店で会おう」
次々と約束を取り付けるのをリヴァイが黙れとか、次はない。とか言い返しているけど了承の意味をこめ両手で○をつくると三人がニヤリとした。
────
「ひどいと思わない!?あいつカズサには優しいかもしれないけど他は──」
あれからハンジさんの愚痴をきいたり、ナナバさんからのお誘いを受けたりするたびリヴァイの機嫌が悪くなるけど止めようとはしない。
「あいつらと会う時は俺にも言え。それより重要なのはもっと俺を構え」
あの日から余裕あるリヴァイはたまに甘えるようなことを要求してくる。
ハンジさん始め、二人の時のリヴァイがどんな感じなのか、尋ねてくるけどこれは私とリヴァイの秘密。
「お前ら、いい加減にカズサにちょっかい出すのをやめろ。その分カズサと俺の時間がなくなっていることを分かれ」
「まーただよ。あのさあ、その独占欲をカズサは知ってんのかな」
「絶対隠してる。本性バレたらカズサもドン引きだろ」
「言いたいことはよくわかった」
「痛っー!!」
「待てって、落ち着け!」
「今、いいかな。実はリヴァ─」
私の前では見せないとこも三人から詳しく聞いているのは内緒。
────
「来年のいまごろは絶対に空けとけよ」
そんなことを何度も確認するリヴァイは今日も可愛くて格好いい。
「リヴァイがいいなら毎年、空けるし、それ以外の日だってリヴァイを優先するよ」
真っ赤な耳をしてるリヴァイの顔に近づいて啄むキスをした。
「カズサ、わかってんだろうな。煽った責任とれよ?」
逃げようとする私をリヴァイは捕まえて「逃がすわけないだろ」と笑った。
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