調査兵団 ver.
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寒さ厳しい冬は壁外調査は行われない。
理由はいろいろあるがそもそも機動力の馬の足をとられるのが一番の理由だ。
壁外で動きが取れないのは致命的で臭ぇ巨人の腹ん中へ直行することになる。
だから壁外調査のない冬は兵士達の束の間の心休まる季節だ。
だが、二月になると男も女もソワソワし始める。
誰が広めたのかわからんが二月の十四日はバレンタインデーとかいう行事らしくチョコレートを贈る日らしい。
その日が近づくにつれ兵士も兵舎内も浮かれた空気が漂う。
次の壁外で腑抜けたままでいないように普段の訓練内容よりも敢えてキツめに組んでいるんだが。
それでも食らいついて訓練に身をいれる兵士たちを褒めてやりたいところだ。
しかし疲れてそれどころじゃないはずなのに兵舎に戻れば、すぐ落ち着かない様子になる。
男は何個もらえるか、好いた女からもらえるか?
女はどんなものを贈れば喜ぶか?受け取ってもらえるか?とうるさくてしょうがない。
まあ別に悪いと思わない。娯楽の少ない兵士らにとっていいガス抜きになるんならそれでいい。
この日はエルヴィンや俺にもこのチョコレートがきれいに包まれて贈られる。
だがいつも一箇所にいる訳でもない俺たちの執務室前にそのチョコレートらしき箱が積んで置かれている。
食い物を廊下におくんじゃねぇと説教の一つもしたくなるが部下の気遣いを無下にするのも気が引ける。
翌日に細やかだが菓子と礼のカードを一枚添えて食堂の真ん中のテーブルにおいておく。喜んでいるかは知らん。
※※※
「おっと、今年もすごいねー!というか去年はあれだったけど今年はどうかなぁ」
ニタニタと気持ち悪ぃ顔のハンジが汚ねぇ格好でいちいち絡んでくるが無視に限る。
去年の結果は知ってるだろうが。スネを蹴って追いかけて来ないようにして執務室に籠もる。
さすがにチョコレートを渡すためだけに執務室の扉を叩くヤツは今のところいない。
すでに置かれたもんは片手に抱えて執務室に入り取り敢えず来客用のテーブルの上に乗せておく。
あまり好きではない行事が一日だけでよかった。何度もあるとたまったもんじゃねぇ。
あまり好きな仕事じゃねぇが未決済書類を片付けちまおう。
なんとなくテーブルの上に置いた箱を見て去年の苦い思いにため息が溢れる。
それなりの数の箱に大抵ついている贈り主のカードを一枚ずつ見ては肩を落とし、もはや無いことを確認しているんじゃないかと苦々しく思ったもんだ。
だが、あの山の中に今年こそはあるんじゃねえかと期待してしまう。
女々しいのは重々承知しているが、恐らく今年も去年と同じことをするんだろう。
__
____
同期の子たちとお金を出しあい、近くのお菓子店で買ってきて初めてチョコレートを食べた。
ワクワクしながら丁寧に包まれている小箱を宝物のようにソッと開いた。
出てきたのは黒いような茶色っぽい小粒が四個。
「え、黒い。これ食べ物?」
「高かったのに……ちっこい」
「でも香りはいい感じ」
「甘い香りー」
それぞれ初めてみるチョコレートに興奮しながら紅茶の用意もして恐る恐る口にした。
「うわっ!甘い!」
「フルーツと全然違うね」
「すぐ溶けちゃうんだね。少し後味が苦手かな」
「……」
一人はチョコレートが苦手なようですぐ紅茶で口直しをしている。
「カズサ?」
「おーい。どした?」
「……う、嘘みたい!すっごい美味しい!!」
そう。一番チョコレートの虜になったのは私だった。
できるだけ風味を消したくなくて紅茶もチビチビと口にしていた。
また食べたい。でもチョコレートの材料は珍しく高価で期間限定でしか売れない。とお店の人は笑っていた。
悲しいかな。ほとんど仕送りしている自分一人ではホイホイと買えない。
同期のみんなは「いつでも食べられると飽きちゃうよ」と慰めてくれたけど、今度口にするのはいつだろうと残念に思った。
訓練に向かう途中で兵長の執務室を通りかかると扉の前に大小様できれいな包装紙に包まれた箱がまるで積み木のように置かれている。
近くに寄ってみると甘い香りとリボンの間に裏返しで挟まれたカード。
急に焦るような罪悪感のようなごちゃまぜの気分になる。
これはいけない。このチョコレートとカードには一人一人の気持ちが込められてる。他人がみちゃ駄目だ。
全力で訓練場へ走ったがカラフルな包装紙とカードが頭に残った。
あれから一年たち、甘い香りのする時期がやってきた。
一度食べたきりのチョコレートだけど今年は自分のじゃなく渡したい人がいる。
同期の中には貯金して恋人に用意していたけど貯金しても私一人では手が届かなかった。
(仕方ない、諦めよう)
気分転換に図書室へ行き手軽に読める小説を探しているとお菓子のレシピ本が紛れ込んでいる。
(う、何もこんなタイミングで……)
棚に戻そうとしながら本を捲っていると、興味が湧いて椅子に腰をおろし読むと見たことも聞いたこともない名のお菓子の作り方ばかりで笑ってしまった。
今度こそ立ち上がってまだペラペラとしていると気になるページがあった。
※※※
それからはお菓子店に通いつめ、やっとチョコレートの材料を少しだけ分けてもらった。
そして厨房のおばちゃんに一ヶ月手伝いをするからと空いた時間に厨房を貸してもらう約束をした。
(材料は貴重。失敗はできない。あとは)
※※※
茶を飲もうと茶葉の量を計っていると三回ノック音がした。
茶の用意中なのを邪魔されたが仕事の話だろう。
「入れ」
入室の許可をだすと思いがけない人物が頭を下げながら入ってきた。
「カズサ・サフィールです、お忙しいところ失礼します」
緊張しているのか揃えられた手が震えている。
呼び出した覚えはないし、注意されるようなこともしてしない。
カズサの声を聞いてうっかりカップを取り落としそうになったが態度に出さず、多分声も顔もいつも通りのはずだ。
普段よく無表情と言われ少々気にはしているが今は都合がいい。
「座って待ってろ」
ポットには二人分の茶はある。カップを二脚用意しカズサが座っているテーブルに近づくと嫌でも複数の箱が見える。
さりげなくその箱をテーブルの端に寄せカズサと俺の前に紅茶をセットして俺も座る。
「どうした。何か問題でもあったか?」
俺は馬鹿か。もう少し言い方があるだろうが。
ここで印象を悪くしてどうする。
「……いえ、そういうわけでは、ないんですが……」
口ごもり、なかなか用件に入らないカズサに本気でどうしたのかと心配になるがカズサはテーブルの上を見ている。
「あの、やっぱり兵長の手を煩わせるような大したことでは 」
「大したことかどうかは俺が決めるから用件を言え」
(ああ。やっちまった。おい、こっからどうすんだ。ちくしょう)
だが、ここではい、そうですか。と帰したらカズサはもう来ない予感がした。
そんな俺に気づかずビクリとしたカズサは顔を強張らせている。
ゆっくりと手提げ袋のなかから少し不格好な長方形の箱を取り出し差し出す。
「あの、その今日はバレンタインデーと言いまして不格好でご迷惑とは思ったんですがそのよければと思いまして。あ、でも手作りとか嫌でしたら捨てて構いません」
渡した直後に捨てていいとはなんだ。
捨てるわけねぇだろ
「開けてもいいか」
こくりとうなずいたカズサの前でラッピングをはがし、箱を取り出して開けると円形の果物らしきものの半分にチョコレートがかかっているようだ。
「あの、オランジェットといってほんとはオレンジでつくるんですけど時期的にてにはいらなくてレモンでつくってみたんですがもちろんお店の味にはかなわないんですが、甘さひかえめにあじみもしましたしそうまずくはないんじゃないと」
緊張しすぎたのか一気に説明するカズサはちゃんと息をしているか、気になるほどだ。カズサのオランジェット?は二列に並べられていて柑橘系の爽やかな香りが鼻をくすぐる。
「落ち着け、みたことのない菓子だがレモンか、さっぱりして美味そうじゃねぇか。茶もある。一緒に食うぞ」
そう言うとカズサは小声で「はい」そう返事をすると俺は一枚、カプリと口に運んだ。レモンの爽やかさがチョコレートを引き立てている。
伺うように俺の反応を気にしているカズサにも勧め、二人で菓子を食べて茶を飲んでいる。
(毎年、お前からのもんがねぇかと探してたんだぞ)
「バレンタインってのは意味があるんだよな?」
「はっ、い!」
「受け取ったぞ」
※※※
「ハァーイ!リーヴァーイ!!今年は良かったじゃないか!」
「うるせぇよ」
「ねぇねぇ。今年こそカズサにちゃんと男らしく伝えたのかなぁ〜気になるなぁ!あ、そうそう私も食べたい!!」
「いちいちてめぇに言うわけねぇだろうが。あとカズサが俺のために作ってくれたんだ、ちゃんと味わったしお前にやる分は絶対ねぇな」
「怖っ!この調子だとうまくいってるみたいだ。バレンタインさまさまってところだね」
※※※
あれから夜の一時はよっぽどのことがなければカズサといる。
エルヴィン達にも絶対に邪魔はするなと強く言ってあるのでハンジさえ気をつければ俺とカズサで同じ時間を重ねている。
カズサの横に座って髪を撫でると恥ずかしそうにするが構わず両頬を包んで額をあわせる。
「なぁ。俺はお前のだけが欲しくて欲しくて仕方なかったんだぞ。ほかなんかいらねえ。今までの分も俺にだけくれよ?」
近すぎるからか、俺の言葉にかは分からねぇが、腕の中のカズサが真っ赤になりながら欲しかった言葉をくれた。
我慢できなくて唇を奪うとびっくりしたのか目をまんまるにしている。
日毎に恋しくなる恋人をどう可愛がろうか。
理由はいろいろあるがそもそも機動力の馬の足をとられるのが一番の理由だ。
壁外で動きが取れないのは致命的で臭ぇ巨人の腹ん中へ直行することになる。
だから壁外調査のない冬は兵士達の束の間の心休まる季節だ。
だが、二月になると男も女もソワソワし始める。
誰が広めたのかわからんが二月の十四日はバレンタインデーとかいう行事らしくチョコレートを贈る日らしい。
その日が近づくにつれ兵士も兵舎内も浮かれた空気が漂う。
次の壁外で腑抜けたままでいないように普段の訓練内容よりも敢えてキツめに組んでいるんだが。
それでも食らいついて訓練に身をいれる兵士たちを褒めてやりたいところだ。
しかし疲れてそれどころじゃないはずなのに兵舎に戻れば、すぐ落ち着かない様子になる。
男は何個もらえるか、好いた女からもらえるか?
女はどんなものを贈れば喜ぶか?受け取ってもらえるか?とうるさくてしょうがない。
まあ別に悪いと思わない。娯楽の少ない兵士らにとっていいガス抜きになるんならそれでいい。
この日はエルヴィンや俺にもこのチョコレートがきれいに包まれて贈られる。
だがいつも一箇所にいる訳でもない俺たちの執務室前にそのチョコレートらしき箱が積んで置かれている。
食い物を廊下におくんじゃねぇと説教の一つもしたくなるが部下の気遣いを無下にするのも気が引ける。
翌日に細やかだが菓子と礼のカードを一枚添えて食堂の真ん中のテーブルにおいておく。喜んでいるかは知らん。
※※※
「おっと、今年もすごいねー!というか去年はあれだったけど今年はどうかなぁ」
ニタニタと気持ち悪ぃ顔のハンジが汚ねぇ格好でいちいち絡んでくるが無視に限る。
去年の結果は知ってるだろうが。スネを蹴って追いかけて来ないようにして執務室に籠もる。
さすがにチョコレートを渡すためだけに執務室の扉を叩くヤツは今のところいない。
すでに置かれたもんは片手に抱えて執務室に入り取り敢えず来客用のテーブルの上に乗せておく。
あまり好きではない行事が一日だけでよかった。何度もあるとたまったもんじゃねぇ。
あまり好きな仕事じゃねぇが未決済書類を片付けちまおう。
なんとなくテーブルの上に置いた箱を見て去年の苦い思いにため息が溢れる。
それなりの数の箱に大抵ついている贈り主のカードを一枚ずつ見ては肩を落とし、もはや無いことを確認しているんじゃないかと苦々しく思ったもんだ。
だが、あの山の中に今年こそはあるんじゃねえかと期待してしまう。
女々しいのは重々承知しているが、恐らく今年も去年と同じことをするんだろう。
__
____
同期の子たちとお金を出しあい、近くのお菓子店で買ってきて初めてチョコレートを食べた。
ワクワクしながら丁寧に包まれている小箱を宝物のようにソッと開いた。
出てきたのは黒いような茶色っぽい小粒が四個。
「え、黒い。これ食べ物?」
「高かったのに……ちっこい」
「でも香りはいい感じ」
「甘い香りー」
それぞれ初めてみるチョコレートに興奮しながら紅茶の用意もして恐る恐る口にした。
「うわっ!甘い!」
「フルーツと全然違うね」
「すぐ溶けちゃうんだね。少し後味が苦手かな」
「……」
一人はチョコレートが苦手なようですぐ紅茶で口直しをしている。
「カズサ?」
「おーい。どした?」
「……う、嘘みたい!すっごい美味しい!!」
そう。一番チョコレートの虜になったのは私だった。
できるだけ風味を消したくなくて紅茶もチビチビと口にしていた。
また食べたい。でもチョコレートの材料は珍しく高価で期間限定でしか売れない。とお店の人は笑っていた。
悲しいかな。ほとんど仕送りしている自分一人ではホイホイと買えない。
同期のみんなは「いつでも食べられると飽きちゃうよ」と慰めてくれたけど、今度口にするのはいつだろうと残念に思った。
訓練に向かう途中で兵長の執務室を通りかかると扉の前に大小様できれいな包装紙に包まれた箱がまるで積み木のように置かれている。
近くに寄ってみると甘い香りとリボンの間に裏返しで挟まれたカード。
急に焦るような罪悪感のようなごちゃまぜの気分になる。
これはいけない。このチョコレートとカードには一人一人の気持ちが込められてる。他人がみちゃ駄目だ。
全力で訓練場へ走ったがカラフルな包装紙とカードが頭に残った。
あれから一年たち、甘い香りのする時期がやってきた。
一度食べたきりのチョコレートだけど今年は自分のじゃなく渡したい人がいる。
同期の中には貯金して恋人に用意していたけど貯金しても私一人では手が届かなかった。
(仕方ない、諦めよう)
気分転換に図書室へ行き手軽に読める小説を探しているとお菓子のレシピ本が紛れ込んでいる。
(う、何もこんなタイミングで……)
棚に戻そうとしながら本を捲っていると、興味が湧いて椅子に腰をおろし読むと見たことも聞いたこともない名のお菓子の作り方ばかりで笑ってしまった。
今度こそ立ち上がってまだペラペラとしていると気になるページがあった。
※※※
それからはお菓子店に通いつめ、やっとチョコレートの材料を少しだけ分けてもらった。
そして厨房のおばちゃんに一ヶ月手伝いをするからと空いた時間に厨房を貸してもらう約束をした。
(材料は貴重。失敗はできない。あとは)
※※※
茶を飲もうと茶葉の量を計っていると三回ノック音がした。
茶の用意中なのを邪魔されたが仕事の話だろう。
「入れ」
入室の許可をだすと思いがけない人物が頭を下げながら入ってきた。
「カズサ・サフィールです、お忙しいところ失礼します」
緊張しているのか揃えられた手が震えている。
呼び出した覚えはないし、注意されるようなこともしてしない。
カズサの声を聞いてうっかりカップを取り落としそうになったが態度に出さず、多分声も顔もいつも通りのはずだ。
普段よく無表情と言われ少々気にはしているが今は都合がいい。
「座って待ってろ」
ポットには二人分の茶はある。カップを二脚用意しカズサが座っているテーブルに近づくと嫌でも複数の箱が見える。
さりげなくその箱をテーブルの端に寄せカズサと俺の前に紅茶をセットして俺も座る。
「どうした。何か問題でもあったか?」
俺は馬鹿か。もう少し言い方があるだろうが。
ここで印象を悪くしてどうする。
「……いえ、そういうわけでは、ないんですが……」
口ごもり、なかなか用件に入らないカズサに本気でどうしたのかと心配になるがカズサはテーブルの上を見ている。
「あの、やっぱり兵長の手を煩わせるような大したことでは 」
「大したことかどうかは俺が決めるから用件を言え」
(ああ。やっちまった。おい、こっからどうすんだ。ちくしょう)
だが、ここではい、そうですか。と帰したらカズサはもう来ない予感がした。
そんな俺に気づかずビクリとしたカズサは顔を強張らせている。
ゆっくりと手提げ袋のなかから少し不格好な長方形の箱を取り出し差し出す。
「あの、その今日はバレンタインデーと言いまして不格好でご迷惑とは思ったんですがそのよければと思いまして。あ、でも手作りとか嫌でしたら捨てて構いません」
渡した直後に捨てていいとはなんだ。
捨てるわけねぇだろ
「開けてもいいか」
こくりとうなずいたカズサの前でラッピングをはがし、箱を取り出して開けると円形の果物らしきものの半分にチョコレートがかかっているようだ。
「あの、オランジェットといってほんとはオレンジでつくるんですけど時期的にてにはいらなくてレモンでつくってみたんですがもちろんお店の味にはかなわないんですが、甘さひかえめにあじみもしましたしそうまずくはないんじゃないと」
緊張しすぎたのか一気に説明するカズサはちゃんと息をしているか、気になるほどだ。カズサのオランジェット?は二列に並べられていて柑橘系の爽やかな香りが鼻をくすぐる。
「落ち着け、みたことのない菓子だがレモンか、さっぱりして美味そうじゃねぇか。茶もある。一緒に食うぞ」
そう言うとカズサは小声で「はい」そう返事をすると俺は一枚、カプリと口に運んだ。レモンの爽やかさがチョコレートを引き立てている。
伺うように俺の反応を気にしているカズサにも勧め、二人で菓子を食べて茶を飲んでいる。
(毎年、お前からのもんがねぇかと探してたんだぞ)
「バレンタインってのは意味があるんだよな?」
「はっ、い!」
「受け取ったぞ」
※※※
「ハァーイ!リーヴァーイ!!今年は良かったじゃないか!」
「うるせぇよ」
「ねぇねぇ。今年こそカズサにちゃんと男らしく伝えたのかなぁ〜気になるなぁ!あ、そうそう私も食べたい!!」
「いちいちてめぇに言うわけねぇだろうが。あとカズサが俺のために作ってくれたんだ、ちゃんと味わったしお前にやる分は絶対ねぇな」
「怖っ!この調子だとうまくいってるみたいだ。バレンタインさまさまってところだね」
※※※
あれから夜の一時はよっぽどのことがなければカズサといる。
エルヴィン達にも絶対に邪魔はするなと強く言ってあるのでハンジさえ気をつければ俺とカズサで同じ時間を重ねている。
カズサの横に座って髪を撫でると恥ずかしそうにするが構わず両頬を包んで額をあわせる。
「なぁ。俺はお前のだけが欲しくて欲しくて仕方なかったんだぞ。ほかなんかいらねえ。今までの分も俺にだけくれよ?」
近すぎるからか、俺の言葉にかは分からねぇが、腕の中のカズサが真っ赤になりながら欲しかった言葉をくれた。
我慢できなくて唇を奪うとびっくりしたのか目をまんまるにしている。
日毎に恋しくなる恋人をどう可愛がろうか。
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