デフォルトで「名もなき ななし」になります。
ペルソナシリーズその他 短編
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「だーっ!なんでマーヤだけじゃなくななしまでっ!」
「うららちゃん、ちょっと落ち着いて……。」
「落ち着いてられるかぁ〜っ!」
「うらら〜、どうどう〜。」
うわーんと缶ビール片手に喚くうららと、それを慰める舞耶とななし。
アラヤの岩戸で達也達の真実を知り、ひとまず一度休息を取ることにした舞耶達は、彼女が住むマンションで女子会と称した飲み会を開いていた。
「なんでアンタ達だけ年下のイイ男に好かれんのよぉ。」
「そ、そんな事は……。」
「あるでしょななしッ!あーんな美青年に熱烈に慕われちゃってさぁ!」
「確かに、淳クンにかなり愛されてるわよねぇななし。」
うんうん、と舞耶もうららの意見に同意する。
「この人に近づいたら容赦しない。って悪魔に啖呵切ってさぁ。美人が怒ると凄味があるってホントだね。」
「そういう事言うタイプには見えなかったから、確かにあれは意外だった……かも。」
「お姫様を守る王子様って感じよね、淳クン。」
照れから顔を赤くするななしを見て、ニコニコと笑みを浮かべる舞耶。しかし、自分だけ言われるのは悔しいからか、ななしは缶チューハイを一口飲むと、赤い顔のまま舞耶をジト目で睨んだ。
「そ、そういう舞耶だってっ!達哉くんが守ってくれてるじゃない。」
「この女には、指一本触れさせない…ってヤツね。あれもかっくい〜わよねぇ!イケメンだし騎士 って感じで!」
「今の達哉クンのモノマネ?ちょっとうらら、達哉クンにモノマネのコツ教えて貰った方が良いんじゃない?」
「こら、マーヤ。話を逸らそうとしないっ!」
今度は舞耶が顔を赤くし、なんとか話を逸らそう出したが、恋バナで盛り上がるうららには通用しなかった。
「別世界からきた男に愛されるなんて体験、することないじゃん?おとぎ話みたいで乙女のアタシとしてはちょっと…いや、かなり羨ましいんですケド。」
うららのその一言に、でも……と舞耶は続ける。
「あんな哀しい思い出は辛すぎるわ。うららはこちら側の男の人と普通に恋愛して幸せになって欲しい。」
うん、私もそう思う。と、頷くななし。先ほどまで声を荒らげていたうららも思うところがあるのか、静かに二人の意見に耳を傾けた。あちら側とこちら側。あちら側で死んでしまった舞耶とななし。そんな彼女らを想う達哉と淳。数時間前に告げられた事実は重く彼女らの心に影を落とす。
しかし、このしんみりとした空気を破るのは、やはりうららの声だった。
「でもさぁ、アンタたちこっち側の男も手玉に取ってるじゃんか。」
「え……えぇ?!」
「何言ってるのよ、うらら?!」
そんな事ないとななしと舞耶は否定するが、その反応がうららの嫉妬心に仄かに火を着けてしまったようだ。うららは半目でじとりと舞耶を見つめ、最初のターゲットを彼女に定める。
「マーヤなんか周防兄もコロコロ手のひらで転がしちゃってさぁ!」
「そんな事ないわよッ。」
「そう言われれば、確かに周防さん。なんだか舞耶のこと意識してる感じあったかも。」
「ちょ…ななしまで何言ってんのよー!」
「周防兄も悪魔から舞耶のこと、めっちゃ庇ってたし。」
「あ、あれは警察官だから……。」
「いーやッ!違うね!明らかにマーヤを庇う回数、ウチらとは違ったもん!」
ビシィと音が鳴りそうな勢いで、うららは左人差し指で舞耶を指さす。それに……と、今度はななしにじっとりとした目線を向けた。
「ななしも、南条くんといい雰囲気だったしぃ!」
「あ、あれは私が南条財閥のグループ会社で働いてるから話が合っただけで…。」
「でも気難しそうな南条クンが、ななしと話してるときは雰囲気柔らかかったわね。」
「ま、舞耶までそう言うこと言う…!」
「そーそー!たまに微笑んでたし!それに、舞耶みたいにななしも南条くんによく庇われてたじゃん。」
「……南条くんは、男性は女性を守るっていう信条があってだと思うけど。」
「いーやッ!違うね!明らかにななしを庇う回数、ウチらとは違ったもん!」
今度は反対の手でななしを指さすうらら。タジタジとするななしだったが、缶チューハイを一気に煽るとうららをしっかりと見つめて声を上げた。
「そういう、うららちゃんこそっ!」
「な、何よぅ?」
急な大声にうららはビクッと肩を揺らす。ななしは舞耶を横目で見て頷く。舞耶もななしが言いたい事が伝わったのか、口角を上げて頷き返した。
「何って…。」
「ねぇ?」
「「パオフゥ(さん)といい感じじゃない。」」
「はぁ?パオとぉ?!」
反撃とばかりにうららにパオフゥとの仲を追求する舞耶とななし。喧嘩するほど仲が良いって言うでしょ?パオフゥさん、捻くれてるから好きな子ほどイジメるタイプなんじゃない?と、今までイジられた分、舞耶とななしはじりじりとうららを追い詰める。
「ほら、あの時も……。」
「ああ!下水処理施設での出来事のこと?やっぱりななしも見てたのね。」
「そうそう!一回失敗しちゃってみんな流されちゃったとき、パオフゥさん真っ先にうららちゃんの事助けてたでしょ。」
「ま、マジっ?パニクってて覚えてないわ……。」
(パオフゥさんの場合、うららちゃんだけ離れて流されたときの合流が面倒だからって感じかも知れないけど……。)
(ま、それは黙っときましょ!)
ふーん、パオのヤツも私の魅力にやっと気付いたかぁ〜?と、機嫌良さそうに、つまみを手に缶ビールを煽るうらら。このまま上機嫌にしておけば、ヘンな話題を振られることは無いだろうと安心した二人は、新しく手にした缶を開けた。
「例えばの話だけどさ、」
ピッと摘んだイカゲソを顔の前に立て、うららは話し始める。
「もし、パオと結婚するとして――結婚したくない男No1だけど!――……親が納得すると思う?」
「あー……。」
「そうねぇ……。」
長髪……はまだいいとして、目元がわからないほど深い黒のサングラス、どこで仕立てたのかわからないイエローのスーツ、これまたどこで揃えたのかわからないアクセサリー類。
「特技は盗聴、元検察官だけど今は無職。重い過去アリ。」
「言っちゃ悪いけど、親には紹介しにくいプロフィールと風貌よね。」
「両親の戸惑う姿が目に浮かぶなー……。」
うんうん、と三人は首を縦に振る。本人不在で全員酔っているせいか、舞耶やななしまでもがパオフゥに対して珍しく辛辣な意見を述べる。
「その点、周防兄は両親に紹介しても恥ずかしくないわ〜。むしろ、よく捕まえたってホメられそう。」
「公務員、それも警察官で身元もちゃんとしてるしね。それに家族思いなのは好ポイントじゃない?舞耶。」
「多少、ブラコンの気があるのは気になるけどねー。」
20代半ばとなれば、これからの付き合いは結婚も視野に入れつつ、恋人選びをする年頃。いつの間にか恋バナは結婚談義へと移り変わる。
ななしはぐびっとサワー缶を煽りつつ、舞耶に目線を向けた。舞耶もこちらを見ていたようで、ぱちりと目線が合っうと、ニッと目元を細めた。
「あら?そう言うなら南条クンだって。大企業の御曹司よ?ななし。」
「玉の輿ゲットじゃん!うらやま〜。」
こちらに矛先を向けてきたか、舞耶。さすがただでは起きない雑誌記者。
「でも結婚となると、南条家に相応しい人間になる為の教育とかありそう。」
「あぁ〜。アタシには無理なヤツだわ……。」
「南条クン、甘えは許さなそうよねぇ……。」
アルコールがほどよく体に回り、男性メンバーへの批評は盛り上がっていく。結婚生活はこうだろう、喧嘩したときはどちらが先に折れるか、味の好みは合うのか、家事はどのくらいしてくれるのか……など、想像で好き勝手言い放題だ。
「じゃあ、やっぱ高校生一択?」
「でも、あの二人はこちら側の人間じゃないから……この事件が解決したらどうなるのか……。」
「バッカねぇ〜ななし!信じれば最後に愛は勝つって、歌でも言ってるデショ?そう、愛は勝つのよ!」
空になった缶をべコリも握り潰し、立ち上がって力説するうらら。舞耶は、しばらく彼女の勢いに呆気にとられていたが、やがてクスクスと笑い声をあげた。
「そうね。今から希望を持たなくちゃ、未来はやってこないわ。レッツ ポジティブ・シンキング!」
「愛……かどうかはわからないけど、自分たちと彼らの未来を信じなくちゃね!」
二人もうらら同様、勢い良く立ち上がる。……ここまで彼女たちがアルコール缶を何本開けてきたかは想像に難くない。
「そうとなれば!結婚相手を絞って落としにいかないと!」
「そこに話は戻るのね。」
「むしろ、その話をずっとしてたんじゃない?」
「二人とも、洞ヶ峠を決め込んでる時間は少ないんだから!」
だいぶ顔の赤くなったうららが、ビシリと二人を指さした。
「マーヤは真面目な周防兄と、一途なイケメン達哉くん!」
「……えぇ…?」
「ななしは大財閥の御曹司の南条くんと、美青年王子の淳くん!」
「……うーん…。」
「そして私は――」
「「怪しい男。」」
「もぉ〜ッ!どうして私にゃまともな男が寄ってこないんじゃ〜ッ!」
うららの叫びを星空に響かせ、女三人の夜は更けていく――――
翌日、二日酔いで頭痛が止まらない女性メンバーと、昨晩くしゃみが止まらなかった男性メンバーを心配した克哉は、地下鉄工事現場攻略の中止を宣言するのであった。
――――――――――
2025/10/1
「うららちゃん、ちょっと落ち着いて……。」
「落ち着いてられるかぁ〜っ!」
「うらら〜、どうどう〜。」
うわーんと缶ビール片手に喚くうららと、それを慰める舞耶とななし。
アラヤの岩戸で達也達の真実を知り、ひとまず一度休息を取ることにした舞耶達は、彼女が住むマンションで女子会と称した飲み会を開いていた。
「なんでアンタ達だけ年下のイイ男に好かれんのよぉ。」
「そ、そんな事は……。」
「あるでしょななしッ!あーんな美青年に熱烈に慕われちゃってさぁ!」
「確かに、淳クンにかなり愛されてるわよねぇななし。」
うんうん、と舞耶もうららの意見に同意する。
「この人に近づいたら容赦しない。って悪魔に啖呵切ってさぁ。美人が怒ると凄味があるってホントだね。」
「そういう事言うタイプには見えなかったから、確かにあれは意外だった……かも。」
「お姫様を守る王子様って感じよね、淳クン。」
照れから顔を赤くするななしを見て、ニコニコと笑みを浮かべる舞耶。しかし、自分だけ言われるのは悔しいからか、ななしは缶チューハイを一口飲むと、赤い顔のまま舞耶をジト目で睨んだ。
「そ、そういう舞耶だってっ!達哉くんが守ってくれてるじゃない。」
「この女には、指一本触れさせない…ってヤツね。あれもかっくい〜わよねぇ!イケメンだし
「今の達哉クンのモノマネ?ちょっとうらら、達哉クンにモノマネのコツ教えて貰った方が良いんじゃない?」
「こら、マーヤ。話を逸らそうとしないっ!」
今度は舞耶が顔を赤くし、なんとか話を逸らそう出したが、恋バナで盛り上がるうららには通用しなかった。
「別世界からきた男に愛されるなんて体験、することないじゃん?おとぎ話みたいで乙女のアタシとしてはちょっと…いや、かなり羨ましいんですケド。」
うららのその一言に、でも……と舞耶は続ける。
「あんな哀しい思い出は辛すぎるわ。うららはこちら側の男の人と普通に恋愛して幸せになって欲しい。」
うん、私もそう思う。と、頷くななし。先ほどまで声を荒らげていたうららも思うところがあるのか、静かに二人の意見に耳を傾けた。あちら側とこちら側。あちら側で死んでしまった舞耶とななし。そんな彼女らを想う達哉と淳。数時間前に告げられた事実は重く彼女らの心に影を落とす。
しかし、このしんみりとした空気を破るのは、やはりうららの声だった。
「でもさぁ、アンタたちこっち側の男も手玉に取ってるじゃんか。」
「え……えぇ?!」
「何言ってるのよ、うらら?!」
そんな事ないとななしと舞耶は否定するが、その反応がうららの嫉妬心に仄かに火を着けてしまったようだ。うららは半目でじとりと舞耶を見つめ、最初のターゲットを彼女に定める。
「マーヤなんか周防兄もコロコロ手のひらで転がしちゃってさぁ!」
「そんな事ないわよッ。」
「そう言われれば、確かに周防さん。なんだか舞耶のこと意識してる感じあったかも。」
「ちょ…ななしまで何言ってんのよー!」
「周防兄も悪魔から舞耶のこと、めっちゃ庇ってたし。」
「あ、あれは警察官だから……。」
「いーやッ!違うね!明らかにマーヤを庇う回数、ウチらとは違ったもん!」
ビシィと音が鳴りそうな勢いで、うららは左人差し指で舞耶を指さす。それに……と、今度はななしにじっとりとした目線を向けた。
「ななしも、南条くんといい雰囲気だったしぃ!」
「あ、あれは私が南条財閥のグループ会社で働いてるから話が合っただけで…。」
「でも気難しそうな南条クンが、ななしと話してるときは雰囲気柔らかかったわね。」
「ま、舞耶までそう言うこと言う…!」
「そーそー!たまに微笑んでたし!それに、舞耶みたいにななしも南条くんによく庇われてたじゃん。」
「……南条くんは、男性は女性を守るっていう信条があってだと思うけど。」
「いーやッ!違うね!明らかにななしを庇う回数、ウチらとは違ったもん!」
今度は反対の手でななしを指さすうらら。タジタジとするななしだったが、缶チューハイを一気に煽るとうららをしっかりと見つめて声を上げた。
「そういう、うららちゃんこそっ!」
「な、何よぅ?」
急な大声にうららはビクッと肩を揺らす。ななしは舞耶を横目で見て頷く。舞耶もななしが言いたい事が伝わったのか、口角を上げて頷き返した。
「何って…。」
「ねぇ?」
「「パオフゥ(さん)といい感じじゃない。」」
「はぁ?パオとぉ?!」
反撃とばかりにうららにパオフゥとの仲を追求する舞耶とななし。喧嘩するほど仲が良いって言うでしょ?パオフゥさん、捻くれてるから好きな子ほどイジメるタイプなんじゃない?と、今までイジられた分、舞耶とななしはじりじりとうららを追い詰める。
「ほら、あの時も……。」
「ああ!下水処理施設での出来事のこと?やっぱりななしも見てたのね。」
「そうそう!一回失敗しちゃってみんな流されちゃったとき、パオフゥさん真っ先にうららちゃんの事助けてたでしょ。」
「ま、マジっ?パニクってて覚えてないわ……。」
(パオフゥさんの場合、うららちゃんだけ離れて流されたときの合流が面倒だからって感じかも知れないけど……。)
(ま、それは黙っときましょ!)
ふーん、パオのヤツも私の魅力にやっと気付いたかぁ〜?と、機嫌良さそうに、つまみを手に缶ビールを煽るうらら。このまま上機嫌にしておけば、ヘンな話題を振られることは無いだろうと安心した二人は、新しく手にした缶を開けた。
「例えばの話だけどさ、」
ピッと摘んだイカゲソを顔の前に立て、うららは話し始める。
「もし、パオと結婚するとして――結婚したくない男No1だけど!――……親が納得すると思う?」
「あー……。」
「そうねぇ……。」
長髪……はまだいいとして、目元がわからないほど深い黒のサングラス、どこで仕立てたのかわからないイエローのスーツ、これまたどこで揃えたのかわからないアクセサリー類。
「特技は盗聴、元検察官だけど今は無職。重い過去アリ。」
「言っちゃ悪いけど、親には紹介しにくいプロフィールと風貌よね。」
「両親の戸惑う姿が目に浮かぶなー……。」
うんうん、と三人は首を縦に振る。本人不在で全員酔っているせいか、舞耶やななしまでもがパオフゥに対して珍しく辛辣な意見を述べる。
「その点、周防兄は両親に紹介しても恥ずかしくないわ〜。むしろ、よく捕まえたってホメられそう。」
「公務員、それも警察官で身元もちゃんとしてるしね。それに家族思いなのは好ポイントじゃない?舞耶。」
「多少、ブラコンの気があるのは気になるけどねー。」
20代半ばとなれば、これからの付き合いは結婚も視野に入れつつ、恋人選びをする年頃。いつの間にか恋バナは結婚談義へと移り変わる。
ななしはぐびっとサワー缶を煽りつつ、舞耶に目線を向けた。舞耶もこちらを見ていたようで、ぱちりと目線が合っうと、ニッと目元を細めた。
「あら?そう言うなら南条クンだって。大企業の御曹司よ?ななし。」
「玉の輿ゲットじゃん!うらやま〜。」
こちらに矛先を向けてきたか、舞耶。さすがただでは起きない雑誌記者。
「でも結婚となると、南条家に相応しい人間になる為の教育とかありそう。」
「あぁ〜。アタシには無理なヤツだわ……。」
「南条クン、甘えは許さなそうよねぇ……。」
アルコールがほどよく体に回り、男性メンバーへの批評は盛り上がっていく。結婚生活はこうだろう、喧嘩したときはどちらが先に折れるか、味の好みは合うのか、家事はどのくらいしてくれるのか……など、想像で好き勝手言い放題だ。
「じゃあ、やっぱ高校生一択?」
「でも、あの二人はこちら側の人間じゃないから……この事件が解決したらどうなるのか……。」
「バッカねぇ〜ななし!信じれば最後に愛は勝つって、歌でも言ってるデショ?そう、愛は勝つのよ!」
空になった缶をべコリも握り潰し、立ち上がって力説するうらら。舞耶は、しばらく彼女の勢いに呆気にとられていたが、やがてクスクスと笑い声をあげた。
「そうね。今から希望を持たなくちゃ、未来はやってこないわ。レッツ ポジティブ・シンキング!」
「愛……かどうかはわからないけど、自分たちと彼らの未来を信じなくちゃね!」
二人もうらら同様、勢い良く立ち上がる。……ここまで彼女たちがアルコール缶を何本開けてきたかは想像に難くない。
「そうとなれば!結婚相手を絞って落としにいかないと!」
「そこに話は戻るのね。」
「むしろ、その話をずっとしてたんじゃない?」
「二人とも、洞ヶ峠を決め込んでる時間は少ないんだから!」
だいぶ顔の赤くなったうららが、ビシリと二人を指さした。
「マーヤは真面目な周防兄と、一途なイケメン達哉くん!」
「……えぇ…?」
「ななしは大財閥の御曹司の南条くんと、美青年王子の淳くん!」
「……うーん…。」
「そして私は――」
「「怪しい男。」」
「もぉ〜ッ!どうして私にゃまともな男が寄ってこないんじゃ〜ッ!」
うららの叫びを星空に響かせ、女三人の夜は更けていく――――
翌日、二日酔いで頭痛が止まらない女性メンバーと、昨晩くしゃみが止まらなかった男性メンバーを心配した克哉は、地下鉄工事現場攻略の中止を宣言するのであった。
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