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ペルソナ5 短編
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つかの間の休み。私は、久しぶりに四軒茶屋の駅へと降り立った。前回来れたのはいつごろだったろうか?
最近、巷を騒がせている怪盗団事件。その事件を担当することとなった新島検事の元に、警察庁からの出向という形で補佐に就いてからは、この地を訪れた記憶が無い。
5月には秀尽学園の体育教師・鴨志田卓、6月には日本画の巨匠・斑目一流斎の元に怪盗団と名乗る者から届いた予告状。そしてその直後の彼らの罪の告白――。手口も、そもそも存在しているかもわからない怪盗団の調査で、正直、精神的にも肉体的にもクタクタだった。
メイン通りから曲がった路地に、一軒の喫茶店がある。マスターの淹れるコーヒーは香りがよく美味しいのはさることながら、特製カレーも奥深いコクと旨味で絶品だと評判の隠れた名店だ。
年季の入ったドアを開けると、ドアベルの軽やかな音が店内に優しく響いた。
「いらっしゃい」
「こんばんは」
「……おお、お嬢ちゃんか。久しぶり」
「お久しぶりです、マスター」
昔、足繁く通ったおかげでマスターに覚えてもらっていたみたいだ。
中へと入りカウンター席に腰掛ける。と、珍しく奥のテーブル席が埋まっているのが見えた。制服を着ているので、彼らはどうやら高校生らしい。若いうちからこんな渋いお店をチョイスするとは素晴らしい、と思っていると癖のある黒髪の黒縁眼鏡をした少年と目が合った。ちょっと不躾に見すぎた反省も込めて軽く頭を下げると、向こうも同じように頭を下げた。
「ご注文は?」
「カレーセットでお願いします」
「あいよ。できるまでちょっと待ってな」
注文した料理が来るまで暇なので、なんとなく店内のテレビに目を向けた。
テレビのキャスターは怪盗団事件のニュースを読み上げ、コメンテーターに意見を求める。最近の報道は1コーナは必ず怪盗団の話題を取り上げるという感じだ。創作物でしか見ないような予告状に、有名人の突然の謝罪会見……こんなセンセーショナルな事件をマスコミが取り上げない訳が無い。こんな事件が続けば一般市民のエンタメ感覚でこの事件に興味を持ち、マスコミの報道がより過熱していくに違いない。警察としては報道規制をかけたりなんだりと……ただでさえ疲弊しているのに、仕事が増えるのは勘弁して欲しい。
「怪盗団、かぁ」
「おねーさん、怪盗団に興味あるんスか?」
「ちょ!竜司っ!」
思ったよりも独り言が大きかったのか、高校生グループの一人、金髪の男の子がワクワクとした表情で声を掛けてきた。高校生は流行りに敏感だからだろうか、こういうモノの評判を知りたいのかもしれない。
「あれ、君のその制服……もしかして秀尽学園?」
「そっす」
「あー……だからか。君たちの学校も怪盗団騒ぎで大変だったもんね」
「知ってるんですか?」
「まぁ、捜査に参加させられたし」
「え?」
「は?」
「…………あ」
気が緩んでいたせいなのか、ブロンド髪の女の子の質問にするっと答えてしまった。警察には捜査上の情報を漏らさないよう、守秘義務があるけれど……言ってしまった事はもうしょうがない。高校生達は私の一言に、ポカンとした顔をしたままだ。
「おねーさんってケーサツの人?」
「ん…まぁそうね」
「……学校で全部話しましたけど、まだ何か聞きたい事でもあるんですか?」
「えっ?いやいや!今日はただ、マスターのカレーとコーヒーを堪能しに来ただけ!」
ボブヘアの聡明そうな女の子に厳しい目線を向けられ、少したじろぎながらプライベートで来ている旨を伝える。にしても、彼女の顔どこかで見たような……。
少しピリリとした空気のなか、目の前にカレーとコーヒーが置かれた。
「おまちどうさま」
「ありがとうございます。…いただきます」
気まずい空気感から逃げるようにカレーを堪能する。相変わらずの美味しさに、思わず笑みがこぼれた。
「お前ら、あんまりお客さんを困らせるなよ」
「……すみません」
「大丈夫だよ。……まぁ、あんな事あったし、また事情聴取されるのか警戒しちゃうよね」
黒縁眼鏡の子の謝罪を受けた後は、しばらく無言でカレーを食べ進める。途中、コーヒーを飲み終わり食後に飲む分が無くなってしまうと、「あいつらが迷惑掛けた詫びだ」とマスターがおかわりを淹れてくれた。
食後のコーヒーを堪能していると、テレビはお天気キャスターを映し、この後すぐに雨が降るとの予想を告げる。すぐに帰りたいとは思ったが、せっかく淹れてくれたコーヒーはまだ残っているし、折りたたみ傘が鞄にある事を思い出してのんびりと居座ることにした。
「……これから雨か。悪ぃな嬢ちゃん。ちょっと家行って洗濯物しまってくるわ。帰る時は、そこの眼鏡のボウズに声掛けてくれ」
「わかりました」
あの眼鏡の子はここのアルバイトだったのか。マスターはエプロンを脱ぎ、足早にお店を出ていった。すると、金髪の子が、好奇心を抑えられない様子でこちらを見てる事に気付いた。ブロンド髪の子がそんな彼の態度を、またもたしなめる声がする。
「……もしかして、怪盗団事件が気になる?」
「捜査とかどんな感じかなーって!」
「あー、捜査で得た情報とかは言っちゃいけないんだよね。だから、テレビで話されてる事以上の事は言えなんだ」
「……んじゃあ、おねーさんは怪盗団居ると思う?」
「うーん、そうねぇ……。あくまで警察としてじゃなく、私個人の意見としてだけど、いる、のかも……というか、いて欲しいかな」
「いて欲しい……とは、どうしてです?」
今まで静観していた長身で濃紺の髪をした男の子が、私の意見に興味を持ったのか興味深そうに私に問うた。――確か、あの子は斑目事件の時の捜査資料で見た子だ。
「警察は国の組織である以上、法や規則に則って行動しなきゃいけない。でも世の中には悪知恵を働かせて、警察や法の目を掻い潜って犯罪を犯してる輩がたくさんいるでしょ。……法や規則、それに……上の命令に縛られることなく悪人に自白させられる術を持った怪盗団がいたら……」
そう、そんな人たちがいたらきっと……きっと先輩も奥さんを殺した犯人を捕まえられた。彼の情熱は犯人を追い詰める事が出来るほどのものだった。私も私なりに先輩の力になりたくて犯人検挙の為に頑張ってみたけど、どうにもならなくて――
「あの…」
黒縁眼鏡の子に声をかけられハッとする。いつの間にか指先が白くなるほど力強く握り込んでいた手を、ゆっくりと開いた。
「ごめんごめん。まぁ、私個人としては世の中の悪人が減るのは嬉しいからいて欲しいかな。……でも、怪盗団自体は好きじゃなくて」
「そりゃあ……警察にとっては捕まえるべき犯罪者、ですもんね」
「あー……そうじゃなくて、超個人的な理由で。……全部潰されてるんだよね」
「潰されてるって何をですか?」
「有給休暇」
きょとんとした顔でこちらを見る女の子たち。たぶん、想定してた回答とは違ったせいだろう。
「いやあ、社会人になるとね、休みが貴重だったりするんだよ。そんな貴重な休みが、やれ予告状やら、やれ自白やらで今まで潰れてさぁ」
「あはは……」
「結局、休めずに連勤。事後処理やらなんやらでやっと今日、半休取れたんだよね」
「……大変、ですね」
乾いた笑い声を漏らす金髪の子と、眉を顰める濃紺髪の子。こんな個人的な事情話されても困るだろうから、当然の反応だ。けど、皆目を伏せてバツの悪そうな顔をしている。なんでだろう。
休日潰れた事を思い出したら腹が立って来たので、心を落ち着ける為にぐいっとコーヒーを飲む。……ちょっともったいない飲み方したな。
「次の休日は……いつなんですか?」
「え?……あー、」
眼鏡に反射して目元が見えず表情が伺えないが、心なしか緊張した声色で問われる。
「8日後に有給取ってるね。気分をリフレッシュさせるのにちょっと小旅行したくなってさ」
「「「「…………8日後」」」」
「……さて、私はそろそろ帰ろうかな。お会計よろしく少年」
「あ、はい」
レジカウンターで会計を済まし、ドアの外に目を向ける。幸い、まだ雨は降っていないようだ。ドアノブに手をかけ、私は彼らを振り返った。
「私の次の休日が潰れないよう、君たちも祈ってくれると嬉しいな」
来た時のように、ドアベルの軽やかな音が店内響くを背中で聴きながら、私はルブランを後にした。
※ ※ ※
「なぁ、リーダー……」
警察官の女性が出ていったドアを見つめながら、金髪の少年が話し出す。
「金城に予告状出す予定の日って確か――」
「8日後だな」
「だよなぁ……」
「できれば、お姉さんに小旅行行って欲しいけど……」
「準備だったり個人の予定があったりで、私達もその日しか予告状出せないものね……」
「彼女には申し訳ないが、仕事に励んでしてもらうしかないな」
「あまり励まれてもワガハイ達が困るケドな……」
雨雲が空を覆い薄暗くなった店内では、5人の高校生と1匹の猫が彼女の未来を憐れんでいた。
―――― 一人の警察官が嘆くまで後8日
―――――――
2025/06/20
最近、巷を騒がせている怪盗団事件。その事件を担当することとなった新島検事の元に、警察庁からの出向という形で補佐に就いてからは、この地を訪れた記憶が無い。
5月には秀尽学園の体育教師・鴨志田卓、6月には日本画の巨匠・斑目一流斎の元に怪盗団と名乗る者から届いた予告状。そしてその直後の彼らの罪の告白――。手口も、そもそも存在しているかもわからない怪盗団の調査で、正直、精神的にも肉体的にもクタクタだった。
メイン通りから曲がった路地に、一軒の喫茶店がある。マスターの淹れるコーヒーは香りがよく美味しいのはさることながら、特製カレーも奥深いコクと旨味で絶品だと評判の隠れた名店だ。
年季の入ったドアを開けると、ドアベルの軽やかな音が店内に優しく響いた。
「いらっしゃい」
「こんばんは」
「……おお、お嬢ちゃんか。久しぶり」
「お久しぶりです、マスター」
昔、足繁く通ったおかげでマスターに覚えてもらっていたみたいだ。
中へと入りカウンター席に腰掛ける。と、珍しく奥のテーブル席が埋まっているのが見えた。制服を着ているので、彼らはどうやら高校生らしい。若いうちからこんな渋いお店をチョイスするとは素晴らしい、と思っていると癖のある黒髪の黒縁眼鏡をした少年と目が合った。ちょっと不躾に見すぎた反省も込めて軽く頭を下げると、向こうも同じように頭を下げた。
「ご注文は?」
「カレーセットでお願いします」
「あいよ。できるまでちょっと待ってな」
注文した料理が来るまで暇なので、なんとなく店内のテレビに目を向けた。
テレビのキャスターは怪盗団事件のニュースを読み上げ、コメンテーターに意見を求める。最近の報道は1コーナは必ず怪盗団の話題を取り上げるという感じだ。創作物でしか見ないような予告状に、有名人の突然の謝罪会見……こんなセンセーショナルな事件をマスコミが取り上げない訳が無い。こんな事件が続けば一般市民のエンタメ感覚でこの事件に興味を持ち、マスコミの報道がより過熱していくに違いない。警察としては報道規制をかけたりなんだりと……ただでさえ疲弊しているのに、仕事が増えるのは勘弁して欲しい。
「怪盗団、かぁ」
「おねーさん、怪盗団に興味あるんスか?」
「ちょ!竜司っ!」
思ったよりも独り言が大きかったのか、高校生グループの一人、金髪の男の子がワクワクとした表情で声を掛けてきた。高校生は流行りに敏感だからだろうか、こういうモノの評判を知りたいのかもしれない。
「あれ、君のその制服……もしかして秀尽学園?」
「そっす」
「あー……だからか。君たちの学校も怪盗団騒ぎで大変だったもんね」
「知ってるんですか?」
「まぁ、捜査に参加させられたし」
「え?」
「は?」
「…………あ」
気が緩んでいたせいなのか、ブロンド髪の女の子の質問にするっと答えてしまった。警察には捜査上の情報を漏らさないよう、守秘義務があるけれど……言ってしまった事はもうしょうがない。高校生達は私の一言に、ポカンとした顔をしたままだ。
「おねーさんってケーサツの人?」
「ん…まぁそうね」
「……学校で全部話しましたけど、まだ何か聞きたい事でもあるんですか?」
「えっ?いやいや!今日はただ、マスターのカレーとコーヒーを堪能しに来ただけ!」
ボブヘアの聡明そうな女の子に厳しい目線を向けられ、少したじろぎながらプライベートで来ている旨を伝える。にしても、彼女の顔どこかで見たような……。
少しピリリとした空気のなか、目の前にカレーとコーヒーが置かれた。
「おまちどうさま」
「ありがとうございます。…いただきます」
気まずい空気感から逃げるようにカレーを堪能する。相変わらずの美味しさに、思わず笑みがこぼれた。
「お前ら、あんまりお客さんを困らせるなよ」
「……すみません」
「大丈夫だよ。……まぁ、あんな事あったし、また事情聴取されるのか警戒しちゃうよね」
黒縁眼鏡の子の謝罪を受けた後は、しばらく無言でカレーを食べ進める。途中、コーヒーを飲み終わり食後に飲む分が無くなってしまうと、「あいつらが迷惑掛けた詫びだ」とマスターがおかわりを淹れてくれた。
食後のコーヒーを堪能していると、テレビはお天気キャスターを映し、この後すぐに雨が降るとの予想を告げる。すぐに帰りたいとは思ったが、せっかく淹れてくれたコーヒーはまだ残っているし、折りたたみ傘が鞄にある事を思い出してのんびりと居座ることにした。
「……これから雨か。悪ぃな嬢ちゃん。ちょっと家行って洗濯物しまってくるわ。帰る時は、そこの眼鏡のボウズに声掛けてくれ」
「わかりました」
あの眼鏡の子はここのアルバイトだったのか。マスターはエプロンを脱ぎ、足早にお店を出ていった。すると、金髪の子が、好奇心を抑えられない様子でこちらを見てる事に気付いた。ブロンド髪の子がそんな彼の態度を、またもたしなめる声がする。
「……もしかして、怪盗団事件が気になる?」
「捜査とかどんな感じかなーって!」
「あー、捜査で得た情報とかは言っちゃいけないんだよね。だから、テレビで話されてる事以上の事は言えなんだ」
「……んじゃあ、おねーさんは怪盗団居ると思う?」
「うーん、そうねぇ……。あくまで警察としてじゃなく、私個人の意見としてだけど、いる、のかも……というか、いて欲しいかな」
「いて欲しい……とは、どうしてです?」
今まで静観していた長身で濃紺の髪をした男の子が、私の意見に興味を持ったのか興味深そうに私に問うた。――確か、あの子は斑目事件の時の捜査資料で見た子だ。
「警察は国の組織である以上、法や規則に則って行動しなきゃいけない。でも世の中には悪知恵を働かせて、警察や法の目を掻い潜って犯罪を犯してる輩がたくさんいるでしょ。……法や規則、それに……上の命令に縛られることなく悪人に自白させられる術を持った怪盗団がいたら……」
そう、そんな人たちがいたらきっと……きっと先輩も奥さんを殺した犯人を捕まえられた。彼の情熱は犯人を追い詰める事が出来るほどのものだった。私も私なりに先輩の力になりたくて犯人検挙の為に頑張ってみたけど、どうにもならなくて――
「あの…」
黒縁眼鏡の子に声をかけられハッとする。いつの間にか指先が白くなるほど力強く握り込んでいた手を、ゆっくりと開いた。
「ごめんごめん。まぁ、私個人としては世の中の悪人が減るのは嬉しいからいて欲しいかな。……でも、怪盗団自体は好きじゃなくて」
「そりゃあ……警察にとっては捕まえるべき犯罪者、ですもんね」
「あー……そうじゃなくて、超個人的な理由で。……全部潰されてるんだよね」
「潰されてるって何をですか?」
「有給休暇」
きょとんとした顔でこちらを見る女の子たち。たぶん、想定してた回答とは違ったせいだろう。
「いやあ、社会人になるとね、休みが貴重だったりするんだよ。そんな貴重な休みが、やれ予告状やら、やれ自白やらで今まで潰れてさぁ」
「あはは……」
「結局、休めずに連勤。事後処理やらなんやらでやっと今日、半休取れたんだよね」
「……大変、ですね」
乾いた笑い声を漏らす金髪の子と、眉を顰める濃紺髪の子。こんな個人的な事情話されても困るだろうから、当然の反応だ。けど、皆目を伏せてバツの悪そうな顔をしている。なんでだろう。
休日潰れた事を思い出したら腹が立って来たので、心を落ち着ける為にぐいっとコーヒーを飲む。……ちょっともったいない飲み方したな。
「次の休日は……いつなんですか?」
「え?……あー、」
眼鏡に反射して目元が見えず表情が伺えないが、心なしか緊張した声色で問われる。
「8日後に有給取ってるね。気分をリフレッシュさせるのにちょっと小旅行したくなってさ」
「「「「…………8日後」」」」
「……さて、私はそろそろ帰ろうかな。お会計よろしく少年」
「あ、はい」
レジカウンターで会計を済まし、ドアの外に目を向ける。幸い、まだ雨は降っていないようだ。ドアノブに手をかけ、私は彼らを振り返った。
「私の次の休日が潰れないよう、君たちも祈ってくれると嬉しいな」
来た時のように、ドアベルの軽やかな音が店内響くを背中で聴きながら、私はルブランを後にした。
※ ※ ※
「なぁ、リーダー……」
警察官の女性が出ていったドアを見つめながら、金髪の少年が話し出す。
「金城に予告状出す予定の日って確か――」
「8日後だな」
「だよなぁ……」
「できれば、お姉さんに小旅行行って欲しいけど……」
「準備だったり個人の予定があったりで、私達もその日しか予告状出せないものね……」
「彼女には申し訳ないが、仕事に励んでしてもらうしかないな」
「あまり励まれてもワガハイ達が困るケドな……」
雨雲が空を覆い薄暗くなった店内では、5人の高校生と1匹の猫が彼女の未来を憐れんでいた。
―――― 一人の警察官が嘆くまで後8日
―――――――
2025/06/20