デフォルトで「名もなき ななし」になります。
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ペルソナ5主人公の名前
デフォルトで「雨宮 蓮」になります。
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喜多川祐介は今日も渋谷駅にいた。
その青紫色の双眼は大衆を見つめながらも、その実、自身の内面を見つめ直す為に。俺に足りないものはなんだ。見えていないものはなんだ。何がいけない。何が――。
「やあ、祐介」
思考の海に沈んだ意識がその一言で引き戻される。そこには巷で噂の"心の怪盗団"のリーダーである、雨宮 蓮が立っていた。
「ああ、蓮か。……取引に来たのか?」
「いや、今日は祐介と過ごそうと思って。」
「ふふ、お前は暇なんだな。」
別に暇って訳じゃないんだけど、思いながら蓮は前髪をいじる。
「今日もどこかスケッチしに行く?」
「いや。今日は、そうだな……」
普段、割と率直に意見を言う祐介が言い淀む。蓮は珍しいな、と思いながら彼が何か言うのを待った。
「メメントスへ行きたいんだが。……色々と入り用でな、資金を稼ぎたい。」
「わかった。二人だけだから、今回も浅い階層を周ろう」
「ああ。宜しく頼む。」
※※※
蓮 と祐介 は集合的無意識領域 に降り立った。次々と現れるシャドウと対峙し、着々と金品を巻き上げていく。
蓮はスケッチもせず黙々とシャドウを探して歩く祐介に、暇つぶしがてら理由を聞く。
「新しい画集や画材が必要になった?」
「いや。画集は先週買ったし、画材も今は手元に十分あるな。」
「じゃあ、食費?」
「食費は常にピンチではあるが、今日はその為じゃない。」
えっ?珍しく蓮が困惑する。絵に関するものでも、生活費でもないなんてあるのか、と。そうなると、交際費辺りだろうか?もしかして――
「彼女でも出来た?」
「いいや。あの人は俺にとっての救世主 だ。」
「……は?メシア?」
「――そう、だ。」
祐介の口から思いもよらぬ単語が発せられ蓮は怪訝とするが、祐介は祐介で思わず口にしてしまった言葉に内心動揺していた。別に彼女のことを隠す必要はないが、わざわざ言うことも無いと考えていたからだ。
しかし、口にした言葉を無かったことにはできない。祐介は蓮に彼女 との出会いを語った。
「以前、腹を空かせて倒れたところを救ってくれた慈悲深い女性がいてな。」
「あぁ、だから"救世主 "か。」
「彼女に礼を、と思ったんだが、交通費すらままならない状態で……。」
なるほど、と蓮は納得する。祐介が珍しく黙々とシャドウを屠り、宝箱を開けていく理由がわかった。
「それに、慈愛の心を持った彼女と関わっていけば、愛とは何か、人の心とは何かを掴めるような気がしてな。いずれモデルをお願いする為にも、まずきちんとした形で礼をしたい。」
その女性について語る祐介の表情は、ルブランに飾られている『サユリ』を見ている時のようだと蓮は思った。穏やかさのなかにも、焦がれるようなその表情。彼女 を思い出しながら浮かべるその表情は、本当にモデルにしたいというだけの感情だろうか。
「それって、一目惚れってこと?」
「――えっ?!」
祐介が驚きながら蓮を凝視する。その瞳には、困惑や動揺の色がとって見えた。
「お礼だけじゃなく、その人と今後も関わりたいって思っているんだよな?何か特別な感情があるんじゃないかと思ったんだけど、違う?」
「いや。俺は、彼女が俺の絵のヒントをくれる存在だと、しか……。」
そう言って祐介は自身の中で名もなき ななしという存在が自分にとってどういうものなのか、口に出し納得させようとするも、どうも上手くいかないようだった。杏の時と同じように、絵のモデルになってもらう為に繋がりを持った、それだけのはずなのに。
祐介は考え込んで動かない。もう、資金も十分であるし潮時だろうと判断し蓮は声を掛ける。
「フォックス、もうそろそろ引き上げよう。」
「……承知した。」
※※※
「ところで、具体的にどういう風に礼をしたら良いだろうか。」
「え、考えてなかったのか?」
「女性へ贈り物などした事がないしな。」
うーんと蓮は顎に手を当て考える。女性が喜びそうなものは幾つか思い当たるが、彼女 のことを何も知らないので何とも言えない。
「彼女の好きなものとかは?」
「じゃがりこを食べていたな。」
「お礼にじゃがりこはちょっと……。」
「俺は嬉しいが?」
「……他に何かないのか?」
「他には……あ。」
何かを思い出したのか、祐介が声をあげる。
「スマホの待ち受けが、画集から撮った絵画だったな。」
「画集を買うくらいなら絵画展とか好きそうだし、そういうの誘ってみたらどう?」
「なるほど!早速チケットを購入しよう!」
嬉しそうにスマホを操作し絵画展の情報を検索する祐介を見て、蓮は彼の中の名前のない感情が、もうすぐ形づいていくのだろうと予感した。
――――――
2025/3/14
その青紫色の双眼は大衆を見つめながらも、その実、自身の内面を見つめ直す為に。俺に足りないものはなんだ。見えていないものはなんだ。何がいけない。何が――。
「やあ、祐介」
思考の海に沈んだ意識がその一言で引き戻される。そこには巷で噂の"心の怪盗団"のリーダーである、雨宮 蓮が立っていた。
「ああ、蓮か。……取引に来たのか?」
「いや、今日は祐介と過ごそうと思って。」
「ふふ、お前は暇なんだな。」
別に暇って訳じゃないんだけど、思いながら蓮は前髪をいじる。
「今日もどこかスケッチしに行く?」
「いや。今日は、そうだな……」
普段、割と率直に意見を言う祐介が言い淀む。蓮は珍しいな、と思いながら彼が何か言うのを待った。
「メメントスへ行きたいんだが。……色々と入り用でな、資金を稼ぎたい。」
「わかった。二人だけだから、今回も浅い階層を周ろう」
「ああ。宜しく頼む。」
※※※
蓮はスケッチもせず黙々とシャドウを探して歩く祐介に、暇つぶしがてら理由を聞く。
「新しい画集や画材が必要になった?」
「いや。画集は先週買ったし、画材も今は手元に十分あるな。」
「じゃあ、食費?」
「食費は常にピンチではあるが、今日はその為じゃない。」
えっ?珍しく蓮が困惑する。絵に関するものでも、生活費でもないなんてあるのか、と。そうなると、交際費辺りだろうか?もしかして――
「彼女でも出来た?」
「いいや。あの人は俺にとっての
「……は?メシア?」
「――そう、だ。」
祐介の口から思いもよらぬ単語が発せられ蓮は怪訝とするが、祐介は祐介で思わず口にしてしまった言葉に内心動揺していた。別に彼女のことを隠す必要はないが、わざわざ言うことも無いと考えていたからだ。
しかし、口にした言葉を無かったことにはできない。祐介は蓮に
「以前、腹を空かせて倒れたところを救ってくれた慈悲深い女性がいてな。」
「あぁ、だから"
「彼女に礼を、と思ったんだが、交通費すらままならない状態で……。」
なるほど、と蓮は納得する。祐介が珍しく黙々とシャドウを屠り、宝箱を開けていく理由がわかった。
「それに、慈愛の心を持った彼女と関わっていけば、愛とは何か、人の心とは何かを掴めるような気がしてな。いずれモデルをお願いする為にも、まずきちんとした形で礼をしたい。」
その女性について語る祐介の表情は、ルブランに飾られている『サユリ』を見ている時のようだと蓮は思った。穏やかさのなかにも、焦がれるようなその表情。
「それって、一目惚れってこと?」
「――えっ?!」
祐介が驚きながら蓮を凝視する。その瞳には、困惑や動揺の色がとって見えた。
「お礼だけじゃなく、その人と今後も関わりたいって思っているんだよな?何か特別な感情があるんじゃないかと思ったんだけど、違う?」
「いや。俺は、彼女が俺の絵のヒントをくれる存在だと、しか……。」
そう言って祐介は自身の中で名もなき ななしという存在が自分にとってどういうものなのか、口に出し納得させようとするも、どうも上手くいかないようだった。杏の時と同じように、絵のモデルになってもらう為に繋がりを持った、それだけのはずなのに。
祐介は考え込んで動かない。もう、資金も十分であるし潮時だろうと判断し蓮は声を掛ける。
「フォックス、もうそろそろ引き上げよう。」
「……承知した。」
※※※
「ところで、具体的にどういう風に礼をしたら良いだろうか。」
「え、考えてなかったのか?」
「女性へ贈り物などした事がないしな。」
うーんと蓮は顎に手を当て考える。女性が喜びそうなものは幾つか思い当たるが、
「彼女の好きなものとかは?」
「じゃがりこを食べていたな。」
「お礼にじゃがりこはちょっと……。」
「俺は嬉しいが?」
「……他に何かないのか?」
「他には……あ。」
何かを思い出したのか、祐介が声をあげる。
「スマホの待ち受けが、画集から撮った絵画だったな。」
「画集を買うくらいなら絵画展とか好きそうだし、そういうの誘ってみたらどう?」
「なるほど!早速チケットを購入しよう!」
嬉しそうにスマホを操作し絵画展の情報を検索する祐介を見て、蓮は彼の中の名前のない感情が、もうすぐ形づいていくのだろうと予感した。
――――――
2025/3/14
