本編
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「明日、運動会の予行練習があるので、救護要員として来なさい。…あぁ、身体的な救護要員は間に合ってるので、精神的に癒えるモノを持ってきておいてくださいね。」
と、不可解なことを言われたのが昨日。
いつものように手回しの早い鬼灯さまは私の上司の許可を取っていて、それを口実に要件を断ることができなかった。
…というか運動会にナゼ"精神的な癒し"が必要なの?
あの鬼灯さまのコトだから、きっとドSなことを考えているに違いない。(アメとムチとかなんとかとも言ってたし……)
………逃げ出したい。
でも、逃げ出したらきっと、鬼灯さまのきっつーいお仕置きが待っているに違いない。
あの大きな金棒をフンフンと振り回す鬼灯さまのビジョンを浮かべ、渋々わたしは運動会会場へと向かう。
先日立った"下僕フラグ"(?)とやらを早速回収してる気がしないでもない。
「あ、ななしちゃん~!こっちこっち!」
『こんにちは白澤さま、桃太郎さん。』
「こんにちは。ななしさん」
「ななしちゃんも救護班なんだねぇ。」
そう言って、ニコニコ嬉しそうにする白澤さま。
白澤さまの激しいスキンシップが苦手なのでいつもは近づかないのだけれども、今日はさすがの白澤さまもTPOをわきまえるだろうと白澤さまが引いた椅子に座る。
『毎年、地獄で運動会ってされてるんですか?』
「そっか、ななしちゃんも桃タロー君と一緒で知らなかったのか。そうだよ、毎年やってる。…だけど、今年はあのバカが妙な趣向を凝らしたせいで変なコトになってるんだよね。」
『変なコト?』
「玉入れの玉がフンコロガシのフンとか、借り物競走が精神的にくるものだったりするんですよ……。」
そう、ゲッソリとして桃太郎さんが答える。
ん?"精神的にくる"?
『あ、だから精神的な癒しを持って来いって言ってたんですね。』
「え?なになに、またアイツにいいように使われちゃったワケ?
ボクはななしちゃんがいれば精神的に癒されまくっちゃうけどな~!」
そう言って肩に手を回す白澤さま…あわわ、ここ野外で人もいるのに…っ
「そこの万年発情ヤロー。そんなことしてる暇あったら仕事してください。あと、ななしさん精神的に救護が必要な人が来ています。」
いつの間にか近くに来ていた鬼灯さまにそう言われると、白澤さまは舌打ちしながらも離れてくれた。た、助かった。
ホッとしていると、なんだか妙に疲れた顔をした人たちが私の元へとやってきた。
これは仕事をしなくては!
『皆さんに精神的に癒されていただきたいとおもって、コレを持ってきました!』
そう言って、ドンッと金魚草の植えられた鉢を並べる。
アニマルセラピーならぬ、金魚草セラピーです!そう言ってから、金魚草の泣き声を皆さんに聞かせてあげたのだけれど…
『あ、あれ?来たときよりもなんだか皆グッタリしてる……?』
「……ななしさん……」
「ななしちゃんって、時々恐ろしいほど天然だよね。」
「さすが、私が見込んだだけのことはありますね。こういう時だけはいい仕事をします。本番もこの調子でお願いしますね。」
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なんだか、鬼灯さまに褒められ…たのかな??
2014/10/10
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