本編
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「と、いうわけで。これから私が忙しいときはよろしくお願いしますね。
貴女の上司の許可は取ってありますから。」
「え…まじですか。」
久しぶりに鬼灯さまとお会いしたと思ったら、とんでもないことを言われてしまった。
私がここ、警察で働くようになったのは約ウン百年前。
当時、獄卒だった私は地獄での就職先を探していた。
だけどそんな時、今の上司の義経さまにお会いし、話していくうちに親密になり、
気に入られて、僧正坊さまに私を部下として採用するよう進言してくださり今に至る。
義経さまは人間だし、私は普通の鬼なので機動力は烏天狗たちに劣っているけれども、
彼は対策を練り、私は書類作成やもろもろの準備等を行い、事件解決に貢献している。
今回は、伊右衛門事件の後処理に私は駆り出されていた。
なぜ後処理なのか、それは…
「お久しぶりですね。ななしさん。」
そう、この声の主…閻魔大王補佐の鬼灯さまが事件を解決して下さったから。
というか、警察関係者でない人が事件を解決って、どこぞの2時間ドラマみたい。
「お久しぶりです、鬼灯さま。意外に再会まで時間が掛かってしまいましたね。」
「そうですね…。閻魔のヤツは仕事をしないものですから…。」
ふう…と息を吐き、眉間に皺を寄せる鬼灯さま。
やっぱり、閻魔大王さまの補佐となると、仕事量も多いんだろう。
「お忙しいところ、今回は犯人逮捕のご協力ありがとうございました。おかげで、とても早く事件が解決したと義経さまも仰っていましたよ。」
「いえ…。少し私怨も晴らせてもらいましたから。」
「私怨?」
「こちらの話です。…それはそうと、貴女に伝えたいことがありまして。」
そういって、改まる鬼灯さま。いったいなんの話だろうか?
「何でしょうか?」
「実は、最近仕事が多忙になってしまって、金魚草の世話も難しいときがあるんです。」
「え!?でも、私…鬼灯さまみたいに仕事をこなす自信ありませんし…。」
「誰が私の仕事を手伝えと言いましたか。貴女にできないことはわかってますから。」
グサァァッと心に何かが刺さるような音を聴いた…
がっくりとうなだれる私に、鬼灯さまは話を続ける。
「そこで、私が多忙なときの金魚草の世話係を任せようと思いまして。」
「え?金魚草の世話ですか?」
「それなら貴女にもできるでしょう?
…と、いうわけで。これから私が忙しいときはよろしくお願いしますね。
貴女の上司の許可は取ってありますから。」
「え…まじですか。」
私の意志は関係なく、周りでいろいろと話が進んでいたらしい。
鬼灯さまと別れたあと、義経さまに問いただしてみたところ、
EU地獄のサタン様の講習会特別招待券と引き換えに…とのことらしい。
義経さまがムキムキマッチョに憧れて、講習会に行きたかった気持ちもわかるし、
きっと鬼灯さまのことだから圧力もかけられてこの結果になったのだろうから義経さまを責める気はないけれど。
数百年ぶりに、明日からはいつもとは違う日が始まりそうだ。
――――――――――――――――――――
…って、もう早速明日呼び出しメールきてるよ!
2012/7/21