本編
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今日は久しぶりの非番の日。
金魚草に上げる餌(?)の薬草を購入しに、桃源郷の白鐸の元へ向かう。
結局あれから2ヶ月、鬼灯さまに会うことはなかった。
多分、仕事が忙しいのだろう。何しろ閻魔大王さまの第一補佐官なのだから。
金魚草についてもっとお話したいのに、少し残念―
しばらく歩いていくと、目的地が見えてきた。
極楽満月はもうすぐだ。
「…ん?」
極楽満月の前にある桃農園で、見たことのない人物を見つけた。
な、なんというか…大変古風で見目麗しい…
「……全部声にでてますよ。」
「えっ?あぁ!すみません!」
そういって、猛烈な勢いで頭を何度も謝る。
もういいですよ、と少々引き気味にその男性に言われてしまった。
見かけによらず、とてもいい人なのかも(失礼)
「本当にすみませんでした…。えと…」
「あぁ、ボクは桃太郎といいます。鬼灯さまに仕事を紹介してもらって、ここで働いているんです。」
「そうなんですか。私はななしといいます。あの、白鐸さまは今いらっしゃいますか?」
「はい。極楽満月の奥の部屋で、薬草を煎じてますよ。」
「わかりました。ありがとうございます、桃太郎さん。」
言いつけられた仕事があるから、案内できなくてすみません…と桃太郎さんはいってすまなそうにしていた。
やっぱり、見かけによらずとてもいい人みたい。(失礼)
桃太郎さんと別れ、一人で極楽満月に入る。
「待ってたよ、ななしちゃん!」
がばっという効果音付きで、私に抱きついてくる白鐸さま。
毎度毎度のことなので仕方ないと諦め気味だけども…
やっぱり男性に抱きつかれると言うのは…恥ずかしい…
「あれ?ななしちゃんったら顔が真っ赤だよ!かわいいなぁ~。」
「は…白鐸さまっ!あの、いつもの薬草をっ…」
「はいはい。奥から持ってくるからちょっと待っててね~。」
白鐸さまは私から離れ、奥に薬草を取りに行く。
…抱きつかれただけで、顔を真っ赤にして声まで上ずらせちゃって…
だから白鐸さまに「かわいい」だなんてからかわれちゃうんだ私…
「ななしちゃんが可愛いから可愛いって言ってるんだよ。からかってないって~。」
そういって、ニコニコと奥から白鐸さまが薬草を持って出てきた。
しまった、また声に出しちゃった…
気まずさも相まって、急いで代金を払うために財布から必要な分を出そうとした…けど…
「足りない…!」
家を出るときにちゃんと財布を確認すればよかった。
往復するには時間がないし、後日また来るにもいつ非番になるかわからないし…
私がどうしようか考えあぐねていると、そうだ!と白鐸さまは声を上げる。
「代金足りない分は、ボクにキスって事でチャラにしてあげるよ。」
満面の笑顔でそう言い放つ白鐸さま。
あまりの発言に固まった一瞬、白鐸さまの右手が私の顎を捉え…唇が触れ合う。
あわてて押し返そうとしたけれども、彼の両手が私の腰と顎を捉えて離さない。
「…んっ…」
私が苦しそうに声を出すと、やっと白鐸さまが離れる。
と、思ったら私の耳元に唇を近づけて囁く。
「やっぱりななしちゃんは可愛いね。…今夜も一緒に過ごしてくれるならタダにしてあげるよ?」
「~~!!結構です!!」
白鐸さまはこれ以上言うとマズイと感じたのか、素直に離れ出口の扉を開ける。
半ば私はヤケになりながら、走って極楽満月を出る。
後ろから、また来てね~!なんて白鐸さまの声が聞こえるけれど、今日は無視をすることにした。
顔を真っ赤にして、必死に走る姿をみて桃太郎さんは首をかしげているのが見えた。
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次はどんな顔をして会えばいいのかしら…
2012/6/4