本編
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「すばらしい金魚草ですね。ななしさんが優勝です。」
彼に初めてかけられた言葉がこれだった。
鬼灯さま。
閻魔大王さまの第一補佐官。
そして、金魚草の開発者でコンテストの審査員。
私は、第一補佐官というよりも、
金魚草の開発者としての鬼灯さまに憧れている。
最初は気持ち悪いと思っていた金魚草も、
慣れてしまえばかわいいもので…
気がついたら、金魚草のトリコになっていた。
それからというもの、私は金魚草の世話を甲斐甲斐しく続け
大会で優勝するまでになってしまった。
「なってしまった。」ではないか…。
鬼灯さまに認めてもらいたくて頑張ったのだから。
「ありがとうございます。鬼灯さま。」
ペコリ、と頭を下げつつお礼を言う。
「特に貴女の金魚草は、泣きの演技はいまいちですが目の澄み具合がすばらしいですね。」
「あ、はい!それは餌に特別な薬草を…」
金魚草談義が終わったころには、もう周りには誰もいなくなっていた。
日が翳り、夜が近づいていることを空が告げる。
「もうこんなに時間が経っていたのですか。
では、私はこれで失礼します。閻魔のヤツにカツを入れなくてはならないので。」
「はい。では、また次の大会で。」
「…案外ななしさんとは近いうちにまた会うかもしれませんね。」
「鬼灯さま…なんだか白鐸さまみたい
「ですね?」と続ける前に、近くの柱からドガアァ!!!と音がした。
見ると、柱が鬼灯さまの一撃で激しく抉れている。
「すみません…。アイツの名前を聞くだけでバルスな気分になるもので。」
えぇ!?ジ○リマニア!?と思っているうちに、鬼灯さまが言葉を紡ぐ
「別に貴女なんかをナンパしてるわけではありません。ただ、近いうちに警察に赴く用事があるかもしれないということです。」
あぁ…そういうことですか。と納得しつつ、『貴女なんか』と言われたことに少し傷付く。
「では、また。」
「…はい、今日はありがとうございました。」
憧れの鬼灯さまに話せたのはいいけど、噂に聞くSっぷりだったな。
次回の大会では、泣きの演技をもっと頑張ろう。
そういえば、なぜ私が警察勤務だってことを知っていたんだろう?
そんなことを思いながら、自宅に向かった。
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あぁ、壊れた柱の修理代はどうするんだろう?
2012/6/12
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