承太郎vs花京院
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今週は承太郎との擬似恋人の週。
今日は学校が休みなので、水族館に来ていた。
典明と違って承太郎と二人きりだとなんだか緊張してしまうのは、前回のキス未遂があったからなのか、はたまた彼の雰囲気がそうさせるのか…。
彼の大人っぽさを目の当たりにすると、私が子供っぽく感じ隣に並ぶのが恥ずかしく思うこともあり、もしこのまま本当の恋人になったとしても釣り合わないんじゃあないかとちょっと不安になる。
そんな事を考えてながら入館し、ふと承太郎の顔を見てみると、(本当にわずかな変化であるが)少年の様に瞳をキラキラと輝かせている。
承太郎ってこんな表情もするんだ…と思っていると、優しく手を引かれ最初の展示の前へと進んだ。
目の前に現れた大きな水槽の中を回遊していた斑点のあるエイを、私はじっと見つめる。
「ななし、これはツバクロエイといって――」
ザ・ムーン戦で承太郎がフジツボに襲われたときの、典明のフジツボの説明と同等かそれ以上の知識を披露する承太郎に驚いたが、わかりやすく説明してくれる承太郎の心地良い声にしばし耳を傾けた。
『承太郎って、魚好きなんだね。知らなかった。』
「…将来は海洋学者になろうと思ってる。」
そう言って、帽子のつばを下に下げた承太郎。
人に夢を語る事があまりないのか照れているみたいで、その様子が可愛くって思わず笑う。
年相応に瞳をキラキラさせたり、夢を語って照れる彼は以前よりも身近に感じた。
「……次行くぞ。」
時々、承太郎に魚の説明をしてもらいながら見て回っていると、彼が一つの展示の前で足を止めた。
彼はヒトデに魅入られたかのように、じっと動かずに星型のそれを見つめる。
何分待っただろうか。私がいるのを忘れたかのように、ヒトデを見続ける彼。
擬似ではあるが恋人である私を放っておく彼に、私はとうとう痺れを切らしてしまった。
『…そんなにヒトデが好きなら、ヒトデを彼女にすればいいじゃん…。』
小さな囁き声にも関わらず、その言葉はしっかりと承太郎の耳に届いたらしく、顔を私の方に向けた。
自分がそんな子供っぽい台詞を吐くとは思わず、恥ずかしくなって承太郎から距離を置こうとすると、彼が不意に私に近づく。
驚いて承太郎をみると――
ふと影が落ち――
唇には温かな感覚――
そして、吐息混じりに耳元で囁かれた言葉――
「俺は」
「お前が欲しい」
2017/3/6