承太郎vs花京院
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「今週末は、隣町で評判のカフェに行こうか。」
そこの、チェリーパイが絶品らしいよ。
そう、微笑みながら言う典明。
今週はまた、典明と擬似恋人となる。
最初の一週間は、色々と慣れないらかデートらしいことは全くしなかった。
さすが、チェリー好きの彼のことだけはあって、デート場所もチェリーパイが美味しいところときた。
彼にとって、メインはチェリーなのか私とのデートなのか…。
お店についた私たちは、それぞれ思い思いのケーキを注文する。
典明はもちろんチェリーパイ。
私は甘さを控えたフルーツケーキを注文することにした。
「日本でチェリーパイが大ブームになったのは、
アメリカの"ツイン・ピークス"っていうドラマが流行ったからなんだ。」
典明はチェリーに関する雑学を次から次へと述べる。
私はときどき相槌を入れながら、彼の豊富な雑学に耳を傾けた。
話の区切りがついたところで、彼はチェリーパイを口へと運ぶ。
チェリーパイの美味しさに舌鼓をうつ彼は、本当に幸せそうだ。
……これって、デートと言えるのかしら……
まるで、"チェリー"のコトしか考えてないじゃない……
本当の恋人になったわけでもないのに、何故か妬けてしまう。
「……ななし?」
私の心情が顔に出ていたのだろうか、典明は話を止め心配そうな瞳で見つめてきた。
「すまない……こんな話してもつまらなかったね」
『そんなことなかったけど?』
「ふふ…思いっきり顔に描いてあるよ。"ほったらかしにしないで"ってね」
典明はさっきの表情とは打って変わって、クスクスと笑う。
…なんだかちょっと悔しいような、恥ずかしいような。
「ちょっと舞い上がってしまったんだ…なにしろ、初めてのデートだし、ね」
そう言って、今度は照れた表情を見せた彼。
こっちまでつられて照れそうになるので、慌ててケーキを一口含むと、フルーツの甘酸っぱい味が口いっぱいに広がる。まるで、今の感情を体現しているかのよう…
「キミに出会えて僕は幸せなんだ。」
やわらかく微笑む彼。
「数ヶ月前のあの辛かった旅も、君がいたから耐えられた。
いま、この幸せな時間があるのもななし、君がいるからこそなんだ。だから…」
『だから?』
典明が私の瞳をまっすぐ見る。
「だから、最後は僕を選んでくれると嬉しい」
『っ!!』
不意の告白に、私の体中の熱が顔に集まるのを感じた。
言葉を発せず目線をキョロキョロ泳がせていると、それと…と彼。
「その、フルーツケーキのチェリーもらってもいいかな?」
その言葉が本気なのか、わざとなのかはわからないけれど
私を微笑ませてくれたコトにはかわりなかった。
2015/4/19
2018/10/14 改訂