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思いもよらぬサンジの帰還にリタは青ざめた。
(あの歩き煙草野郎、こいつらの仲間だったのか!)
ナミの前にカモにした男の登場に、その時ばかりは驚きを隠せない。
「あらサンジ君、お帰りなさい!」
「……どうしたのかしら? ちょっと元気がないんじゃない?」
ナミとロビンの言葉にデレデレしながらも「いやぁ……」と曖昧にお茶を濁したところでサンジがリタの存在に気づく。
「……! なんてクールビューティーなお姉様なんだ! しかし、何がどうしてこんな麗しいお姉様が縛られているんだ? ゾロテメェ、ことと次第によっちゃオロすぞ!」
リタは誰にも気づかれないようにそっと溜息を突いた。こういう有事に備え、盗みを終える度に雰囲気を変えているのだ。髪型は先ほどとは掛け離れたものだし、リップひとつでも所謂「女の印象」は様変わりする。こいつから掏ったときに着ていたワンピースも、今やシャツのように予め着込んでいたズボンにインして、多少なりとも見目は変わっているはずだ。
ガッツリメイクや靴を変えていなかったことが悔やまれるが……この男が一般の審美眼であることを願おう。
「あぁサンジ君、私が縛ったのよ。この子、私の財布盗もうとして……まぁ、盗まれなかったけど代わりに捕縛してきたってわけ!」
「……財布? 盗む?」
おーおー、これは雲行きが怪しいぞ。リタの前に跪いて顔を覗きこんでくるサンジに、冷や汗が垂れる。
これは先にバラしてしまった方が良いか。
「……ごめんなさい、お兄さん。これはお返ししますから、どうか見逃していただけないでしょうか?」
そう言って、リタは自身の身体を揺らし、隠し持っていた財布を前方に落とした。
「……! これはおれの財布!」
「はは、傑作だな! なんだ眉毛、お前こいつにまんまとスられたのか!」
「ウルセェクソまりも! いいんだよこんな麗しい女性になら金くらいいくらでも貢いでやらァ!」
後ろで「ふざけんな!」とナミが叫んでいる。
「それにしても先ほどのキューティーちゃんとは驚いた……確かによく見てみればそうだが、こうも、印象、が……」
唯一自分の変装を知るサンジが驚くように声をあげて。
リタとサンジの視線が交錯する。
締まりのない顔はそれは漫画みたいな崩れようだが、こうして真剣な顔をしていればなかなか整ったツラしてやがる。
そんなふうにリタが感じたそのほんの一瞬後だ、サンジが縛られたリタの胸ぐらを掴み、吊り上げたたのは。
「え、ちょ、サンジくん!?」
女には甘すぎるほど紳士。常ならぬサンジの行動に、ナミやロビンだけでなくゾロですら瞠目した。
「げほっ……何するんですか?」
サンジほどの上背はないリタの縛られた両足は、甲板には届かない。
宙吊りにされたリタの上目遣いにも弱々しい声にも目もくれず、サンジは怒りのままに叫んだ。
「……てめえ! 他の奴らはしらねぇが、このおれは騙されねぇ!
間違いねぇ……お前、男だな!」
(変装を見破られたことはあっても、これまで正体を破られたことは)
(今度こそ、リタは色を失った)
(あの歩き煙草野郎、こいつらの仲間だったのか!)
ナミの前にカモにした男の登場に、その時ばかりは驚きを隠せない。
「あらサンジ君、お帰りなさい!」
「……どうしたのかしら? ちょっと元気がないんじゃない?」
ナミとロビンの言葉にデレデレしながらも「いやぁ……」と曖昧にお茶を濁したところでサンジがリタの存在に気づく。
「……! なんてクールビューティーなお姉様なんだ! しかし、何がどうしてこんな麗しいお姉様が縛られているんだ? ゾロテメェ、ことと次第によっちゃオロすぞ!」
リタは誰にも気づかれないようにそっと溜息を突いた。こういう有事に備え、盗みを終える度に雰囲気を変えているのだ。髪型は先ほどとは掛け離れたものだし、リップひとつでも所謂「女の印象」は様変わりする。こいつから掏ったときに着ていたワンピースも、今やシャツのように予め着込んでいたズボンにインして、多少なりとも見目は変わっているはずだ。
ガッツリメイクや靴を変えていなかったことが悔やまれるが……この男が一般の審美眼であることを願おう。
「あぁサンジ君、私が縛ったのよ。この子、私の財布盗もうとして……まぁ、盗まれなかったけど代わりに捕縛してきたってわけ!」
「……財布? 盗む?」
おーおー、これは雲行きが怪しいぞ。リタの前に跪いて顔を覗きこんでくるサンジに、冷や汗が垂れる。
これは先にバラしてしまった方が良いか。
「……ごめんなさい、お兄さん。これはお返ししますから、どうか見逃していただけないでしょうか?」
そう言って、リタは自身の身体を揺らし、隠し持っていた財布を前方に落とした。
「……! これはおれの財布!」
「はは、傑作だな! なんだ眉毛、お前こいつにまんまとスられたのか!」
「ウルセェクソまりも! いいんだよこんな麗しい女性になら金くらいいくらでも貢いでやらァ!」
後ろで「ふざけんな!」とナミが叫んでいる。
「それにしても先ほどのキューティーちゃんとは驚いた……確かによく見てみればそうだが、こうも、印象、が……」
唯一自分の変装を知るサンジが驚くように声をあげて。
リタとサンジの視線が交錯する。
締まりのない顔はそれは漫画みたいな崩れようだが、こうして真剣な顔をしていればなかなか整ったツラしてやがる。
そんなふうにリタが感じたそのほんの一瞬後だ、サンジが縛られたリタの胸ぐらを掴み、吊り上げたたのは。
「え、ちょ、サンジくん!?」
女には甘すぎるほど紳士。常ならぬサンジの行動に、ナミやロビンだけでなくゾロですら瞠目した。
「げほっ……何するんですか?」
サンジほどの上背はないリタの縛られた両足は、甲板には届かない。
宙吊りにされたリタの上目遣いにも弱々しい声にも目もくれず、サンジは怒りのままに叫んだ。
「……てめえ! 他の奴らはしらねぇが、このおれは騙されねぇ!
間違いねぇ……お前、男だな!」
(変装を見破られたことはあっても、これまで正体を破られたことは)
(今度こそ、リタは色を失った)