『立った、立ち上がったよ麦わらチーム〜！』
敵船から選ばれた司会の驚いた声が響き渡る。
見た目通り身体の内部もボロボロであろう、ゾロとサンジがそれでもしっかりとした足取りで立ち上がった。
「うおーっ」
「立った、やっちまえチキショー！」
ルフィたち麦わらの一味も、涙を流しながら、或いは不安そうに彼らを見守っていた。

制止の声が届かなかったリタは、叫ぶことを諦めたのか焦点の合わない瞳で彼らを見つめていた。首元に結ばれた可愛らしいリボンの前で、固く震える両手を握りしめていた。
「ええ！？　あいつら立ったわオヤビン！」
「ぐぬぬ、だが立ち上がったところでグロッキーモンスターズたちには勝てん……！」
リタの隣で驚きを隠さないフォクシーとポルチェの言葉も、どうやら聴こえていないようである。

「トロワジエムアッシ！」
サンジの華麗な足技が続け様に繰り出される。これまで圧倒されていた敵たちに確実に大きなダメージを負わせて行く。
『そこへ、剣士のゾロがつっこむよー！　狙いはもちろん「ボールマン」のビックパン！』
まだ血も止まっていないのであろう、だらだらと額から流れ落ちている。
サンジの元へと辿り着いたゾロは、それを予期していたかのように差し出されたサンジの足に飛び乗る。
「空軍パワーシュート！！」
サンジの蹴り上げによって宙高く放り出さされたゾロが、敵のボールマンの元にたどり着き、彼の数十倍はある彼の口元を掴む。
その勢いのまま彼を引っ張ると、相手方のリングに叩きつけた。
『ゴ〜〜〜〜〜〜〜ル！』
麦わらの一味とフォクシー海賊団そのどちらもから歓声が響き渡る。
リタは第二試合がゾロ、サンジ、チョッパーらの勝利で終わったことを見届けると、その場にペタンと座り込んだ。