Davy Back Fight!
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12
「んー、僕どこに座ろう……」
時はデービーバックファイトの第一ゲーム「ドーナツレース」スタート直前。
ボルテージが上がり人いきりのする会場のど真ん中で、リタは寄るべなく立ち尽くしていた。
数分前。ナミに
「あんたも強制参加よ! 少なくとも話し合いには入りなさい!」と詰め寄られながらも「いや僕そもそも海賊じゃないから」としつこく譲らなかった結果、痺れを切らした他の仲間の提言によってジャンケンによって出場者が決められることとなった(勿論、「出たいに決まってるだろ」という船長の方針により勝者が出場する)。
結果、一手目のジャンケンで見事一人負けを喫したリタが
「ほら〜だから言ったじゃん」と可愛らしく言うのに対し、ナミとウソップは苛立つ気力も失い、ガックリと肩を落とした。
そんなわけで見事不出場を勝ち取ったリタであるが、
自分は成り行きで(というか拉致られて)麦わらの一味の船に乗っただけで海賊でもなければ仲間でもない。
出店も撤収してしまったしてしまった今、立ち位置がわからないのだ。
かといってフォクシー海賊団の輪の中に混じるわけにも……いっそこんな何もない島なら船で待機しておけばよかったなぁ。そんなことを考えていると
「おい、そんなとこで突っ立って何やってんだよ」
と声をかけられた。
見ればルフィやウソップたちと肩を並べて座しているサンジが、怪訝そうな顔でぽつねんと輪から離れたリタを振り返っている。
「僕どうしようかなって。船に帰っててもいいかな?」
「テメェってやつは……。応援するに決まってるだろ、さっさとこっちこいよ」
不愉快と呆れの声色でありながら、伝えられた内容はこちらの輪に入れという勧誘。
「いや、だって僕、君たちの仲間じゃ……」
そのあまりにあっけらかんと放たれた言葉に驚いたリタがなお続けると
「あーめんどくせェ。しのごの言ってんじゃねェ。もう少し空気ってものを読めクソ野郎」
痺れを切らし立ち上がったサンジが、ヅカヅカとリタの元へより、手首を掴んだ。
見た目はこんなであるが、男にしては細すぎるその身体にサンジは一瞬眉を潜めた。それでもずるずると一味の元へ引き摺り出して歩き出す。
「うわっ、やっぱり君煙草くさい! 離して!」
「テメェこそ気色悪い声だしてんじゃねぇ! ……お前がどう考えてるかしらねぇが、少なくとも同じ船に乗ってて、今から仲間を奪い合うゲームがはじまるんだ。応援しろ」
ルフィとウソップが「おーリタ、何やってたんだよ」とリタが来るのを想定した声をひとつ上げて、また楽しそうに談笑に戻っていく。
チョッパーが「リタも一緒に応援するぞ!」と可愛らしい丸い瞳をきゅっと潰すように笑って手を振っている。
ゾロは無関心を貫いているようで、或いはリタの不審な行動に敵意を表しているようにも見えたが、リタにはゾロの反応の方が自然であった。
「……」
サンジにつれられたまま輪に、一歩入る。少し俯いたリタに
「お前、友達いねぇだろ」
とサンジは呆れたように軽く言って、腰を下ろした。隣にリタが座れる空間を残して。
「……君、煙草臭くて嫌だから、僕ゾロの隣で応援するね。ゾロ〜」
「今更来んじゃねぇ」
「えーっ、僕も応援するんだもん! ……今更ってことは隣にいるのは嫌じゃないの? えへへ、一緒にしよ〜」
「引っ付くんじゃねぇ!」
「んだよ! んっとに、ムカつくクソ野郎だな……!」
今まで不自然に取られていた距離感から、ゾロと(一方的に)0距離のところまで来たリタに対し、サンジは怒りながら煙草をつけた。
ふーっと紫煙を吐き出したその唇の端が、わずかに上がっていたことは本人すら知らないことだ。
「んー、僕どこに座ろう……」
時はデービーバックファイトの第一ゲーム「ドーナツレース」スタート直前。
ボルテージが上がり人いきりのする会場のど真ん中で、リタは寄るべなく立ち尽くしていた。
数分前。ナミに
「あんたも強制参加よ! 少なくとも話し合いには入りなさい!」と詰め寄られながらも「いや僕そもそも海賊じゃないから」としつこく譲らなかった結果、痺れを切らした他の仲間の提言によってジャンケンによって出場者が決められることとなった(勿論、「出たいに決まってるだろ」という船長の方針により勝者が出場する)。
結果、一手目のジャンケンで見事一人負けを喫したリタが
「ほら〜だから言ったじゃん」と可愛らしく言うのに対し、ナミとウソップは苛立つ気力も失い、ガックリと肩を落とした。
そんなわけで見事不出場を勝ち取ったリタであるが、
自分は成り行きで(というか拉致られて)麦わらの一味の船に乗っただけで海賊でもなければ仲間でもない。
出店も撤収してしまったしてしまった今、立ち位置がわからないのだ。
かといってフォクシー海賊団の輪の中に混じるわけにも……いっそこんな何もない島なら船で待機しておけばよかったなぁ。そんなことを考えていると
「おい、そんなとこで突っ立って何やってんだよ」
と声をかけられた。
見ればルフィやウソップたちと肩を並べて座しているサンジが、怪訝そうな顔でぽつねんと輪から離れたリタを振り返っている。
「僕どうしようかなって。船に帰っててもいいかな?」
「テメェってやつは……。応援するに決まってるだろ、さっさとこっちこいよ」
不愉快と呆れの声色でありながら、伝えられた内容はこちらの輪に入れという勧誘。
「いや、だって僕、君たちの仲間じゃ……」
そのあまりにあっけらかんと放たれた言葉に驚いたリタがなお続けると
「あーめんどくせェ。しのごの言ってんじゃねェ。もう少し空気ってものを読めクソ野郎」
痺れを切らし立ち上がったサンジが、ヅカヅカとリタの元へより、手首を掴んだ。
見た目はこんなであるが、男にしては細すぎるその身体にサンジは一瞬眉を潜めた。それでもずるずると一味の元へ引き摺り出して歩き出す。
「うわっ、やっぱり君煙草くさい! 離して!」
「テメェこそ気色悪い声だしてんじゃねぇ! ……お前がどう考えてるかしらねぇが、少なくとも同じ船に乗ってて、今から仲間を奪い合うゲームがはじまるんだ。応援しろ」
ルフィとウソップが「おーリタ、何やってたんだよ」とリタが来るのを想定した声をひとつ上げて、また楽しそうに談笑に戻っていく。
チョッパーが「リタも一緒に応援するぞ!」と可愛らしい丸い瞳をきゅっと潰すように笑って手を振っている。
ゾロは無関心を貫いているようで、或いはリタの不審な行動に敵意を表しているようにも見えたが、リタにはゾロの反応の方が自然であった。
「……」
サンジにつれられたまま輪に、一歩入る。少し俯いたリタに
「お前、友達いねぇだろ」
とサンジは呆れたように軽く言って、腰を下ろした。隣にリタが座れる空間を残して。
「……君、煙草臭くて嫌だから、僕ゾロの隣で応援するね。ゾロ〜」
「今更来んじゃねぇ」
「えーっ、僕も応援するんだもん! ……今更ってことは隣にいるのは嫌じゃないの? えへへ、一緒にしよ〜」
「引っ付くんじゃねぇ!」
「んだよ! んっとに、ムカつくクソ野郎だな……!」
今まで不自然に取られていた距離感から、ゾロと(一方的に)0距離のところまで来たリタに対し、サンジは怒りながら煙草をつけた。
ふーっと紫煙を吐き出したその唇の端が、わずかに上がっていたことは本人すら知らないことだ。