「僕が言った事覚えてるかなぁ？君は絶対僕から逃げられないよ」

また不安そうな顔をする彼女を脅す。分かってるけど、そろそろいい返事が欲しい。

「逃げないよ、でも…」
「じゃぁ、既成事実作っちゃう？」

僕が1ヶ月も大人しく待ってる訳ないんだよ。まず彼女の家に結婚話をしに行った。僕の事は大方聞いていたらしいし、手術の恩もあって事実婚でもすんなりと話はまとまった。
両親同意の下、法的に効力を持つ書類を作成して外堀を固めた。
五条家と呪術界には関わらせないようにする事もちゃんと明記してる。
あとはゆりが頷いてくれれば成立だ。


困惑する彼女を抱きかかえ、寝室にむかいながら、話を続ける。いつも通り、ちょっと意地悪なやり方だけど。

「ちょうど良かった！僕にめちゃくちゃに抱いて欲しいんだったよね？」
泣いてるから抱かないって言った気もするけど、今の彼女は涙の理由よりも、結婚の話の方で頭を悩ませているはずだ。

ベッドに下ろされて、する事は分かっているはずなのに、何をするのか尋ねられる。

「だから〜、僕の子を孕ませてゆりが逃げられないようにするの」

相手を繋ぎ止めておきたいと願う若い女の子の発想だな…と我ながらバカらしくなる。

「いいよね。僕の側にずっと居てくれるよね」

やり方は間違ってるかもしれない。でも、彼女を側で大切にしたい。それだけは絶対間違ってない。