今日から久しぶりの仕事。
オーナーであるおじも無理しないでと言ってくれているが、体はすっかり良くなっていて、元気が有り余っているほど。

多分この体力回復は悟のおかげ。…いや悟のせい？

術後の傷が癒えて、動けるようになってからも、しばらく体を求められる事は無かった。
「ゆりの体が一番大事だからね」と毎晩優しく胸の中に抱き寄せて、頭を撫でてくれた。

家入さんの治療が終わってもう1ヶ月が経過していた。ちゃんと病院でも術後のチェックはしてもらっていて、順調に回復していた。
でも子供が出来るかは分からない。
あれ以来悟は結婚の話にも触れて来なくて、少し不安を抱いていた。

「悟…」

いつものように寄り添って寝てくれていた彼の胸に呼びかける。
密着したまま「なぁに？」と柔らかく答えてくれる悟の声が体に響いてくる。
私の声もそうやって届いてるのかな。彼の心の中に話しかけるように続けた。そう思うと普段なら恥ずかしくて口に出来ないセリフも自然と声に出せた。

「抱いて欲しい」

悟の体が強張ったのが伝わってきて、答えを待つ私も緊張する。
長めに息を吐いた後、私を見下ろして言う。

「痛かったら言うんだよ。優しくできる自信ないから」
もう今にも暴走しそうな理性を精一杯抑えているのが伝わる。

でも悟は終始ゆっくり丁寧に私に触れてくれた。
逆に我慢させてしまったみたいで少し申し訳なくなるくらいに。

でもそんな罪悪感は全く不要だった。
その日から昨日まで毎晩、休みの日は朝から何度もあの日の私のお願いを実行してくれた。
「今日も抱いて欲しい？」と私からのリクエストに仕方なく答えてあげてる雰囲気を押し付けて。

そんな悟の態度が私の精神を安定させていた。

やっぱり私は、彼を求めてる。